岩波文庫のアストゥリアス「グアテマラ伝説集」(牛島信明・訳)より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、今月17日の記事にアップした。リンクより、過去記事へ遡り得る。


 今回は、「「花咲く地」の財宝の伝説」と「春嵐の妖術師たち」、2編を読んだ。

 「「花咲く地」の財宝の伝説」は、部族間の争いなどをしていた先住民が、白人の侵略に遭い、金銀宝石の財宝を山裾に隠そうとする。白人の銃撃で、先住民は財宝を放り出して逃げてしまうが、火山噴火によって財宝は隠されるという伝説である。実際は征服者の本国・スペインへ送られたのだろうが、現代のグアテマラ人として、アストゥリアスはスペイン人を全否定できないのだろう。

 「春嵐の妖術師たち」では、古代の幾つもの文化が、地震、噴火、洪水によって壊滅しながら、再生する様を描くようだ。様々な描写が試みられるが、ロートレアモン、アンドレ・ブルトン式(共に僕は嫌いである。)のシュールリアリズム(戦後に実存主義と合体するまでは、つまらない)ではなく、金銀宝石や刺青、化粧、花鳥など、南国らしい古代文化の妖しい美しさの再現を読むべきなのだろう。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラストのラスト1枚。