角川書店「増補 現代俳句大系」(全15巻)を読み進んで、第11巻(1982年・刊)の初めの句集、沢木欣一「塩田」を読みおえる。
 9月17日の
記事(←リンクしてあり)、同・第10巻の田川飛旅子「花文字」に継ぐ。
 原著は、1956年、風発行所・刊。1939年~1955年の675句を収める。
 沢木欣一(さわき・きんいち、1919年~2001年)は、戦後いちはやく俳誌「風」を創刊し、社会性俳句を提唱したとされる。
 「塩田」には、社会闘争の句といってはない。
 それよりも、戦前の句をなぜ、従軍体験もありながら、戦後の句と続けて並べるのだろう。彼には「敗戦革命」という経験はなかったのだろうか。
 60年安保以後、句風が移って行ったと解説される(三省堂「現代俳句大辞典」)から、今後の読書を楽しみとしたい。
 以下に5句を引く。
鳩の尾の扇なすとき別れかな
米借りて梅雨の晴れ間を東京へ
妻を恋う六月渚雲雀得て
行商の荷に油紙能登の雪
夜明けの戸茜飛びつく塩の山(「能登塩田」より)
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フリー素材サイト「Pixabay」より、りんごの1枚。