思潮社の現代詩文庫181「続続・辻征夫詩集」より、「未刊散文作品」2編とエッセイ9編を読む。
 先行する、「ボートを漕ぐもう一人の婦人の肖像」から、は今月6日の記事にアップした。

 リンクより、旧・感想記事へ遡れる。

 「未刊散文作品」の「花見物語」は、友人と上野で花見をして、自分の得意な「雨に咲く花」を唄うが、歌詞の「ままになるなら」の「まま」を「ママ」と思い込んでいて、「儘」と知らなく皆から大笑いされる話が主なストーリーである。
 「遠ざかる島ふたたび」は、家にいたお手伝いさんの真理子さん(片足がスカートの中までしかないのに、杖なしで歩いたという設定は、不自然である)を主人公にした物語「遠ざかる島」の余談である。2作共に話題がぐねぐね歪んで行く。
 エッセイは、回想談、人情噺が主で、取り上げる事もない。編集者に請われて書いたらしい。「菅間さんに郵便です」は「劇団卍」への、「人事を尽してポエジーを待つ」は写真家・高梨豊への、オマージュである。



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写真ACより、「雨の日」のイラスト1枚。