風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケが、2017年10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

短歌

硝子のボレット
 今月14日の記事、「歌集2冊をダウンロード(3)」で入手を報せた2歌集の内、田丸まひる「硝子のボレット」を読み了える。
 kindle unlimited版を、タブレットで読みながら、気になる歌をノートにメモしてゆくのだが(ハイライト機能がないので)、読み了えて引用分の丁度7首だったのは、愉快でまた危機感もあった事だった。
概要
 歌集の諸版の発行年次、価格などは、リンクで先の記事を読んでください。
 田丸まひる(たまる・まひる)は、1983年・生まれ。2011年、「未来短歌会」入会。2014年より、「七曜」同人。短歌ユニット「ぺんぎんぱんつ」としても活動中。
感想
 まず第一に、エロチックな歌が多い。あとがき「短い歌」の中で、「事実ではなくても真実を」と書くように、事実を述べたのではない。こうまで放埓な生を送ってはいないだろう。歌に出て来る「官能小説(女性向け?)」の読み過ぎかも知れない。
 職業は精神科医であるという。歌に頼り、性の歌をも詠まないと、仕事と生が持たないのだろう。
 しかし方向転換しないと、彼女の未来は明るくない。
 「ボレット」は「弾丸」の意であるという。
引用

 以下に7首を引く。
縫いつけてもらいたくって脱ぎ捨てる あなたではない あなたでもない
あたたかい言葉まみれの決別の手紙ちいさくちいさくたたむ
一生眠れる薬ほしがる女子生徒に言い返せない 夕立ですか
甘いもの好きな子どもが死にたがる世界に機関銃を野ばらを
窓開けてしよう向こうの国道のトラックにまで見せたい裸体
スプーンを使いこなしてわたしまですくい取るなら結婚してよ
ニーソックス片足立ちで脱ぎながらいつかわたしはぼろぼろになる




あまねそう「2月31日の空」
 今月1日の記事「入手した2冊」の、後のほうでダウンロードを報せた、あまねそう・歌集「2月31日の空」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
概要
 2013年3月17日・刊。kindle版:250円。kindle unlimited版:追加金無料。
 初め題名に因み、3月3日までのunlimited版・発行のように書いてあったが、現在もunlimited版がAmazon上で販売されている。
 著者は、1976年・生まれ、中学校教諭を経て、研究所勤務(臨床発達心理士)。
 歌人集団「かばん」会員。
感想
 2013年にkindle版のみの歌集を自力で出版するには、多大な勇気と技術が必要だったと、僕は思う。
 201首、あとがき、著者略歴を収める。
 著者と内に併走するように感じて来た少年が、第1子の誕生後に消え、新たな作品を生めるように感じ、区切りとして「第一歌集を青春歌集として出版する事にした。」
引用

 以下に7首を引く。
 ハイライト機能があるので、気になる短歌にハイライトをし、ノートでそれを参照すれば良い。
てつぼうに手のとどかない子のために広がっている青空がある
「ヘーゲルは分からないけど」(他の事は知ってますよ)という含みあり
睨まれているほうがいい教員がつくり笑顔で近づいてくる
白色に濃さのあること思いつつ牛乳を飲む雨の降る朝
ゆうらりとうたたねをして過ごす午後インターフォンを鳴らすペリカン
人類の得てきたどんな権利より優先されるおばちゃんのチャリ
旅行用歯みがきの味やや甘くたぶんうちより水が冷たい


声、あるいは音のような
 岸原さや・歌集「声、あるいは音のような」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 入手は、先の2月22日の記事、
「歌集2冊をダウンロード」の、初めにアップした。
 歌集の諸版の刊行年次、価格などは、その記事を参照してください。また以前の同・「100首選」の感想へも遡り得る。
概要
 岸原さや(きしはら・さや)は、静岡県・生まれ、東京都・在住。2007年、結社「未来」に参加、加藤治郎に師事。
 ブログ
「さやかな岸辺」を運営する。ツイッターでも盛んに発信している。
 この歌集には、284首、加藤治郎の解説「薄闇に」、著者・あとがきを収める。
感想
 彼女は母の自死、失恋など、辛い経験を重ねたようだ。神経症的にまでなりながら、短歌の力、キリスト教の信仰などに支えられ、生きているようだ。
 加藤治郎の解説に、「そこは、眠りと死が混じり合っている」、「苦しみを言い放つところから始めれば良い。」と述べている。僕は同人歌誌に参加して救いを感じ始め、結社歌誌に加わって救いを確信した。苦しみを発表することは、ほとんど無かったが。短歌には、神も魔人も居る。
 僕は科白でも呟きでもなく、傍白(演劇で、共演者には聞こえない設定で、観客に聞かせる科白)の、詩歌でありたいと願っていた。悪い時代の今は、未来に残す呟きだ。
 引用の5首目の「のろのろと」は、怠けているのでも、能力がないのでも無く、安全第一で全力で作業し続けていると、現場出身の僕にはわかる。7首目は、対句に惹かれたのだが、今となってみると、オブラートもビブラートもない歌を詠むから、という宣言に聞こえる。
引用

