角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、17番めの句集、北野民雄「私歴」を読み了える。
 先行する森澄雄・句集「鯉素」は、今月7日の記事にアップした。



 原著は、1978年、牧羊社・刊。中村草田男・序句1句、506句、著者・あとがきを収める。
 1948年~1967年までの句を、4つの年代に分けて収めた、第1句集。
 北野民雄(きたの・たみお、1913年~1988年)は、1946年の草田男「萬緑」創刊とともに参加、長く功績を積んだ。
 敗戦直後は貧しかったが、後に成功し、旭倉庫、みすず書房の各社長となる。
 含羞ある家族吟、旅吟に、味わいがあるとされる。
 後に句集「夢殿」(1986年、俳人協会・刊)がある。還暦後、充実ぶりを示す、と自ら述べている。

 以下に5句を引く。
寝て一畳流離極まる餅うまし
文化の日枯れれば薪も割りやすし
万緑や水もて子らの四肢潔む
枯萱の果ての工場ストの旗
晩夏の旅家鴨のごとく妻子率て

 なお「増補 現代俳句体系」全15巻を読み来たって、残るは斎藤玄・句集「雁道」1冊のみである。
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。