花神社「茨木のり子全詩集」(2013年2刷)より、没後に刊行された詩集「歳月」3章を、順次、紹介して行きたい。
この詩集について、編集した甥の宮崎さんは、茨木のり子の没後、清書された詩40編、目次のメモ等を発見し、かつて詩人が花神社へ挽歌の出版の意志を伝えてもいた、とあとがき「「Y」の箱」で述べている。
原著は2007年2月、花神社・刊。3章39編(1編は既収録のため)。
「歳月」は夫の死後より自身の急逝まで31年間に、書き溜められた夫へのラブレターのようなもの(詩人の言葉)である。
(Ⅰ)は14編。「夢」では「…夢ともうつつともしれず/からだに残ったものは/哀しいまでの清らかさ//やおら身を起し/数えれば 四十九日が明日という夜/あなたらしい挨拶でした/…」と、夫を没後にも感じている。
「占領」という短詩があるので、以下に全編引用する。
占領
姿がかき消えたら
それで終り ピリオド!
とひとびとは思っているらしい
ああおかしい なんという鈍さ
みんなには見えないらしいのです
わたくしのかたわらに あなたがいて
前よりも 烈しく
占領されてしまっているのが
初期の少女時代を懐古する(それだけではない)詩や、後期の人々を世を叱咤(激励)する詩より、「歳月」において茨木のり子は成熟し、すべての詩業の頂きを成す、と僕は受け止める。
フリー素材サイト「Pixabay」より、菊の1枚。
この詩集について、編集した甥の宮崎さんは、茨木のり子の没後、清書された詩40編、目次のメモ等を発見し、かつて詩人が花神社へ挽歌の出版の意志を伝えてもいた、とあとがき「「Y」の箱」で述べている。
原著は2007年2月、花神社・刊。3章39編(1編は既収録のため)。
「歳月」は夫の死後より自身の急逝まで31年間に、書き溜められた夫へのラブレターのようなもの(詩人の言葉)である。
(Ⅰ)は14編。「夢」では「…夢ともうつつともしれず/からだに残ったものは/哀しいまでの清らかさ//やおら身を起し/数えれば 四十九日が明日という夜/あなたらしい挨拶でした/…」と、夫を没後にも感じている。
「占領」という短詩があるので、以下に全編引用する。
占領
姿がかき消えたら
それで終り ピリオド!
とひとびとは思っているらしい
ああおかしい なんという鈍さ
みんなには見えないらしいのです
わたくしのかたわらに あなたがいて
前よりも 烈しく
占領されてしまっているのが
初期の少女時代を懐古する(それだけではない)詩や、後期の人々を世を叱咤(激励)する詩より、「歳月」において茨木のり子は成熟し、すべての詩業の頂きを成す、と僕は受け止める。
フリー素材サイト「Pixabay」より、菊の1枚。
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