俵万智の最新・第6歌集「未来のサイズ」を読み了える。僕は彼女の歌集を、すべて読んで来た筈である。
 入手は、今月10日の記事、届いた2冊を紹介しする(17)にアップした。入手の経緯は、リンクを参照してください。



未来のサイズ
 2020年9月30日、角川書店・刊。418首、著者・あとがきを収める。
 全体は3章より成り、Ⅰ 2020年はコロナ禍の現在を、Ⅱ 2013年~2016年は石垣島時代を、Ⅲ 2016年~2019年は宮崎県での、詠んだ歌となる。
 Ⅰでは、コロナ禍を怖れつつ、自粛期間を楽しもうとする歌がある。以下に2首を引く。
朝ごとの検温をして二週間前の自分を確かめている
ほめかたが進化しており「カフェ飯か! オレにはもったいないレベルだな」
 Ⅱでは、大事な人の見送り、島での心豊かな生活、社会への嘆きに似た怒り、などを詠む。以下に2首を引く。
見送りは心ですますと決めたから畑にニラを摘む昼下がり
どこんちのものかわからぬタッパーがいつもいくつもある台所
 Ⅲでは、宮崎県に移り、中学校の男子寮に入った息子、ホームの父母、父親となった弟らに気を配る。以下に2首を引く。
日に四度電話をかけてくる日あり息子の声を嗅ぐように聴く
草食系男子となりし弟がそこそこ進むイクメンの道

 なおこの歌集には、社会批判・政治批判を詠んだ歌があるが、僕の希望としては、散文で展開してもらいたい。