風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

評論、エッセイ、対談集

 県内の詩人、漢文学研究者の前川幸雄さんが下さった、文学総誌「縄文」第4号をほぼ読み了える。
 受贈は、先の9月29日の記事、入手した5冊(4)で紹介した。2019年8月30日、縄文の会・刊、22ページ。

d・文学総誌「縄文」第4号
 題字が替わり、前川さんの中国留学時代より交流がある、馬歌東氏の作の篆刻である。
 同・第3号の記事が、このブログに見つからないが、同・第2号は昨年4月5日の記事にアップした。



 前川さんの巻頭言「橋本左内と中国の文人たち」は、彼が最近多く研究している県内の漢詩に絡めて、450余首の漢詩を残した橋本左内の中国文献・思想の受容の研究が必要不可欠と説く。

 一般研究では、Y・信保さんの「ナマズの謎を追う(3)」が、「地震とナマズの結びつき」「水神としてのナマズ」「瓢鮎図考」(鮎はアユでなく、鯰のこと)等で、研究を進めている。

 前川さんの2つの講演の記録と、受講生の反応の文章が、B5判2段で5ページに渉る。
 
 Y・絹江さんの7言絶句「懐東篁師弟愛」(東篁の師弟愛を懐う)、「観国宝曜変天目茶盌」(国宝曜変天目茶盌を観る」を載せ、M・善男さんの7言絶句も紹介されている。

 T・義和さん、M・昌人さんの随想が各1ページ、Y・里奈さんの感想文「『田奇詩集』と『赤 私のカラー』の魅力」は、前川さんがかつて邦訳した現代中国詩集を2ページに渉って評した。

 人材、内容、共に力があり、各文にはモノクロ写真を付し、文学総合誌と呼んで良い豊かな雑誌である。




 先の8月5日にアップした記事、入手した5冊(3)の内、張籠二三枝さんの「三好達治 詩(うた)まくら」を読み了える。
 2014年、紫陽社・刊の「三好達治 詩語り」、2016年12月22日の記事、張籠二三枝「三好達治 詩のエピソード」に次ぐ、三好達治・評釈の第3編である。

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 各種「三好達治全集」を索捜し、周囲の人物の文章を挙げながら、三好達治の詩の真意を探ってゆく。
 福井県坂井市(当時、坂井郡)三国町に仮寓した5年間を主とする。しかし、三国町での萩原アイとの短い結婚生活は、萩原葉子「天上の花」に詳しいからか、この3冊であまり触れられていない。
 戦後も57調の詩ばかり書いていた三好達治を、今に論究する価値が、どこにあるのか。著者の郷土愛ばかりでなく、初期抒情詩と戦中の翼賛詩に注目が集まる中で、戦後の詩を含めて評価しようとするのだろうか。
 若者があからさまに「戦前」と呼ぶ時代に、三好達治の評価の底上げを図るものでなければ良いが。彼女の1連の作品は、お嬢様文学ではない。



 まだ購入を報せていなかったけれども、文春文庫「羽生善治 闘う頭脳」(2017年・6刷)を読み了える。
 8月27日に、メルカリの380ポイントで注文した。

闘う頭脳
 今月2日の記事、羽生善治「決断力」を読む、で僕は疑問を感じるようになったと書いた。
 それなのになぜ読んだかといえば、この本は音楽のリスペクト盤CDみたいなもので、ゴーストライターの入る余地は少なく、インタビュー、他棋士の寄稿、対談、エッセイなどを集めた本だからである。
 谷川浩司を目指し、森内俊之、佐藤康光、藤井猛、郷田真隆、深浦康市ら、ライバルと共に、盤上で闘い続け、様々な要点を掴む様が描かれる。
 対局は、勝負というより、棋力の向上、棋理の究明につながる事として指される。
 対談で、引退要因などを訊かれるが、どのような時と明言していない。同世代が盛りを過ぎるなか、彼の孤独な闘いは続くだろう。


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 先の8月9日の記事、将棋棋士本4冊が届く、で紹介した内、羽生善治「決断力」を読み了える。角川oneテーマ21、2011年・28版。
 読み了えた羽生善治・本として、今月21日の記事、同「大局観」を読む、に次ぐ。

 将棋棋士からの本で、自己啓発的なものに、疑問を感じるようになった。
 1つは、ゴーストライターの著だろうという事である。インタビューや口述はあっただろうが、文章を膨らませる時、ライターの私観も入っただろう。
 年間に数10局も対局する忙しさで、まとまった著作は出来ないだろう。

