風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

小説

 沖積舎「梅崎春生全集」(全8巻)の第2巻(1984年・刊)より、前ブログ「サスケの本棚」と通算して第5回めの紹介をする。
 今回、僕が読んだのは、「麵麭の話」、「蜆」、「虹」の3短篇小説である。
 「麵麭の話」は、ご飯も食べられぬ戦後の貧しい家庭を持つ男が、裕福な知人の家で、白いパンを何個か盗んで、家に帰ろうとする主ストーリーである。ここにあるのは、法的な問題ではなく、倫理的な問題であり、背後に社会的問題がある。
 「蜆」は、蜆の闇屋をする男と、「僕」が外套の遣り取りのあと、男が「浅墓な善意や義侠心を胸から締出して、俺は生きて行こうとその時思ったのだ」と告白する。
 「虹」は、善意の学者の「先生」と、彼から翻訳の下請けを貰っている「私」と、街娼になれない「花子」の、心理的に絡み合うストーリーである。
 いずれも敗戦後すぐの、荒廃した人心を描いている。
 小説は、紹介するより、読んで貰う他ないものだ。
 梅崎春生は、1915年・生、1965年・没、享年わずか50.だった。
apple5
フリー素材サイト「Pixabay」より、りんごの1枚。

CIMG9042
 大江健三郎の小説「水死」を読みおえる。
 講談社文庫、2012年・1刷。
 年老いて根気がなくなり、長編小説や難しい評論は読めないと書きながら(「サスケの本棚」などで)、文庫本で536ページの小説を読んでしまった。
 この小説の文体は、難しくない。大江の文章の呼吸といったものに慣れれば。
 内容が、何を言いたいのかわからない、とある喫茶店のママも嘆いたが、大江の大きなエモーションを感じるだけで良い。
 特殊な私小説だから、筋立てには、好都合が多く起きる。
 電話・対話の会話体、書簡・日誌の文章体が、自在に挟まれる。
 そして女優のヒロインが再び犯され、公演が中止になる、意外なアンチ・クライマックス。
 作家は、予定調和を(自身にも)信じていないようだ。

↑このページのトップヘ