風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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俳句

 岩波文庫の一茶「七番日記」(上)より、7回め、しまいの紹介をする。
 同(6)は、今月11日の記事にアップした。




 今回は、文化10年7月~12月(閏11月あり)、387ページ~439ページ、53ページを読んだ。
 年末に、383日・在庵75日、年尾・1123句、と記した。
 定住した北信濃は住み心地が良かったらしく、夏の涼むともなく、山霧の抜ける座敷、冬の炭火などを吟じている。
 51歳での独身を嘆くが、翌年、文化11年には52歳で初めて妻を迎えた。
 以下に5句を引く。
(すずみ)をばし(知)らで仕廻(しまひ)しことし哉
膳先
(ぜんさき)は葎雫(むぐらしづく)や野分吹(ふく)
汁鍋にむしり込(こん)だり菊の花
福豆も福茶も只の一人哉
(ゆく)としや何をいぢむぢ夕千鳥
コチドリ
写真ACより、「コチドリ」の写真1枚。




 岩波文庫の一茶「七番日記」(上)より、6回めの紹介をする。
 同(5)は、今月5日の記事にアップした。




 今回は、文化10年正月~6月まで、320ページ~386ページ、67ページを読んだ。
 この正月、継母弟との遺産分割の和解成立、田畑・山林・家屋敷を得て、北信に定住した。その安住を窺わせる句がある。これまでにも、帰郷の折に巡回し、門人を得ており、江戸仕込みの宗匠として活躍できた。門人には有力者や素封家が多く、生活できた。
 岩波文庫では、見開き2ページの左端に語注欄があり、読み進めやすい。

 以下に5句を引く。
かすむ日や飴屋がうらのばせを
(芭蕉)
(わが)蒔いた種をやれやれけさの露
笠き
(着)るや桜さく日を吉日(きちにち)
赤犬の欠
(あくび)の先やかきつばた
青空はいく日ぶりぞ蟬の鳴
(なく)

ヒグラシ
写真ACより、「ヒグラシ」の写真1枚。


 岩波文庫の一茶「七番日記」(上)(丸山一彦・校注)より、5回めの紹介をする。
 同(4)は、先の9月27日の記事にアップした。



 今回は、文化9年7月~12月、281ページ~327ページの47ページ分を読んだ。ただし前回同様、文化11年・12年の書き込みが4ヶ所にある。
 なお書き残したが当時、一茶は家無し状態だったため、文化8年の末に、総日数384日(閏2月があった)の内、随斎に49宿、松井に183宿、本行寺に7宿、と貴重な記録を残している。文化9年末には、354日、在庵6日、他郷348日と記録している。年尾1080句と記し、多産である。
 この年末より郷里に帰り、文化10年正月、年来の遺産問題の和解成立、田畑、山林、家屋敷の分割を得て、信濃(今の長野県)に腰を据えた。

 以下に5句を引く。
(おい)たりな瓢と我(われ)が影法師
陽炎
(かげろふ)や土の姉さま土僧都
かけ金の真赤に錆
(さび)て寒(さむさ)
(これ)がまあつひの栖(すみか)か雪五尺
水かけて夜にしたりけり釣忍
(つりしのぶ)
瓢箪
写真ACより、「瓢箪」のイラスト1枚。




 岩波文庫の一茶「七番日記」(上)より、4回めの紹介をする。
 同(3)は、今月13日の記事にアップした。



 今回は、文化9年正月~6月の半年分、219ページ~280ページの62ページである。ただし6月の中に、文化10年10月分11月分が、記されている。紙の貴重な時代、余白を借りたものらしい。
 狂歌の流行のせいか、庶民生活的、俗語の多用、滑稽味の強調、などがある。
 現代俳句に至る流れとは、1筋違っているだろう。

 以下に5句を引く。
(寄)るは年さはさりながら梅の花
鉢の松是
(これ)も因果の一つ哉
(菜)の花のとつぱづれ也ふじの山
いざい
(往)なん江戸は涼みもむつかしき
ちりめんの狙
(さる)を抱く子よ丸雪(あられ)ちる
松の盆栽
写真ACより、「松の盆栽」のイラスト1枚。


 岩波文庫の一茶「七番日記」(上)より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、先の8月30日の記事にアップした。



 今回は半年区切りでなく、文化8年正月~12月まで、135ページ~215ページの、81ページを読んだ。旧暦なので、正月に梅の花の句があったりする。
 上段の日記には、社寺の催し、火事の記事が多く、信仰厚く、火事の多かった時代が、偲ばれる。
 一茶は、寺社の住職の知り合いも多かったようだが、俳句を読むと熱心な信者ではなかったようだ。小鳥や虫に親しむ傾向がある。
 年末の項に、「年尾四百七十二句也」とあり、多産である。文化7年は「年尾惣計六百七十九句也」とあるけれども。

 以下に5句を引く。
例の通
(とほり)梅の元日いたしけり
人のいふ法ホケ経や春の雨
名月や門
(かど)から直(すぐ)にしなの山
腹の虫しかと押
(おさ)へてけさの雪
しぐるゝや軒にはぜたる梅もどき
梅の花
写真ACより、「梅の花」のイラスト1枚。




 岩波文庫の一茶「七番日記」(上)より、2回めの紹介をする。
 同(1)は、今月23日の記事にアップした。



 今回は文化7年7月~12月、89ページ~133ページの、45ページ分である。
 文化10年、継母・継弟との和解が成立して、田畑からの収入を得るようになるまで、文筆一本の生活であり、実際上、豪商・寺の住職を頼り、門人等に頼って生活していた。パトロンと門下が頼りだったのである。
 文化7年は、江戸流寓時代と言われる中の1年である。
 夏の涼み、冬の暖房の心配、等が吟じられている。

 以下に5句を引く。
咲たての朝皃
(あさがほ)(値)ぎり給ふ哉
痩蛙まけるな一茶是に有
はつ時雨俳諧流布の世也けり
雪ちるや七十皃の夜そば売
とし暮て薪一把も栄耀
(ええう)

朝顔
写真ACより、「朝顔」のイラスト1枚。


 句集を読むのは、今年6月6日に読了を記事アップした、角川ソフィア文庫「西東三鬼全句集」以来である。


七番日記(上)
 一茶の「七番日記」(上)は、岩波文庫、2003年・初版。長く蔵して来た本で、僕は2008年まで喫煙していた事もあり、本文がかなりヤケている。ただし読むに不都合はない。
 今回は、初めより88ページまで、文化7年正月~6月までを取り上げる。
 体裁は句日記だが、旅行の記録、世事(火事、盗賊、殺人)などの記事を交える。
 毎月100句程を記録しており、別案も混じる。
 一茶の句は、庶民の情景をやや戯画化した所に、特徴がある。継母、継弟との折り合いが悪く、父の没後、ようやく遺産分けをしてもらい、家に寄り付かなくなる。
 朝日古典全書で「一茶句集」を読んだ記憶がある。


 以下に5句を引く。
(おい)が身の直(値)ぶみをさるゝけさの春
朝陰や親ある人のわかなつみ
朔日や一文凧も江戸の空
(かへる)(かり)我をかひなき物とやは
それなりに成仏とげよ蝸牛


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