風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

読書

CIMG9402
 角川書店「増補 現代俳句大系」第12巻(1982年・刊、写真は函の表)より、初めの句集、米沢吾亦紅「童顔」を読み了える。
 同・第11巻のしまいの句集、
久保田万太郎「流寓抄」に継ぐ。
 原著は、1959年、近藤書店・刊。水原秋桜子・序、447句、後記を収める。
 米沢吾亦紅(よねざわ・われもこう、1901年~1986年)は、大学卒業後、造船の世界に入り、のち名村造船所の重役となる。
 1931年、秋桜子「馬酔木」の虚子門よりの独立に従った。1956年「馬酔木燕巣会」結成、1958年「燕巣」創刊・主宰した。「人事句の名手、職場俳句の草分けとして活躍した」(三省堂「現代俳句大事典」2005年・刊、に拠る)とされる。
 句集は「寸樹抄(1945年以前)」、「浪々抄(1946年~1951年)」、「明日香抄(1952年~1958年)」の3章を立てるが、戦後の句のみより、以下に5句を引く。
空稲架に童乗りしが解きはじむ
寒釣の鮠がのこせし手のあぶら
山椒の一葉の味も山疲れ
若き水夫巷の暦提げ帰る
槻芽吹く子等にひゞかぬ氏素性



CIMG9387
 入手を6月22日の記事で報せた、季刊同人歌誌「COCOON」Issue04を、ほぼ読み了える。2017年6月・刊。77ページ。
 
同・Issue03の紹介は、今年4月1日の記事にアップした。
 「COCOON」は、結社「コスモス短歌会」(僕が先だってまで所属していた)内の、若手(1965年以降生まれに限る)の優駿が集まった、季刊同人歌誌である。
 Issue04の巻頭24首は、H・みささんの「ダイヤモンド」と、I・佑太さんの「Kの謎」である。
 「ダイヤモンド」24首は、息子さんの高校野球・甲子園予選を詠んで、感動的である。時期的に、昨年より温めた連作か。以下に2首を引く。
二リットルの弁当箱を埋めるため飯炊き肉を焼く煮る揚げる
歓声というより悲鳴 追い上げてあと一点で同点となる
 「Kの謎」は、漱石とカフカの作品に登場するKを押し出しながら、世代感を感じさせる詠みである。
 S・ちひろさんの「ひとりしりとり」12首が、短歌でしりとりをしつつ、シュールな詠みぶりで特異である。1首を引く。
「紅差指って偶には呼んで欲しいわね」薬指嬢りんとして言う
 育児の歌を読めるのも楽しみで、K・絢さんの「ハッカ油」12首には、次の歌がある
投げスマホ(スマホを投げる)、食べスマホ(スマホを食べる)嬰児(みどりご)の技
 今さら気づいたのだけれど、見開き2ページに12首掲載で、前身の「棧橋」(僕が一時在籍した)の1ページ12首と比べて、ずいぶん寛いでいる。
 バックナンバーは「COCOON」のホームページで読めるので、そちらからどうぞ。



CIMG9396
 Amazonを通し、マーケティング論入門書として、大山秀一「マーケティングの基本と常識 改訂版」(フォレスト出版)を、マケプレの古本で買った。
 なぜかと言えば、今年1月7日の記事で紹介した、
かん吉「人気ブログの作り方」をタブレットで3読中なのだが、そこで「マーケティング論を読んでいる」と紹介されているからだ。マーケティング論は、ブロガーの間の流行りなのか、ビー〇さんも誕生日祝いにかマーケテイング論の本をプレゼントされた、とコメントした。
 ただし、かん吉さんは、どの本を読んだかは書いていないし、応用法も詳しくは書いていない。
 僕が今広めたいものは2つあり、1つはこのブログのアクセス数であり、もう1つは今まとめている第4詩集である。
 ブログのアクセス数アップは、ブログ記事は商品ではなく、お金儲けが目的でもないので、直接的にはマーケティング論を応用しにくい。応用できる面もあるようだけれど。
 詩集は、無料贈呈ではなく、廉価でも購入してもらうつもりなので、この論は大いに役立ちそうだ。
 まだ初めの部分を読んだのみなので、読み了えて手応えがあったなら、ここで紹介したい。
 なお7月5日の記事に書いた、アメブロの記事アップの不調は、回復したようです。ご心配をかけました。


 

