風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

87
 先の10月30日の記事「届いた4冊」で報せた内、3冊目の、同人詩誌「青魚」N0.87をほぼ読み了える。
概要
 2017年10月25日、鯖江詩の会・刊。32ページ。参加者18名が、詩、評論を寄せている。
 B5判、2段組み。最近はほぼ年に2回の刊行を続けている。作品数に制限はない。
感想
 アメリカからワンベアー・H・幸子さんの詩「うどの大木」は、秋の花と木や、日本にはない植物回収車を描いて、風土を表わす。
 T・幸男さんは、「錯覚」を始め4編を、下段に写真・新聞記事切り抜きを添えながら、4ページの掲載である。東京都との往復(庭師として)は、82歳となり止めたようだが、彼の咆哮を聞き続けたい。
 K・大典さんは評論「戦前に回帰(文学は冬の時代に入るのか)」2ページで、時代への恐れを書いている。現に、僕の身近な詩人が活躍していたのに、詩を辞めてしまって、時代の影かと思ったものだ。
 A・雨子さんの評論「福井に生きた女性詩人」では、最近に逝いた福井の女性詩人2人を巡って、3ページあまりに渉って述べ、自説を展開する。
 僕のソネット(14行詩)4編は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、10月31日「言葉それぞれ」以降、わずかに改稿しながら毎日1編ずつ紹介している。
引用

 K・文子さんの「虫とバラ」では、薔薇に虫が付いていても放っておいたら虫がいなくなって、
「ああよかった
なんにもせずともすんだ
かわいい花をいっぱい咲かせてくれた
虫もいやな薬をかけられずにすんだ」
 と締めて、幸運な結果を描く。



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 思潮社「吉本隆明全詩集」(2003年2刷)より、初期詩編の2回目の紹介をする。
 
同・1回目は、先の10月22日の記事にアップした。
 なお上の写真は前回と違って、2重箱の外箱である。右上角に傷みがある。
概要
 
初期詩編Ⅲ(1944年の作品)19編と、Ⅳ(1945年の敗戦前の作品)2編を取り上げる。以降は戦後の詩となる。
感想
 初期詩編Ⅲは、「草莽」と題される。
 「原子番号0番」では、「私のやうな青くさい年齢になると/何をやつても救はれないやうな/どん底の意識を感じるのです」と、戦時下の本音を述べているようだ。
 「原子番号三番」では、「風は透明次元からの借りもので/…/唯光度と四辺の新鮮度が/大きな問題となつて現はれるやうです」と、戦後の彼の詩法を明かしているようだ。
 宮沢賢治の影響がある詩は、山形県の米沢高等工業高校に在籍していた、東北性があるかも知れない。
 「雲と風と鳶」では、「もう明日からはしづかな沈黙をまもつて/小さな自意識をかみしめませう」と、慎ましい孤独感を述べる。
 「草ふかき祈り」のような、戦争詩もある。
 初期詩編Ⅳは、「哀しき人々」と題される。
 「雲と花との告別」では、「おれたちは結局すべてのものの幸のために生命を捨てるのだ」と、戦時思想の極を述べている。

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 詩集を読もうと思って、「白秋全集」の「詩集編 1」を取出して来たのだけれど、その贅沢な編集ぶりと、感覚偏重にお手上げだった。
 それで以前より気になっていた、「吉本隆明全詩集」を取り出してきた。
 2003年、思潮社・刊。1,811ページ。価格2万5千円を、中古本1万5千円で入手。
 2重箱であり、写真は内箱の表である。
 なお僕は、勁草書房「吉本隆明全著作集」全15巻を読んでいたらしく(寄贈して今は手許にない)、この全詩集の多くの詩は、理解は別にして既に読んでいる。
概要
 吉本隆明の詩を、政治論や文学論、まして多くの論争から離れ、詩とのみ対して、本の順番ではなく、詩作の順番から取り付いたなら、取っ掛かりようもあるかと、初期詩編より読み始めた。大冊だけれど、「雨垂れ石をも穿つ」の気持ちで進みたい。
感想

