花神社「茨木のり子全詩集」(2013年2刷)より、詩集「食卓に珈琲の匂い流れ」を読みおえる。
 先月9月27日の
記事(←リンクしてあり)、「詩集未収録作品」に継ぐ。
 原著は、1992年、花神社・刊。2部22編。
 「娘たち」の末2連では、「そしてまた あらたな旅だち/遠いいのちをひきついで さらに華やぐ娘たち//母や祖母の名残りの品を/身のどこかに ひとつだけ飾ったりして」と、女性のファッションへの愛着と継承に注目する。 
 「今昔」では青年僧・良寛を旅人の回想として、「沈黙が威圧ではなく/春風のようにひとを包む/そんな在りようの/身に添うたひともあったのだ」と描く。
 標題作「食卓に珈琲の匂い流れ」では、「さながら難民のようだった新婚時代/(1行・略)/みんな貧しくて/それなのに/シンポジウムだサークルだと沸き立っていた/やっと珈琲らしい珈琲がのめる時代/一滴一滴したたり落ちる液体の香り」と、中流の生活を得た安心を述べる。
 時代の経済的発展を認めながら、心が喪いそうな事に敏感である。
コスモス6
「フリー素材タウン」より、コスモスの1枚。