風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケが、2017年10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

短歌

覇王樹 5月号
 今日2回目の記事更新である。
 4月26日に、クロネコDM便で、結社歌誌「覇王樹」2018年5月号が届き、ほぼ読み了える。
 写真は、5月号の表紙である。
 同・4月号の紹介は、今月4日の記事にアップした。
概要
 「巻頭言」以下、通常立ての短歌と評論の他、今号は大森孝一歌集「老いの小夜曲」批評集がある。
 結社外の方が多く、5名の方が5ページにわたって論評している。
 また「覇王樹ゆかりの歌碑(17)」として、佐田公子さんが「橋田東聲の第二の歌碑(土佐中村)」を紹介している。昭和9年の除幕式であったという。
感想
 評論ではW・茂子さんの「落し文考(41)」、S・素子さんの「後水尾院時代の和歌43」と続いており、年間テーマ「道・路」に応じてK・順造さんが「三月号の歌の鑑賞「言葉そして分岐点」」、それぞれ1ページを寄せている。
 編集・事務局の方々のご努力はもちろん、会員の大きな協力もあって、歌誌が成り立っている。
 いつもは新号の発行直後に更新される、ホームページがまだ更新されていず、担当の方にトラブルがあるのかと心配である。
引用

 「爽什」のY・芙三恵さんの「寒波」6首より。
その昔水道氷りし事のあり風呂室外機に毛布をかける
 水道の凍結に困った時期があった。室外機をいたわるかのようである。
 「覇王樹集」のT・富士子さんの「映す」6首より。
台風の進路情報見るたびに吾と息子をライン行き来す。
 僕はまだラインを利用していない。遠く住む息子さんがいると、ラインは便利だろう。新しいアプリを使いこなす、進取性に感嘆する。

 僕の6首・他は、アメブロ「新サスケと短歌と詩」の、4月27日以降の記事に、少しずつ掲載しているので、横書きながらご覧ください。



新しい猫背の星
 4月20日の記事「歌集2冊をダウンロード(5)」で報せた内、尼崎武・歌集「新しい猫背の星」kindle unlimited版を読み了える。
 Amazonでの諸版の発行年次、価格については先の記事で述べたので、ご参照ください。
概要
 書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズの1冊である。
 尼崎武(あまがさき・たけし)は、1979年・生まれ。枡野浩一によって短歌を知り、師事。
 第1歌集「新しい猫背の星」は、323首、光森裕樹・跋「「正直なたましい」ひとつで」、著者・あとがきを収める。
感想
 彼は、幸せを強く求めた。優れた妻を得て、子供も生まれるが、何が理由か、別れてしまう。
 正直で優しい人が幸せになるべきなのに、この世がはじき出してしまう。
 ここで社会論をぶつ積もりはないが、不条理な、歪つな世の中である。それでも生き抜かなければならない。
 いわゆるニューウェーヴの歌人が、不幸そうで、短歌の力が及ばない場合があるようで心配だ。若者に負荷を掛け過ぎる時代のせいもあるようだ。
 短歌の姿は、句跨りなどが多いが、ほぼ定型に収まっている。
引用
 以下に7首を引く。

白桃の産毛をむしる 生きてんのにさよならなんてなくないですか
一番の幸せがいい? 二番から十番ぜんぶ叶うのがいい?
かわいくてがんばり屋さんで運がいい そんな女を嫁にもらった
もう俺は今日から生まれ変わるのに昨日のことで怒られている
トイレから戻ってきたら産まれてた お父様に似てせっかちな子ですよ
笑顔でのさよならをもう恐れない 春の光に溺れていても
さよならが聞けてよかった ふらふらの足に真新しい靴を履く





春戦争
 先の3月28日の記事、「歌集2冊をダウンロード(4)」で報せた内、陣崎草子・歌集「春戦争」kindle unlimited版を読み了える。
 Amazonの諸版の発行時期、価格等について、そこで述べたのでご覧ください。
概要
 昨日の記事、天道なお・歌集「NR」と共に、書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」の内の1冊である。
 陣崎草子(じんさき・そうこ)は、1977年・生まれ。大学美術科・卒業後、デザイン会社等に勤めるも、23歳で独立。
 絵本絵、絵本、小説、短歌を発表している。いわゆるフリーランサーか。
 歌集の巻末に、東直子・解説「生き延びるための覚悟」、著者・あとがき「以来ずっと」を収める。
感想
 20代の末に、穂村弘の短歌に衝撃を受け作歌を始め、2008年、歌人集団「かばんの会」入会。
 やや頼りない歌、頼りない生き方である。「こんなにもだれか咬みたい衝動を」と肉食系ながら、「この道がまちがった場所につづくこと」と結婚に行き着かない恋をし、生きゆく費用を算段したりする。
 「短歌は自己救済の文学である」と言われるから、力を与えてくれるけれども、無理な使い方をすると見放されるかも知れない。
引用