 初期詩編「Ⅰ」は、1941年~1944年の7編である。
 宮沢賢治の影響を感じられる「朝貌」や、「序詩」の「大イナル祖国ノ闘ヒノ中ニ/自ラヲ捧ゲテ征カネバナラヌ」の戦争少年ぶりが、眼につく。
 初期詩編「Ⅱ」は「呼子と口笛」と題され、1943年・作の14編を集める。
 「呼子」は妹に宛てた書簡体で、生活詩派風な所がある。
 「フランス語回顧」では、当時の敗国・フランスを思い遣って、抵抗の思いがあるか。
 「ワタシノ歌」では、漢字・カタカナ混じりの文体で、壮士の歌だ。また一方、「花」では、木蓮の花をうたって、危うく戦争翼賛へ手放しで傾かない心情を描いている。


 

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 前川幸雄・詩集「弐楽半のうた」を読み了える。9月29日の記事「贈られた2冊」で紹介した、前川さんよりの2冊のうちの1冊である。
概要
 2017年9月、土曜美術社出版販売・刊。165ページ。
 前川幸雄(まえがわ・ゆきお、1937年~)さんは、国学院大学博士課程卒業後、工専講師時代に中国・西安外国語学院・他に留学し、上越教育大学・福井大学・仁愛大学で教授として、国語・中国語・漢文学を教えた。現在はカルチャーセンターの講師を務めている。 
 彼は、詩作(これまでに6冊の詩集)の他、現代中国詩の邦訳の先達として熱心で、これまでに5冊の翻訳詩集を出版している。他に翻訳小説集、漢詩を中心とした研究書がある。
感想
 5枚の日本画をめぐる4編の詩は、絵の鑑賞を越えて、思想を汲み取ろうとしている。
 「友情風景」9編では、友人、生徒、中国の詩人との友情を描く。
 また「先師追憶」5編では先達の師との出会いを描く。
 学問の、中国詩人の、知友の多い人である。
 橘曙覧になりかわった、「橘曙覧さんからの言伝て」なども面白い。
 詩と研究と教育に生涯を捧げて、傘寿を迎えようとする、幸福な学徒である。



詩集

 今月1日の記事
「贈られた2冊と届いた1冊」で到着を報せた3冊の内、初めの1冊、黒田不二夫・詩集「キャベツの図柄」を読み了える。
概要
 黒田さんは、福井県に在住、長く教職にある。教員、同・経験者が同人の詩誌、「果実」に参加している。
 第4詩集。2017年9月20日、能登印刷出版部・刊。
 帯、カバー、85ページ。4章(Ⅰ~Ⅳ)に分け29編と、あとがきを収める。
感想
 第Ⅰ章の冒頭「ネコ派 イヌ派」では、「自分の詩はネコ派でありたい」と述べる。
 「キャベツの図柄」では、全5連の第4連で、次のように書く。
たかが野菜と言うなかれ
ぴっちりと葉を巻いて育つキャベツ
このようにぴっちりとした
生き方ができるか
 キャベツの断面に、人生を想う、優れた作品である。
 第Ⅱ章に入って、「箱をつぶす」で、つぶした箱を様々に述べるが、箱とは現役教員のプライドだろうか。
 第1章、第Ⅱ章では、物に寄せて人生を描いているようだ。

 第Ⅲ章は、想像力を用いて世情への批判のようだ。「銀色の鳥」では、小都市の路上に降り立った銀色の鳥、「日野川沿いの田んぼに」では、田んぼに浮かぶ軍艦を、出現させている。
 第Ⅳ章では、家族との関わりを描いて、老いに入る境地を描く。
 「母の箱」より、1部を引用する。
箱に貯めていたものは
母であった証
母であろうとした証
母でありたいために捨てざるをえなかったもの
今 介護施設にいる継母
 「あとがき」で「人生最後の詩集になるかも知れないという思いは強い。」などと言わないで、これからも長く活躍してほしい詩人である。


 

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