風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

短歌

海、悲歌、夏の雫など 千葉聡
 今月6日の記事「3冊をダウンロード」で報せた内、千葉聡・歌集「海、悲歌、夏の雫など」を、タブレットで読み了える。
概要
 紙本版は、2015年4月14日、書肆侃侃房・刊(現代歌人シリーズ1)。Kindle版は、2016年1月27日・刊。
 価格は、紙本版が2,052円(Amazonのマーケットプレイスの中古本で、10円+送料350円より)、Kindle版が1,000円、Kindle Unlimited版が追加金無料。
 千葉聡の第5歌集である。208首、「桜丘高校の小さな黒板―あとがきにかえて」を収める。
感想
 ネット上に「千葉の短歌は未熟だが熱い」と書かれ、たしかに現代の大人(たいじん)の成熟には遠い。
 しかし彼は、成熟を目指していないと僕は思える。成熟が後退成長か、世間との馴れ合いを意味する時節、彼は成熟を拒否し、いつまでも若くあろうとする。1歩ずつの前進、成長は必要だけれども、と僕も思う。
引用

 以下に7首を引く。
「千葉Qへ」手紙の最後に書いてある T田が俺につけたあだ名が
悩みごと二つかかえてナイトラン大桟橋に着き伸びをする
Tの字は震えに震え「真剣に歌を詠めよ」と説教ばかり
母さんがくれた茶色い文庫カバー 太宰(だざい)専用カバーと決める
君に会って別にどうすることもない ただ会うということ 会うことだ
「始めまーす」マイに続いて全員が「はーい」と叫んでアップ始まる
県大会出場を決めたわがチーム 明日も練習 その次の日も



 短歌新聞社「岡部文夫全歌集」(2008年・刊)より、第5歌集「朱鷺」を読み了える。
 
第4歌集「魚紋」は、昨年12月11日の記事にアップした。
概要
 原著は、1947年9月、青垣会・刊。先の「魚紋」より、約9ヶ月後の刊行だった。
 橋本徳寿・序文「岡部君」、464首、著者後記「巻末小記」を収める。
感想
 橋本徳寿は序文で、敗戦の痛苦をしみじみ感じていない者の旺盛な作歌を不思議、美しい、頼もしいと述べ、また同じような者からの第二芸術論その他を空しい言葉だと断じている。序文の末尾で、「君の作品は大いに動きつつあるやうに感じる」と感嘆している。
 自然詠は純化し、主情の歌(相聞歌、家庭詠、産業詠を含む)は純化し、時に混じり合う作品もありながら、手応えは感じているようだ。
 掉尾の歌が「口にいでていまだいふべきことにあらぬひとつの思想昨日よりもちぬ」であって、弱者を踏み越えてでも前進しよう、という思想のように今は受け取れる。
引用

 以下に7首を引く。
笹山の寒きくもりにひびきつつ鶫のこゑかまたしきりなり
冬の光(ひ)はうすらにさむし白白とこの山中の砂に素枯に
(も)ゆる火の余燼のごとしといふなかれいのちかがやきて君を恋ふのみ
ふかき夜を地震(なゐ)に目ざめてひとりなり吾が児の骨は昨日葬りし
闇市に日の暮に来つ雑踏の饐(す)えし空気の黄も堪へがたき
あたたかき乳のコップを卓におきいづこより差すひかりとおもふ

貨車の炭(たん)降りこむ飯(いひ)を食ふ母児(おやこ)いづくをたより引揚げゆかむ
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写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。




 昨日に続き、邑書林「セレクション歌人3 江戸雪集」(2003年・刊)より、「「椿夜」抄」と「「椿夜」以後」を読み了える。
 邑(ゆう)書林の「セレクション歌人」は、歌論集1冊を含めて、全34冊のシリーズである。「別冊セレクション歌論」を除き、平均160ページ、定価1、300円(+税)となっている。
概要
 江戸雪(えど・ゆき)の第2歌集「椿夜」は、2001年、砂子屋書房・刊。
 ながらみ現代短歌賞、咲くやこの花賞(大阪市・主催)文芸部門、受賞。
 「セレクション歌人」になぜ、この「椿夜」を完本で入れなかったか、疑問が残る。
感想
 彼女は結婚しても、心の危機に見舞われたりする。そして、あとがきに「いつのまにか私は詠うことなしには夜もまともに眠れなくなった。」と書くほど、短歌に没頭する。
 妊娠・出産を経ても、わが子可愛い、だけでは済まず、社会との和解は成されない。
 ひらがなの使いどころ、会話体の使い方に、優れている。
 「「椿夜」以後」は、この本で4ページ、23首のみである。
引用

