風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

短歌

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 綜合歌誌「歌壇」2017年1月号を、ほぼ読みおえる。
 購入は昨年12月17日の記事にアップした。
 また
同・12月号の感想は、同・12月4日の記事にアップした。
 新春巻頭作品を読んで思うのだが、綜合歌誌の巻頭を飾る歌人は(あるいは歌集を商業出版できる歌人は)、100人に満たないかと思われる。
 数万人と推測される歌詠みのヒエラルキーの、最上部を占める人たちである。このようなピラミッド体制が、いつまでも続くとは思わないが、いかがだろう。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。三枝浩樹(以下、文中・敬称略)の7首と短文「空間を聴く」より。
空間(スペース)を聴くべくありて からまつは空よりこぼれこぼれては舞う
 「スペース」の語は、「スペースシャトル」のように宇宙を指し、キーボードの「スペースキー」のように電脳空間と繋がり、心の空間も指すようだ。
 「スペース」は、これからのキーワードとなるだろう。
 高野公彦インタビュー「僕の細道うたの道」(聞き手・栗原京子)が第8回で、いよいよ佳境である。
 穂村弘の講演録「言葉の不思議」では、言葉を「日常の言葉」と「詩の言葉」とはっきり分けるのは、相互接触の場で短歌とソネットを目指している僕には、完全には肯えなかった。


 新年も2日となりましたが、明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
 以下、通常のブログ更新に移ります。
 結社歌誌「コスモス」2016年1月号より、「COSMOS集」を読みおえる。
 先行する同「その一集」特選欄は、先の12月28日の
記事(←リンクしてあり)にアップした。
 「COSMOS集」は、「その二集」と「あすなろ集」の特選欄である。
 栄誉であると共に、昇級への大きな足掛かりとなる。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「その二集」特選より、K・哲虎さんの「唄いながら学ぶ」5首から。
甥を抱き消防自動車見ておれば乗っていいよと手招きされつ
 昨年10月号の「COSMOS集」をアップした、10月6日の
記事(←リンクしてあり)でも、彼の1首を取り上げたが、今号の5首ではプロボクサー歴の歌を脱し、生活詠となっている。
焚き火2
フリー素材サイト「Pixabay」より、焚き火の1枚。


 結社歌誌「コスモス」2017年1月号より、「月集」を読みおえる。
 同号の到着は12月17日であり、12月20日付けの
記事(←リンクしてあり)で報せた。
 「月集」とは、毎度書くけれども、「月集スバル」(選者(現在23名)及び選者経験者よりなる)の「今月の四人」(4名×5首)と一般の「スバル」会員欄(35名×5首)と、「月集シリウス 特別作品」(12名×5首)、「シリウス」一般欄(127名、4首or5首)を指す。人数を書き上げた事に、特別の意味はない。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。選者の小島ゆかりさんの5首より。
「何者」と問ふ若者に「只者」と応へ立ち去る秋の妄想
 小島さんは、只者ではない。有名な有力な歌人である。1滴の、只者への郷愁があるようだ。
キャンドル
フリー素材サイト「Pixabay」より、キャンドルの1枚。



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 短歌結社「コスモス短歌会」内の若者に拠る同人歌誌、「COCOON」Issue02が届き(僕はIssue05まで予約してある)、読みおえた。
 同・創刊号(Issue01)は、今年10月3日の
記事(←リンクしてあり)にアップした。
 巻頭24首詠が2名、他の人は12首詠を寄せている
 創刊号で、散文の文字が小さくて、読みにくかった問題は改善されている。
 散文では、同誌の歌論はレベルが高い。
 以下に5名の5首を引く。
 K・智栄子さんの「十月桜」24首より。
パソコンの前に座れば耳の中つね痒くなるわれも息子も
 K・絢さんの「海」24首より。
たつぷりの赤子は海のやうであり海は泣いたり笑つたりする
 O・達知さんの「ハツラツ」12首より。
(お)りますととなりの席にささやけり相対死(あひたいじに)を迫れるように
 S・佳美さんの「池畔」12首より。
われ目指す足音きこゆ振り向かず知れる<下の子、話したいかほ>
 M・竜也さんの「半月湾」12首より。
ハロウィンは決められた家に決められた道順で行く日本の子供
 幼い子を育てる歌を読めるのも、若者(今のところ)限定の同人歌誌ゆえである。
 僕は若者に親近感を持つが、同誌のシニア誌である「灯船」も、申し込んで読んでみようか。


