風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年2月20日で以って、Kindle本・短編小説「底流」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「柴田哲夫 底流」と検索すれば、すぐに出て来ます。柴田哲夫は、Kindle版・詩集「詩集 日々のソネット」、「改訂版ソネット詩集 光る波」と同じく、僕のペンネームです。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

読書

 土曜美術出版販売の新・日本現代詩文庫150「山田清吉詩集」より、「べと」全篇を読み了える。
 新・日本現代詩文庫の受贈は、先の6月23日の記事、入手した5冊を紹介する(5)にアップした。



山田清吉詩集
 アンソロジー詩集の、表紙写真を再掲する。ビニールカバー付き。

 第1詩集「べと」は、1976年、木立ちの会・刊。16編を収める。
 なお「べと」は、「泥」「土」「粘土」の意味の方言である。今ネット検索すると、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、静岡県、岐阜県、愛知県、奈良県、鳥取県、愛媛県の、それぞれ1部地域で使われるとある。
 「べとなぶり」の語もあり、「土いぢり」の意味で、「園芸」「陶芸」を指し、謙譲語めく。

 詩集「べと」には、働き詰めで田で倒れた父など、農民の苦しみと共に、「列島改造論」による農地転用によって、田畑が高額で売れて戸惑う姿も描かれる。
 また戦時下空襲後の様を描いて、後に明らかになる反戦のテーマが始まる。
 今、卒寿を越えられた山田清吉の、長い労働と思索・詩作の始まりである。


 先の6月29日の記事、届いた2冊を紹介する(13)で報せた内、青木祐子の小説「これは経費で落ちません! 7」を読み了える。リンクより、過去巻の感想へ遡れる。


これは経費で落ちません 7
 集英社オレンジ文庫、2020年5月25日・刊。244ページ。このシリーズも巻を重ねて、7冊めとなった。
 経理部員・森若沙名子をヒロインとする、サラリーマン(ウーマン)小説に、恋を絡める。
 4話にエピローグの構成で、1話は総務部の平松由香利が、ゾンビのコスプレパーティで出会ったバツイチ男性と意気投合し、結婚する事になる。相手はアルバイトの他、主夫となるが優しく、総務課長になる平松由香利は納得し幸せそうである。経理部主任となる森若沙名子の、複雑な心境も描かれる。
 2話は、主人公の勤める天天コーポレーションと合併する、トナカイ化粧品の経理担当・槙野徹の疑惑を巡る話である。槙野徹は不相応な腕時計をしていたり怪しまれたが、3年前に経理担当になってより、会社の不正経理を正して来た、正義漢だった。しかし彼は疲れて、合併が済んだら、退職を願っている。沙名子は慰留するのだが。

 3話は、不倫関係にある勇太郎(独身)と織子(若い夫あり)の二人に、沙名子が解決へ手を出すストーリーである。ショールーム担当だった千晶が、契約社員より正社員の総務部員へ登用となるけれども、苦労も増える挿話を交える。
 4話は、沙名子の恋人・太陽が東京本社より大阪営業所へ転勤となり、交際が遠去かってしまう話である。おいおい、ヒロインがアンハッピィな仕舞い方かよ、と読者の期待を裏切る。続巻でどうするのか、読みたい事である。
 エピローグは経理部の若手・真夕の視点で描かれる、しばし後の経理部の状況である。続巻が出るとして、何冊まで行くのだろう。心配であり、楽しみである。



 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第2巻より、2回めの紹介をする。
 同(1)は、先の6月21日の記事にアップした。



 今回に読んだのは、「ウィリアム・ウィルスン」1編である。51ページ~77ページの、27ページ分とやや長い。
 ウィリアム・ウィルスンが、寄宿舎学校時代より、同姓同名の同じ日生まれの人物から、自分の芳しからぬ手段での成功を妨げられ続け、年を重ねてから決闘で相手を倒す。しかし血塗れで死にそうなのは自分で、もう一人は自分の分身だったというストーリーである。
 谷崎精二は後記で、スチーブンソンの「ジキルとハイド」に比べられるという。しかしこの短編は、別人物に成り代わる二重人格の話ではない。
 ドストエフスキーの「分身」に想を得たのではないかと思われる程(当時のポオが「分身」を読める環境だったかは判らないが)、同姓同名の人物によって主人公が困窮する設定は似ている。



 また日本の戦後作家・梅崎春生もその全集・第2巻の函の帯で、種村季弘に「この作家はたえず分身幻想につきまとわれていた。」と書かれる程、主人公に似る服装・境遇などの人物との、ストーリーを繰り返し描いた。今の僕に記憶はあるが、例に引けるのは「服」のみである。


