風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

短歌

 角川書店「生方たつゑ全歌集」(1979年初版、1987年再版)より、第5歌集「雪の音譜」を読みおえる。
 第4歌集
「浅紅」は、先の1月23日の記事にアップした。
 「雪の音譜」は、1953年、第二書房・刊。1950年~1952年春までの、作品を収める。
 題の命名は、「国民文学」の松村英一。
 夫の渡米、夫の公務員としての東京の公邸と群馬県の自宅との往復生活、歌に詠まれた娘の一時的離反など、苦悩の多い時期だった。
 ただしここまででは、政治的前衛ではなく、芸術的前衛という程もなく、冷静に身を処して詠い続けている。

 以下に7首を引く。



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 結社歌誌「コスモス」2017年2月号より、「COSMOS集」を読みおえる。
 先行する記事の、
同・「その一集」特選欄は、1昨日の記事にアップした(リンクは、後日の読者のため)。
 「COSMOS集」は、入門の「その二集」と、それに次ぐ「あすなろ集」の、特選欄である。
 若い人の恋歌や、還暦を過ぎての幸せの歌がある。名前の後に*マークの付く、新仮名遣いの会員も多い。
 歌歴が若く、総じて歌に勢いがある。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「あすなろ集」特選の、S凉子さんの「復習ひつつ行く」5首より。
暮れ方の遊歩道には人気なくバタフライの手を復習(さら)ひつつ行く
 人気はなくとも、健康のために泳ぐバタフライの手を復習いつつ歩むのは、おおらかな方なのだろう。
022
「写真AC」より、チョコレートの1枚。多くの男性の意を表して。


 

 結社歌誌「コスモス」2017年2月号より、「その一集」特選欄を読みおえる。
 
先行する同「月集」の記事は、1月26日付けでアップした。
 「その一集」特選欄は、9選者×各5名×各5首の、計225首である。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。Y・アヤ子さんの「あらうことか」5首より。
夫逝きて四年を過ぎぬ平常心取り戻ししか衝動買ひ止む
 言葉の流れは良くないけれど、微妙な心理を捉えている。
 僕もストレスか、本を衝動的に買う事があるけれども、衝動買いとして意識して買う訳ではない。
 「これを逃がしたら機会がない。今なら支払える」とか、「これは安い。売り切れれば、古本はプレミアムがついてしまう」とか、理由を付けて買っている。この状態が危ないのだろうから、戒めねば。
白鳥8
「Pixabay」より、白鳥の1枚。



CIMG9239
 砂子屋書房・現代短歌文庫127「続 森岡貞香歌集」(3歌集全編+歌論・エッセイ)より、3番めの歌集「敷妙」を読みおえる。
 先行する
歌集「夏至」は、今月18日の記事にアップした。
 原著は、2001年、短歌研究社・刊。
 この「敷妙」は、年次的に「夏至」に次ぐ第8番の歌集であり、また森岡貞香(1916年~2009年)の生前最後の歌集である。没後、3歌集「九夜八日(ここのよやうか)」、「少時(しばらく)」、「帯紅(くれなゐ帯びたり)」が、いずれも砂子屋書房より出版された。(Wikipediaに拠る)。
 「敷妙」には、破格というより乱調の歌も少し交え(例えば「死ぬるにも何なさむにもなすことのなきと言ひさしてねむりし」では、下の句(77)の切りようもわからない)、逝いた母(同居していた)を詠うなど、優れた作品を多く収めた。
 この文庫には後、13編の歌論・エッセイを残すのみである。
 以下に7首を引く。


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 結社歌誌「コスモス」2017年2月号より、作品欄の巻頭の「月集」を読みおえる。
 
同号の到着は、1月20日付の記事にアップし、僕の作品へのリンクを張ってある。
 「月集」は、2つに分かれる。
 その「月集スバル」(選者、選者経験者の欄)は、「今月の四人」とそれ以外に分け得る。
 次ぐ「月集シリウス」は、「月集シリウス特別作品」(12名)と「月集シリウス」通常欄に分かれる。
 「その一集」の僕は、「月集」の作品をお手本にしたいのだが、僕には無理なのだろうか、判らない。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「月集シリウス」より、カナダ在住のS・紀子さんの5首から。
わが歌集読みし息子のコメントは「オレの出番はあまりないねえ」
 僕はこの歌集「カナダの桜」を頂いており、昨年9月16日付けの拙い記事を書いた。
 2人の息子さんと1人の娘さんは、時おり登場し、微笑ましかったと記憶する。
 モデルにされる事を嫌う妻とは、大きな違いだ。
白鳥4
「Pixabay」より、白鳥の1枚。



 角川書店「生方たつゑ全歌集」(1987年・再版)より、第4歌集「浅紅」を読みおえる。
 第3歌集
「春盡きず」は、今月8日の記事にアップした。
 原著は、1950年、女人短歌会・刊。
 「女人短歌会」は、1949年、女歌の発展を期して、北見志保子、五島美代子、生方たつゑ、長沢美津らが流派を越えて発足させ、1997年、当初の使命を果たしたとしてみずから解散した。(三省堂「現代短歌大事典」2004年・刊に拠る)。
 「浅紅」は、師・松村英一の命名で、「春盡きず」に先行して刊行された。
 1947年~1950年春までの作品を集める。
 「巻末に」では、第2芸術論等の衝撃が示唆されており、この歌集にはこれまでほとんど無かった字余り・字足らずの歌が少し散らばり、また生の希求が詠まれている。
 以下に7首を引く。

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CIMG9239
 砂子屋書房・現代短歌文庫127「続 森岡貞香歌集」収載の3歌集全編より、2番めの第7番歌集「夏至」を読みおえる。
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「黛樹」(たいじゅ)は、今月10日の記事にアップした。
 「夏至」は、2000年、砂子屋書房・刊。翌2001年、同・歌集によって斎藤茂吉短歌文学賞・受賞。
 あとがきによると、1985年~1993年の作品を、やや後に刊行している。森岡貞香(1916年~2009年)の、ほぼ69歳~76歳の作品であり、題名は女流歌人の盛りを表わすのだろうか。
 280万部のベストセラーとなった俵万智「サラダ記念日」の発行が、1987年である。
 そのせいかどうか、僕が選びたくなる短歌は、歌集の初め部分に多かった。
 戦地より帰還して半年くらいで亡くなった夫とその後の回想の歌、忌日、墓参の率直な歌がある。



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