 以下に7首を引く。
こんなにもだれか咬みたい衝動を抑えて紫陽花の似合うわたしだ
どうやって生きてゆこうか八月のアイスクリームの垂れざまを見る
整理して出ていく誰もいない窓 なのに見送られているふりを
すっきりとした立ち姿を見てってよこれがあなたがたの生んだものです
この道がまちがった場所につづくこと知ってるぼくらのほどよい笑い
「思索型、と、いうらしい」関節の目立つこの手と長いつきあい
忘れたいことがあふれてくる夜更け首輪のにおいを嗅いでは祈る



 

NR
 先の3月28日の記事「歌集2冊をダウンロード(4)」で報せた内、天道なお・歌集「NR」を読み了える。
 Amazonでの諸版の発行時期、価格等については、そこで述べたので、ご覧ください。
概要
 天道なおは、1979年・生まれ、高校生時代より作歌を始め、早稲田短歌会を経て、(1時期「波濤」に在籍したようだが)、2003年より「未来短歌会 彗星集」に所属する。
 第1歌集「NR」には、250首、加藤治郎・解説「帰ることなく」、著者・あとがきを収める。
感想
 大学卒業、就職(営業職だったか)、結婚、出産を経て、退社。
 順調な生活に読めるかも知れないが、仕事は厳しく、第1子出産後も働こうとするが、止むなく退社したようだ。
 企業が、娘さんの若さと体力を搾り取って、放り出す典型である。
 現在はJCDAのキャリアカウンセラーとして、働いているようだ。
 短歌を支えに、時には武器として、これから先を歩んでほしい。
 なお解説名の「帰ることなく」は、春日井建の歌集名「行け帰ることなく」に誘発されたようだ。
引用

 以下に7首を引く。
約束をやぶってごめん惨惨とやさしい雨が降る場所にいる
懐かしいあの夕闇に立ち戻り立ち戻りして生きるのだろう
炎だつExcellグラフいくつかの受注決まりし五月、六月
ひっそりとヒトのかたちにしずもりて熟れゆく果実わが宮にあり
山間部および都市部はおよそ雨、NR(ノーリターン)とあるホワイトボード
コットンのねむりの中でおさなごがやさしく握る虹の先っぽ
新姓を貼り付けられて生き延びるこのベランダは終着点なり



 短歌新聞社「岡部文夫全歌集」(2008年・刊)より、この全歌集で8番目、「風」を読み了える。
 先行する
歌集「玄冬」は、先の3月4日の記事にアップした。
概要
 原著は、1948年、高嶺書房・刊。428首、著者「巻末小記」を収める。
 巻末小記に、師・橋本徳壽の励ましや、出版に丸山忠治という人の援助があったと記されている。
 壮んに活動していると、援ける人も現れるのだろう。
 また交友のあった棟方志功の装画を得ている。
感想
 40歳、壮年に至って、苦労をかけた妻を憐れむ歌が多い。
 また良心に痛む事もあるらしく、それを詠う歌もある。
 それは「ふかぶかとしたる陥穽をつくりつつ彼が陥ちるのを傍観しをり」という、生き方にも因るのだろう。
引用
 以下に7首を引く。
雪の夜の蠟のまたたき寒けきに何編む妻よともに生きたし
ゆたかなる雪美しき夜の縁に吾が妻が乾す潤鰯(うるめ)ひとつひとつ
煮ゆる小豆小指(をゆび)の腹にためしゐる妻よ五人目の児をみごもるか
少年は炎を浴びて働けり貧しき母に生れたるゆゑに(銑鉄)
ぎりぎりに生くるいのちか朝早も暗き焦燥がこころを嚙むも
冬青(もち)の葉のひとつひとつに溜る光(ひ)のにぎやかに寂し照りにつつあり
午後となる冬日にやさし吾が妻の鋏にむすぶ小さき鈴は
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写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。





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