 ポオの場合、大酒と賭博で学校を追われ、後も酒に苦しんだ生活を、告白ならぬ幻想的小説へ高め得た。
男性二人 2等身男性
写真ACより、イラスト1枚。




 学研カメラムック「最新デジタル一眼 超入門 実践編」Kindle Unlimited版を読む。
 先行する同「同 超入門」は、今月26日の記事にアップした。



同 実践編
 実践編は、先行書よりも、撮影の実践について、詳しく解説している。
 僕もレンズの55㎜MCプロテクターと、液晶モニターの専用フィルムを買った。
 カメラバッグに、妻の革のバッグのお下がりをもらった。柔らかくて、傷が付きにくいようだ。乾燥剤を入れてある。
 液晶モニターは昼光下、暗くなって自分の顔が映るくらいだった。専用ガイドブック「ソニーα6300 マニュアル」とも首っ引きで、明るさを「屋外晴天」にセットして直った。
 また露出補正は、絞り値、シャッタースピード、ISOの3つを調整するのではなく(それぞれ優先モードがあるが)、0・3EVごとに±5EVまで調整できるのだった。今はP(プログラム・オート)で撮っているけれども。
 実践編の末尾のカメラ用語解説が、入門者には有意義だった。

 花の写真ばかり撮って、インスタグラムのxinsasukeにアップしているので、ご覧ください。





 今月19日の記事、届いた5冊(2)で紹介した内、季刊同人歌誌「COCOON」Issue16を作品中心に読み了える。
 同・Issue15の感想は、先の3月29日の記事にアップした。



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 結社歌誌「コスモス」の若手歌人(1965年以降・生まれ)27名を同人とする。
 コロナ禍の歌も多く、僕の提唱した鳥瞰もならず、生活に目を向ける作品が多いようだ。
 発行人のO・達知さんの「非常ノ措置」12首では、飲酒・ストレスなどで、咳や麻疹が出たようで、現役世代の歌人が生き抜くのは楽ではない。
 育児中のK・絢さんは、育児・家事、仕事といそがしく、スマホ・ゲームに休息を得ているのか。
 若いI・祐風さんは、宗教に疑問的で、日本の現代政治にも反発するようになった。
 Y・恵理さんは娘さんが、愛知県の空港から成田空港へ異動した事を淋しがっている。娘さんは、勇んでいるようだが。


 以下に4首を引く。
柔らかい鉄砲玉のやうな子よ姉妹にさへも恋バナはせず(Y・恵理)
運動不足、飲酒、ストレス、そうそれだぶつぶつしてるふともものうら(O・達知)
偏食の多い孫だとわたくしは今やんはりと否定されをり(K・絢)
生れし国疑わずして愛してたでも今はもう「距離を置きたい」(I・祐風)

 なお初回は「Cocoon」と表記しましたが、誤りでしたので、「COCOON」に改めました。


 

 今月23日の記事、入手した5冊を紹介する(5)より、学研カメラムック「最新デジタル一眼 超入門」Kindle Unlimited版を、タブレットで読み了える。


最新デジタル一眼 超入門
 リンクでは、2012年・刊と書いたが、奥付けには2014年1月、ver.1、0発行とある。

 技術書のKindle版なので、全部を理解しなくとも良いだろう。
 僕がこの本で学んだ事は、4つである。
 メモリカードのフォーマットは、新しく入れた時、中古品のカードを入れる時のみ、念のために実行すれば良いこと。
 カメラ内の写真の、一斉削除の方法。判る前は、1枚ずつ削除していた。
 付属フラッシュの上げ方。
 タブレットでムック本などを読む時、拡大で(ピンチアウトでなく)読む。拡大したまま、ページを繰る時、全体をフリックしてもダメで、左端か右端をタップすれば、その方向に捲れる。気づくまで、1回ずつ縮小して、フリックしていた。
 露出補正は難しいので、後々の宿題としよう。
 構図論等は、フィルム式の一眼カメラを使った時(20年近く前)に少し学んだ。コンデジを使うようになってより、パソコンでの写真の修正、保存、記録、プリンタでの印刷も行えている。




 砂子屋書房・刊の「葛原妙子全歌集」(2002年)より、第7歌集「朱霊」を読み了える。
 第6歌集「葡萄木立」は、先の5月5日の記事にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡れる。



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 全歌集の函の表の写真を再び挙げる。

 「朱霊」は、1970年、白玉書房・刊。715首、著者・後書を収める。
 前衛短歌の一人とされながら、僕にインパクトが少ないのはなぜだろう。戦争未亡人の森岡貞香ではなく、元・華族のプライドを秘めた富小路禎子でもなく、医師の妻に過ぎない。実質・厨歌に過ぎない作品もまじる。仮定の上の悲傷もある。
 稀に迫力のある幻視の歌、暗喩が決まった幻想の歌もある。
 啄木、「赤光」、「サラダ記念日」、「昭和万葉集」完読と進んだ僕は、後まで前衛短歌に触れる事が少なかった。生活の短歌しか詠めない由縁だろう。
 なお俵万智のライトヴァースは否定されたとされるが、僕には解せない。バブル期でなくとも、「かるみ」を目指す歌があって良い。


 以下に7首を引く。正字を新字に替えてある。
等身の鏡にあゆむ 現
(うつつ)よりふとたしかなるわれの足どり
夏澄むに悲痛せむかなあたらしき中国に老残の宦官ありとして
疾風はうたごゑを攫ふきれぎれに さんた ま、りぁ、りぁ、りぁ
南風の夜の月明水中に沈める死者は椅子に居りにき
犬などがことことと階段をのぼりゆくひたすらなるにわれは微笑す
昼しづかケーキの上の粉ざたう見えざるほどに吹かれつつをり
陽を着たる一人の男低丘を迂回する道いま登りゆく



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