 もう1つは、僕は囲碁的な考え方をして来て、僕の人生の勝敗は別に、途中で投了せずに終盤に向かう、数え碁だという思いがある。来年は古希の身だから、静かに寄せから、終盤に向かいたい。

 将棋の本は参考程度に、また将棋観戦は「観る将」として、切った張ったの将棋の世界を楽しんでゆきたい。


 今月9日の記事、将棋棋士本4冊が届くで報せた内、羽生善治・永世7冠の「大局観」を読み了える。
 リンク記事より、将棋関連本へ遡れる。

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 新書版で、角川oneテーマ21、2011年11月・初版。定価:724円+税。234ページ。

 同感した事に、大局的に見る、がある。迷路の出口がわからない時は、俯瞰的に、鳥瞰的に、上から見れば道筋のわかる場合が多い。
 もう1つ学んだ事は、リスクを取れ、という言葉である。博打を打つな、ともある。
 僕は若い頃、ある事に巻き込まれて痛い目に遭い、長く尾を引いた。それで慎重になり、博打嫌い(宝籤より、食事か本がよい)となった。
 ただ、自動車運転免許講習(最短の3倍、4ヶ月半かかったが、今はゴールド免許)の場合などから、粘りを身上とした。
 堅実に行って、ジリ貧ならば仕方がない、と思っていた。しかしリスクを取りながら、活路を開いて行く姿勢もありと知る。

 羽生善治・永世7冠は、今は無冠とはいえ、7冠時代、永世7冠を達成し、今も勝ち続けて、尊敬すべき棋士である。出版本が多い事は、印税でなく(出版社は儲け主義でも)、アウトプットを増やして行かないと、これからのインプットが出来ないためだろう。僕たちは多くの指南を受ける。



 今月2日の記事、届いた2冊(9)で報せた内、川野里子の短歌評釈「葛原妙子」を読み了える。
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 購入の経緯については、初めのリンク記事に述べたので、ご参照ください。
 笠間書院、コレクション日本歌人選070、2019年7月25日・刊。122ページ。
 歌誌「かりん」選者の川野里子(6冊の歌集あり)が、戦後・前衛派の歌人・葛原妙子の短歌50首を選んで評釈すると共に、略伝、略年譜、解説、読書案内(全歌集、参考書、等)を付す。

 1通り読んでみて、称賛のあまり、作者の意図・心情を越えたと思われる評釈がある。塚本邦雄の美化よりは、良いと思うけれども。
 生活短歌を詠む僕は、出来るかぎり、葛原妙子の短歌を生活に還元したい。

 これから砂子屋書房「葛原妙子全歌集」4,900首に突撃する予定だけれども、僕は切り抜けられるだろうか。川野里子のこの評釈本は、携えることなく、処分したい。



 

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 昨日の8月9日の記事、将棋棋士本4冊が届くで紹介した内、杉本昌隆「弟子・藤井聡太の学び方」を読み了える。リンクより、関連過去記事へ遡れる。
概要
 2018年2月15日、PHP研究所・初版。255ページ。
 当時7段(現8段)の杉本昌隆が、当時4段(現7段)の弟子・藤井聡太の軌跡を描いた本である。
感想
 読み了えて、藤井聡太ファン本としては良いが、藤井聡太の学び方を今から僕がしようとしても無理である。杉本昌隆の言葉で「私は現役棋士だから、自分を1番に考える」、「棋士は棋理を究めるため研鑽する同志である(曖昧な引用)」の2点が残る。モンテッソーリ教育も、将棋教室の指導も良かったのだろうけれど、今から真似はできない。
 集中力について、僕は集中し過ぎてのめり込むと、神経的に参る時がある。それで読書やタブレットに向かう時は、パソコンに音楽を鳴らす。読書中は聞こえないが、本よりふと目を上げた時、聞こえる音楽に和む。同時に何冊かを並行読書する場合もある。
 気持ちの切り替えが出来れば良いのだろうけれど、読書と創作には、いつでも深く話し合える仲間が身近にいない。
 また囲碁では、日本棋院アマ6段まで行ったけれど、アマの碁打ちには品格の上等でない人がおり(ネット碁でも同じ)、深く失望して、対局から離れた。将棋指しはどうだろう。今は嫉妬からかも、と思えるのだが、囲碁に復帰するに必要な精力は、ネットと創作に回したい。
 人間関係で「負けておけ」と考えるようでは、勝負師に成れないのだろう。


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