 「生方たつゑ全歌集」(角川書店、1979年・初版、1987年・再版)より、第2歌集「雪明」を読みおえる。
 第1歌集「山花集」は、今月12日の
記事(←リンクしてあり)にアップした。
 歌集「雪明」は、1944年、青磁社・刊。1938年~1941年9月の628首。
 1937年には日中戦争が始まり、1941年12月には太平洋戦争が始まっている。
 生方たつゑの義弟の応召があったが、彼女は依然として旧家を守った。
 1936年、「アララギ」を脱会した今井邦子が、当時唯一の、女性のみの結社・月刊誌として「明日香」を立ち上げた時、生方たつゑも参加したが、1945年に事情を話して退会した。
 三重県の温暖な地に生まれ、大学哲学科聴講生の娘さんが、雪国の群馬県の旧家に嫁いだ苦しみから、歌に励んだともされる。
 以下に7首を引く。
渓だにを埋めし雪をわれはみてものを言ひたりひとりさびしく
蠟燭のはだか火さむく土蔵より持ちゆかしむる刀を選びつ(義弟応召)
寒潮のくらき面にかもめらはこゑ啼かずして光を曳きぬ
雪げかぜ吹くとは言へど庭石に凍(し)みつつ青き苔のうるほふ
春なかば雪のとざせる細谷を音にたちつつゆくみづはあり
秋の日のはやおとろふる高山に野鳩まどけきこゑつたはりぬ
野うばらとおぼしきしろさゆるる野に入りゆきし子よこゑさへもなし
暖炉4
フリー素材サイト「Pixabay」より、暖炉の1枚。








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 「生方たつゑ全歌集」より、第1歌集「山花集」を読みおえる。
 全歌集は、角川書店、1987年・再版。前のブログ「サスケの本棚」の管理画面・検索によると、2009年5月2日、三月書房のホームページより、再販本を購入している。7年半、待たせたわけである。
 写真は、2重箱のうち、外箱(輸送用箱?)である。内箱を写すべきかも知れないが、黒地に題箋が貼られているので撮りにくく、外箱を写した。
 縦長の普通の本に思えるが、本体は横長である。1ページに最多21首が載るが、ほぼ同型の短歌新聞社「若山牧水全歌集」(1ページ20首)に比べて、横長の分だけ読みやすい。社長時代の角川春樹の才覚だろう。
 生方たつゑ(うぶかた・たつゑ、1904年~2000年)が、旧家に生まれ旧家に嫁ぎ、歌を詠み始めた事に、異論はない。
 初期の歌は、「アララギ」風の写実に徹するものだったとされる(三省堂「現代短歌大事典」に拠る)。
 「山花集」(1935年、むらさき出版・刊)より、以下に7首を引く。
梅雨のあめ音もひそけく降る夜かも家びと寄りて茶に親しめる
(いにしへ)の貴人(あてびと)さげし勾玉のたまを並べて心足らへり
薄皮をぬぎてすがしく芽立ちたるサフランの鉢を日向にはこぶ
さむしろに拡げて干せる大麦にこぼれまじれる南天の花
引窓に残る明りを追ひつつも今一息と縫(ぬひ)次ぎてをり
きりぎりすは籠によわれり気にやみて盆十六日の今宵放てる
枯くさはひかりくもりてざわめけり鮒を養ふ池はよどみて
 (1部、原文のルビを省いた)。




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 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2016年12月号を、短歌作品中心に読みおえる。
 本の到着は、先の11月19日の
記事(←リンクしてあり)、「歌誌12月号2冊」の内にアップした。
 「コスモス」関係では、巻頭20首に桑原正紀(くわはら・まさき、以下文中敬称略)「鯉(カープ)物語」が今年の広島カープ優勝とその歴史を詠んで、御同慶の至りである。
 特集「今年を象徴する百首」では、鈴木竹志が10首の選者となった。
 また吉川宏志・歌集「鳥の見しもの」の書評「『はるかなもの』を見るために」を小島なおが、時評「新しさとは何か」を福士りかが、作品評10月号「時代を映す鏡として」を木畑紀子が、それぞれ担当して大活躍である。
 栗木京子の高野公彦へのインタビュー「ぼくの細道うたの道」は、第7回に至った。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。上田一成「渚」12首より。
サボテンの小さく咲きたる赤花をしばらく見守る火種のやうに
 「白檀」等の小花は、火種のようだったな、と思い返す。赤いサボテンの「紅玉」も、火種のようだった。

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