近澤有孝・句集「踝(くるぶし)」を読み了える。
 僕の親しむ彼のブログに、刊行が公開され、Amazonより880円(税込み)で取り寄せた。

句集「踝」
 2020年3月31日・刊。制作印刷・喜怒哀楽書房。ここ3年の273句、著者・あとがきを収める第1句集。帯文は辻村麻之(「篠」主宰)。94ページ。

 近澤有孝(ちかざわ・ゆうこう、1960年・生)は、俳句の他に、語学に堪能で、ランボーの詩や「マザー・グース」の新訳を、ブログにアップしている。
 俳歴は長いのだろう。俳誌「篠」同人。

 収録された句のレベルの高さを認めた上で、忠告したい事がある。旧かな古典文法で句作したりすると、習熟に連れて、レトリック、用語、言葉の運び方などに、俳壇らしい臭みが出る場合がある。生活にアンテナを張って、いつまでも新鮮な句を吟じてほしい。
 季語とともに、自然との機微を掴んだようだ。「踏青やいずれ故郷を忘れたる」は、反語だろうか。


 以下に5句を引く。
文を書く東風の吹くころ封をする
西行忌落雁ひとつ齧りたる
艦船を眼下に花は杏かな
去りゆける守宮つもりがあるらしく
茶の花や触れてはならぬと云はれたる