同人詩誌「果実」83号を読み了える。
 入手は、今月2日の記事、文学フェスタで頂いた3冊を紹介する、にアップした。



 同・82号の感想は、今年5月21日の記事にアップした。リンクより、過去号の感想へ遡り得る。


「果実」83号
 83号では、9名18編の詩と、5名5編の随筆を収める。2020年11月、果実の会・刊。47ページ。
 巻頭のO・雅彦さん「鳥たちの居場所」は、人類絶滅直後の世界を描くが、コロナ禍で人類絶滅はなく(気候変化等によってはありうる)、そうパニックを起こす事もないと僕は思う。
 平凡な日常生活を描いた作品(重要な真実は隠して)、幼少時代の回想の詩(痛い思い出は隠して)が多い。
 N・昌弘さんの「秋の一日」は童謡めいて、5音句7音句が多用される。
 T・篤夫さんの「山椒の木」「深夜の電信柱」は、共に物憂い心境を描いて、「無為の私の前で」、「無意味な電信柱数えを…」と、明言してはいないが、コロナ禍での憂鬱だろうか。
 W・本爾さんの「物語」では、「時代が大きく傾いて/人の世が歪んで見える…続きの物語は始まるか/新しい物語は始まるか…」と歌って、時代を批判し、危機感を示す。
 N・明徳さんの「つめ」には、慣用句が多いようだ。
 上記のうち僕が批判した事は、詩人の資質によるのではなく、時代の歪みが、言葉を歪ませようとするからである。