藤原龍一郎・歌集「202X」を読み了える。
 購入は、今月2日の記事、入手した5冊を紹介する(6)にアップした。



藤原龍一郎 202X
 歌集「202X」は、2020年3月11日、六花書林・刊。初出1覧によると、2013年~2019年に発表した作品を、グループごと並べ替えて編集してある。発行月日は、東北大震災の日である。
 「反抗する者は常に正しい!」のテーゼ(造反有理か)が若い時代を支えた者として、ディストピアに向かうような現状に、預言とも呪詛ともなる歌を創り続けた。例えば「ニッポンは丘にしあればてっぺんに愚者は居座り日は没するを」。

 以下に4首を引き、寸感を付す。
月光がそそぐ狂気を享けとめて老いたるパルチザンの勇姿よ
 歌誌「月光」主宰・福島泰樹へのオマージュだろうか。
パソコンの起動音こそ恩寵ぞ「日本脱出!」したし今こそ
 塚本邦雄の歌からの本歌取りである。脱出しようにも、強面のドンの国ばかりのようだ。
店頭の均一本は雨に濡れ『ローザルクセンブルクの手紙』
 僕も文庫本の同書を所蔵しているが、読む当てはない。
飼育せし脱走兵が歌いたる「弾丸
(たま)にあたって名誉の戦死」
 大江健三郎の芥川賞受賞作「飼育」が、念頭にあるのだろう。