T・篤朗さんが贈ってくださった、同人詩誌「果実」84号を読み了える。
 到着は、今月17日の記事にアップした。


 先行する同・83号の感想は、昨年11月9日の記事にアップした。

 リンクより、旧号の感想へ遡り得る。

「果実」84号
 84号は、60周年記念号である。まずは詩誌の長命を寿ぐ。県内の詩誌として、先日の福井新聞で大きく取り上げられた。同人詩誌「木立ち」の代表だった故・広部英一さんは、同人誌が長く続けば良いものではない、と強く仰っていたけれども。

 「果実」84号には、9名10編の詩と、巻頭言を含め10名12編の記念号の感慨が載る。
 K・不二夫さんの「空虚を抱きしめる」では、「眼光の鋭さが失われ/顔に浮かぶしわが増えている」、また「伴侶が傍らにいないとなると/…」と、妻の居ない生活で、「切に心の底から淋しい」と老境を綴る。
 F・則行さんの「結婚」では結婚の実相の機微を描いて、機知がある。
 O・雅彦さんは、東京在住の詩人だけれども、「ゆき」を「ゆきの時間が/うつくしく/流れている」と、福井県を何度も訪れてのイメージで締めている。
 T・篤朗さんの「竹田の絵が手に入った」は、無名画家の秀作に誰かが竹田の偽名を入れた偽物と知りながら、無名画家の境地を楽しんでいる。
 同・83号の感想が同人のお目に入ったか(T・篤朗さんはこのブログを読んでくださり、声を掛けてくださる)、84号の詩は正当である。
 散文は、「果実の会」内外に向けての寿ぎであり、論ずる事はない。