 以下に8首を引く。
くらがりに時がどっぷり充ちていて街のボタンをすべておしたし
たたかったくらいで過去にしないでね坂道くだる長い胴体
川ねかす町にみしみし妊りて目がくらむまで光吐き出す
のぞまれてだいじにされていたりけり夏には夏の柊が立つ
ふゆくさのような髪して子よわれを愛しつづけよ憎みつづけよ
わが身体えぐり生まれしおさなごは月光のごとしずかに坐る
こわいのよ われに似る子が突然に空の奥処を指さすことも
忙しくしている友の声清しわが耳黒いつぼみとおもう
(「「椿夜」以後」より)
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写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。




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 邑書林「セレクション歌人3 江戸雪集」より、歌集「百合オイル」を読み了える。
 本の購入は、昨年12月22日の記事で紹介した。
 また第6歌集
「昼の夢の終わり」の感想は、同じく12月13日の記事にアップした。
概要
 彼女は1966年、大阪府・生まれ。1995年「塔」入会、のち選者。
 原著は、1997年、砂子屋書房・刊。第1歌集。
 彼女は中学~大学と、女子校に学んだ。また10代の頃、熱心に教会に通い、聖書に没頭した。
 それらの特殊性も、彼女が社会に出て苦しむ、1因となったのではないか。
感想
 社会の苦しみ、頼りない青年との恋、別の男性と結婚しての違和感、と彼女の苦しみは絶えないようだ。しかも簡単に許される事さえ、拒もうとする。
 彼女の苦しみの元が、すべて男性原理に由るものではないとしても、男性読者としては心苦しいものがある。
 歌を詠む事で、心身の自傷に至っていないようである事が、救いである。
 心情を述べた句と、叙景あるいは行為の句を、うまく継いでいる。
引用

 以下に7首を引用する。
いらだちをなだめてばかりの二十代立ちくらみして空も揺れたり
ぼちぼちと言いつついつも命がけ雲は静かに崩れてゆけり
膝くらくたっている今あとなにを失えばいい ゆりの木を抱く
跳びあがり摑んだ枝はやわらかく あきらめ方がよくわからない
ひいらぎの咲く門を過ぎこなゆきのふりはじめたり もう逢えないんだ
じいわりと冷えくる朝(あした)夫のシャツはおれば重し他人の生は
ゆるされてしまいたくない 石のうえ干した雨傘風にずれゆく



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 結社歌誌「覇王樹」2018年1月号の到着を、載せ忘れていた。昨年12月28日(木曜日)に届いた。
 ほぼ読み了えたので、ブログ記事にアップする。表紙写真は、補正で暗くしてある。
 
同・2017年12月号は、昨年12月4日の記事で紹介した。
概要
 2018年1月1日付け・刊。46ページ。表紙絵が新しくなった。
 各クラス掲載欄以外に、巻頭「八首抄」8名各1首、「爽什」10名各6首、「10首詠」4名各10首、「力詠15首」2名各15首、がある。
 昨年10月1日に、京都市で催された「第59回覇王樹全国大会『歌友のつどい』報告記」が、モノクロ写真をまじえ、8ページにわたって掲載されている。僕は事情で参加できなかった。
感想
 僕の(8首出詠より)6首選、題詠・付句(各1首)、「紅玉集展望(11月号)」の2首・被批評、「私の選んだ十首(十一月号)」に取り上げられた1首を、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、
昨年12月29日の記事より、順次小分けに(横書きながら)掲載中である。
 昨年5月号からの募集評論の年間テーマが「自然」で、人事詠に強い関心を持つ僕は、応募しにくい。
 ホームページの更新が早く、元旦にはこの1月号よりの短歌が載った。
引用
 佐田毅氏・公子氏ご夫妻のご子息が逝かれ、毅氏は長歌と反歌2首、公子氏は「歌はざらめや」10首の、挽歌を載せた。
父母を慕へどつねに逢へざる子 病膏肓に入り逆縁となる(佐田毅氏)
「充君よく頑張つた」と言ふ医師に深々と頭垂れて礼(ゐや)する(佐田公子氏)




 

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