風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケが、2017年10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

読書

 昨日に続き、結社歌誌「コスモス」2017年1月号より、「その一集」特選欄の読了を報告する。
 「その一集」は、1ページ12名くらいで、59ページあるから、特選欄を足して、約750名である。
 特選欄には、45名の各5首が、今号よりそれぞれ選者による題名が付され、外国・北国より南下する順に載る。
 2年間に8回以上、特選になると、「月集シリウス」へ昇級出来るが、難関である。
 付箋を貼ったのは、次の1首。K・師子さんの「勁き意志」5首より。
曼珠沙華の赤を厭ひしははそはの母は戦地で夫を亡くせり
 母の夫とは父であり、曼珠沙華の花の赤が、人の血を思わせるので母は厭うたのだろう。
 枕詞を用いるなど冷静な詠みぶりだけれども、熱い思いを内に包んだ1首である。
火鉢
フリー素材サイト「Pixabay」より、火鉢の1枚。



 結社歌誌「コスモス」2017年1月号より、「月集」を読みおえる。
 同号の到着は12月17日であり、12月20日付けの
記事(←リンクしてあり)で報せた。
 「月集」とは、毎度書くけれども、「月集スバル」(選者(現在23名)及び選者経験者よりなる)の「今月の四人」(4名×5首)と一般の「スバル」会員欄(35名×5首)と、「月集シリウス 特別作品」(12名×5首)、「シリウス」一般欄(127名、4首or5首)を指す。人数を書き上げた事に、特別の意味はない。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。選者の小島ゆかりさんの5首より。
「何者」と問ふ若者に「只者」と応へ立ち去る秋の妄想
 小島さんは、只者ではない。有名な有力な歌人である。1滴の、只者への郷愁があるようだ。
キャンドル
フリー素材サイト「Pixabay」より、キャンドルの1枚。



 花神社「茨木のり子全詩集」(2013年2刷)より、彼女が翻訳した「韓国現代詩選」の1回めの紹介をする。
 今月14日の
記事(←リンクしてあり)、「『スクラップブック』から」(3)に次ぐ。
 原著は、1990年、花神社・刊。
 年譜に拠ると、彼女は1976年(50歳)より朝鮮語を習い始め、1987年から3年間、季刊詩誌「花神」に韓国現代詩の翻訳を連載し、それらを中心に62編(詩集・約50冊から)を、まとめて刊行した。翌1991年、読売文学賞を受賞した。
 「あとがき」には、「隣国のひとびとの詩を好むこと尋常ならず」「ベストセラーになる詩集も多く、三十万部くらいは軽くいってしまうらしい」と嘆賞している。
 今回は、姜恩喬(カンウンギョ)の4編、金芝河(キムジハ)の5編、趙炳華(チョウビョンファ)の12編(おもに短詩)を読んだ。
 韓国は、大衆運動によって、政権を倒せる国だ。国民が幾ら頑張っても駄目な日本とは違う。芸術、囲碁、スポーツ等に対する、思い入れも違うのだろう。
 姜恩喬の「林」での、次々と木が揺れる様も、そのような心理を表わしているように思える。
 金芝河の「五賊」「蜚語」(僕は読んでいない)を、彼女は高く評価しない。「綱わたり」の末部を紹介する。「…見物衆はなろうなら/酷薄無惨がよござんすよ/生きる道なんざとっくの昔に封じられ/撲殺 血へど 何でもござれ 笑わせなくちゃ そうともよ/死とはすばらしいもの/たった一回こっきりの筈だから」。
 訳した詩人の末毎に、短い紹介が載っており、趙炳華は詩集「ルバイヤート」を想わせるが、はるかに暖かいと感じる、と述べられる。「共存の理由 12」の末連3行から。「別れがきたら/忘れることができる程度に/握手しよう」。
暖炉5
フリー素材サイト「Pixabay」より、暖炉の1枚。


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 短歌結社「コスモス短歌会」内の若者に拠る同人歌誌、「COCOON」Issue02が届き(僕はIssue05まで予約してある)、読みおえた。
 同・創刊号(Issue01)は、今年10月3日の
記事(←リンクしてあり)にアップした。
 巻頭24首詠が2名、他の人は12首詠を寄せている
 創刊号で、散文の文字が小さくて、読みにくかった問題は改善されている。
 散文では、同誌の歌論はレベルが高い。
 以下に5名の5首を引く。
 K・智栄子さんの「十月桜」24首より。
パソコンの前に座れば耳の中つね痒くなるわれも息子も
 K・絢さんの「海」24首より。
たつぷりの赤子は海のやうであり海は泣いたり笑つたりする
 O・達知さんの「ハツラツ」12首より。
(お)りますととなりの席にささやけり相対死(あひたいじに)を迫れるように
 S・佳美さんの「池畔」12首より。
われ目指す足音きこゆ振り向かず知れる<下の子、話したいかほ>
 M・竜也さんの「半月湾」12首より。
ハロウィンは決められた家に決められた道順で行く日本の子供
 幼い子を育てる歌を読めるのも、若者(今のところ)限定の同人歌誌ゆえである。
 僕は若者に親近感を持つが、同誌のシニア誌である「灯船」も、申し込んで読んでみようか。


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 坂井市三国町・在住(細かく書くには訳がある)の作家・評論家の張籠二三枝さんより頂いた、評論集「三好達治 詩のエピソード」を読みおえる。
 本を受け取った時の紹介は、今月10日の
記事(←リンクしてあり)、「頂いた2冊」にアップした。
 紫陽社、2017年1月・刊(先付け)。「三好達治 詩(うた)語り」に次ぐ。
 彼女の地元の(現)坂井市三国町に、詩人・三好達治は戦時疎開から戦後に掛けて、足掛け6年を在住し、再上京後も、幾度も詩や散文に表した。
 1952年生まれの彼女が、その場に接する筈もないが、全集を始め詳細な資料にあたり、当時の人の生き残り・大森杏雨さんからも聞き取るなどして、論を進めている。
 三国にある三好達治の2つの詩碑(「春の岬」と「荒天薄暮」)の縺れた経緯が「荒天薄暮」で語られる。「『戦ひやぶれし国のはて』など、不穏当な表現がある」と書くが、不穏当なのは建立した行政側にとってであって、文学表現として何の異もない。
 三好達治が琴を習おうとした事、有名な「馬鹿の花」の由来を語る。
 論の末尾近くになって、三好達治の「我ら何を為すべきか」の論と詩(同題)より、再軍備等に向かう日本への批判を引いて、現今の政治を彼女が批判するかのようである。
 しかし三好達治が古語・75調交じりの詩ばかり書いた時期、1947年には詩誌「荒地」が、1952年には詩誌「列島」が創刊され、若者たちの手によって戦後詩が逞しく育った時代だった事を、忘れてはならない。それらを知らない者たちが多くなった現在だけれども。
 僕は彼女が、郷里に在住した詩人にこだわり、時に詠嘆調に語る気持ちが、わかるような気がする。年齢、経歴、未来、彼女の人生が引き寄せるのだ。



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