CIMG9383
 6月18日の記事で到着を報せた、綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2017年7月号を、ほぼ読み了える。
 巻頭の佐佐木幸綱「一九六六年」は、意外だった。大家が花舞台で、51年も昔の小さな事を、回想する歌を発表するしかなかった事に、かえって時代性を覗くよりないのか。
 平岡直子「スカートのそとの刺青」30首では、「つまさきを乗せれば沈む蓮の葉をあやうく渡りきったけれども」と、ある危機を渡りきった経験を詠んでいる。
 特集「介護の歌から見えてくる家族の姿」では、久々湊盈子「介護が生む兄弟間の軋轢」に救いを感じた。二人住まいの僕たち夫婦も、介護に入る日を想定せねばならない。
 篠弘「戦争と歌人たち」第四〇回では、学徒出陣を詠んだ歌から、取り上げている。
 「インタビュー 橋本喜典さんに聞く」(聞き手 柳宣弘)は第1回「軍国少年だったころ(戦前)、窪田章一郎先生との出会い」であり、戦後すぐに「まひる野」に入会するまでを、述べている



 角川書店「生方たつゑ全歌集」(1987年・再版)より、最後の第19歌集「漂泊の海」を読み了える。
 先行する
歌集「野分のやうに」は、先の6月28日の記事にアップした。
 この全歌集は、生前版なので、この後も歌集があり、現に1985年・刊の「冬の虹」を、僕は某古書店に注文している。
 「漂泊の海」は、1979年、短歌新聞社・刊。
 彼女の歌の功績に、抽象語・観念語の導入を前回は挙げたけれど、彼女は豊かな比喩を用い、象徴の域に達した歌がある。
 文学者を含めての周囲の応援と、自身のたゆみない努力の成果だろう。家庭的には、恵まれない面があったかも知れない。
 以下に7首を引く。
防風の痩せて貼りつきし砂原をふみつつ甦るわれの少女期
遭難碑海にむかひてたつ岬死の風景は明るすぎむか
弱音など吐かねど死(しに)は切なしよ君の遺品を分ちつつゐて
たましひに孤独ありやと思ひゐていたくはかなし生きゐる吾は
人を待つための春衣飾られし街あゆみきて雪のふる喪か
朝市のたちゐる中に売られゐる巻貝があり海藻があり
妬まれてゐるほどもなし馬鈴薯の芽をもげり微量の毒に魅(ひ)かれて
0-19
写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。



 

CIMG9312
 今年3月23日の記事、「入手した3冊」にアップした内、有川浩(ありかわ・ひろ、女性作家)の小説、「旅猫リポート」を読み了える。講談社文庫、2017年2月・刊。
 「旅猫リポート」は、ファンタジックな小説である。悟に拾われた雄猫「ナナ」(人間の言葉や他の動物の声を理解する)だが、悟に事情ができてナナを引き受けてくれる人を探しに旧知の人を訪ねて、銀色のワゴン車を走らせる、ロード・ノベルでもある。東京を出発して、北海道に至る。
 幸介、吉峯、杉夫妻、と訪ねるが、本人たちは飼う気があっても、それぞれ事情でナナを貰えない。最後に北海道に住む、独身の叔母(猫が苦手)を訪ねる。そこで悟の出生、両親の秘密、悟が手遅れの癌でナナの貰い手を探していた事が明かされる。
 悟は結局、ナナの訪問をうけながらその地の病院で亡くなり、ナナの死も近い事を示して小説は終わる。
 文体は、ナナの視点と、当事者たちの独白を交えて、描くものだ。人間を理解する猫の優しさと、人間の強さ弱さを示して、涙ぐましいものがある。


CIMG9389
 結社歌誌「覇王樹」2017年7月号が、6月25日に届き、ほぼ読み了える。
 
同・6月号は、今月3日の記事にアップした。
 「覇王樹」代表・発行人の佐田毅氏は、「橋田東聲の歌論と実作について」で、東聲の歌論として「(歌は)森に囀る小鳥の歌の如きもの、人間の「ひとり言」、何の手段でもない、それ自らが目的であると説く」と述べる。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。T・恵子さんの「想ひ出」15首より。
いつしかに手を離したる子の歩み後つけながら微笑みの湧く
 想い出の1景ながら、心理的な意味も、重ねられている。
 僕の6首は、アメブロ「新サスケと短歌と詩」の、
6月27日の記事より2回に分けてアップしたので、横書きながらご覧ください。


↑このページのトップヘ