総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2020年4月号を、作品中心に読み了える。
 入手は今月19日の記事、届いた3冊を紹介する(8)にアップした。リンクより、3月号の感想へ遡れる。



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 巻頭作品20首では、外塚喬「絵地図をひらく」が老いの心境を展いて渋い。吉川宏志「うしろむく人」の掉尾「道すべて封鎖されたる武漢にも梅咲きをらむ映されざりき」が、新型コロナウイルスを描いて新しいが、梅の花にずれて行かない方が良いと思う。
 「平成に逝きし歌びとたち(4)大西民子」は、大写しの写真1枚と、沢口芙美の6ページに渉る紹介、30首選を挙げ、感銘深かった。僕は生前版の全歌集を読み、そのあとの2、3冊の歌集も読んだ。僕の短歌の詠み初めの頃のことである。没後の新しい全歌集を読む気はない。
 特集「どうする?歌の表記」では、僕は新かな、口語の歌に進んでおり、ひらがな表記、特殊なルビへの関心も薄い。
 篠弘の評論「戦争と歌人たち」も70回で最終回を迎えた。労作である。将来へ向けた反戦論が必要だろう。
 特別作品30首の島崎榮一「秩父困民党」は今更のテーマと思う。僕が待っているのは、このような主題ではない。
 作品7首に、竹村公作「イスカンダルへ」など、秀作がある。