 以下に7首を引く。
かなしみがかなしくなくてくるしみもくるしくなくて熱だけのある
なぜだろういつか忘れていくことを小さな脳に刻もうとする
もう好きにさせてもらおう、くだらない。そんな言葉を叫び出しそう
死ぬことと生きてることの境いめが目にしみる夜は横向きに寝る
幾何的な巨大キリンのクレーン車が建材を吊るのろのろと今日も
花の名を呼び出すように寝台でひらくカラーの鉱物図鑑
オブラートに包みましょうか。ビブラートを響かせますか。いいえどちらも




角川「短歌」3月号
 先の2月28日の記事で、ダウンロード購入を報せた、角川「短歌」2018年3月号(kindle版)を、ほぼ読み了える。
 同時にダウンロードした、「角川ソフィア文庫 解説目録2017」も読み了え、気になる本はあったが、買わなければ、という本はなかった。
概要
 2月24日・刊。724円(紙本版:930円)。投稿券なし。
 角川文化振興財団・発行、(株)KADOKAWA・発売。237ページ。
特集 出会いと別れ
 僕は師に恵まれない定めのようだ。小学5年生の頃、学問に(というか知的世界に)目覚めさてくれたY先生、同人歌誌にいさせてくれたT・尚計さん以外には。
 結社誌「コスモス」に24年余、属したけれども、宮柊二氏に感動した訳でなく、大きな結社、でも「アララギ」は1首2行書きだから、「コスモス」に入会した丈だった。初めに気に掛けてくれた伊藤麟氏も、すぐに亡くなられた。
 支部歌会は辛い場で、仕事と同じ面従腹背を通した。
 特集の「出会いと別れ」は、時期的なものだが、どんな裏があるかわからない、という感じだ。とくに見開き2ページでは。
作品
 巻頭28首、巻頭10首、作品12首、作品7首、と見事にピラミッド型になっている。
 綜合歌誌トップの安穏に浸っていると、転落の場合があるかも知れない。
 批判的な事ばかりを書くつもりは無かった。作品からは充分に栄養をもらっているので、その事は明記しておく。
引用
 転載は厳禁されているので、百瀬かつみさんの「レジメ用紙」10首より、下の句のみを1首。
・・・あと幾春の二人にあらむ
 老夫婦が冬を越え、春を迎えて、しばらくの生への猶予を得た、侘しく深い喜びを、表わし得ている。



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 つかさんのツイートを、佐佐木頼綱さんがフェイスブックでシェアしていて、短歌のネットプリントの発行を知った。3月6日午後3時頃、近くのローソンで取り出した。
 ネットプリントは、今年1月29日の記事にアップした「else 短歌連作交換」以来である。
概要
 題名「ゆふぎり(夕霧)」、セブンイレブン以外のコンビニでは、3月9日14時まで、ユーザー番号は8HM4FTYYNE。
 白黒、A4判、両面印刷、2枚、80円。
 大塚亜紀さんが企画・編集。1979年生まれの6人の歌人の協力で、一人7首(題名なし、自己紹介あり)の42首の作品集となった。
感想
 結社の枠をはみ出し、綜合歌誌の依頼を待たず、こうして短歌作品の発表の場を持てる事は、ITの成熟の1環だろうか。
 露悪的な人、子育て中の女性、敬虔な人、同年生まれといっても、性格は様ざまである。
 しかしバブル期に育ち、就職氷河期を越えた、性格的に危機的なものが共通しているように思える。今の世を生きる者の、共通点か? 仕事をリタイアした僕には、よく判らないけれども。
引用

 参加者名と1首を、掲載順に引く。
 尼崎武
きみが死んで悲しむ人はいるけれどほっとする人ならもっといる
 山本夏子
風船のように無口になる娘そんなにがんばらなくてもいいよ
 本条恵
「銀のさら」のチラシを前に夢想する「鬱」一人前「愛」三人前
 大塚亜紀
がんばるなとか言わないで がんばるをやめたら目玉焼きも焼けない
 工藤吉生
無愛想だった郵便局員が今日はにこやか。その理由とは?
 佐佐木頼綱
日本語は違ふ気がしてアリゾナの鹿の骸にただ手を合はす



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