風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

評論、エッセイ、対談集

 今月9日の記事、将棋棋士本4冊が届くで報せた内、羽生善治・永世7冠の「大局観」を読み了える。
 リンク記事より、将棋関連本へ遡れる。

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 新書版で、角川oneテーマ21、2011年11月・初版。定価:724円+税。234ページ。

 同感した事に、大局的に見る、がある。迷路の出口がわからない時は、俯瞰的に、鳥瞰的に、上から見れば道筋のわかる場合が多い。
 もう1つ学んだ事は、リスクを取れ、という言葉である。博打を打つな、ともある。
 僕は若い頃、ある事に巻き込まれて痛い目に遭い、長く尾を引いた。それで慎重になり、博打嫌い(宝籤より、食事か本がよい)となった。
 ただ、自動車運転免許講習(最短の3倍、4ヶ月半かかったが、今はゴールド免許)の場合などから、粘りを身上とした。
 堅実に行って、ジリ貧ならば仕方がない、と思っていた。しかしリスクを取りながら、活路を開いて行く姿勢もありと知る。

 羽生善治・永世7冠は、今は無冠とはいえ、7冠時代、永世7冠を達成し、今も勝ち続けて、尊敬すべき棋士である。出版本が多い事は、印税でなく(出版社は儲け主義でも)、アウトプットを増やして行かないと、これからのインプットが出来ないためだろう。僕たちは多くの指南を受ける。



 今月2日の記事、届いた2冊(9)で報せた内、川野里子の短歌評釈「葛原妙子」を読み了える。
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 購入の経緯については、初めのリンク記事に述べたので、ご参照ください。
 笠間書院、コレクション日本歌人選070、2019年7月25日・刊。122ページ。
 歌誌「かりん」選者の川野里子(6冊の歌集あり)が、戦後・前衛派の歌人・葛原妙子の短歌50首を選んで評釈すると共に、略伝、略年譜、解説、読書案内(全歌集、参考書、等)を付す。

 1通り読んでみて、称賛のあまり、作者の意図・心情を越えたと思われる評釈がある。塚本邦雄の美化よりは、良いと思うけれども。
 生活短歌を詠む僕は、出来るかぎり、葛原妙子の短歌を生活に還元したい。

 これから砂子屋書房「葛原妙子全歌集」4,900首に突撃する予定だけれども、僕は切り抜けられるだろうか。川野里子のこの評釈本は、携えることなく、処分したい。



 

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 昨日の8月9日の記事、将棋棋士本4冊が届くで紹介した内、杉本昌隆「弟子・藤井聡太の学び方」を読み了える。リンクより、関連過去記事へ遡れる。
概要
 2018年2月15日、PHP研究所・初版。255ページ。
 当時7段(現8段)の杉本昌隆が、当時4段(現7段)の弟子・藤井聡太の軌跡を描いた本である。
感想
 読み了えて、藤井聡太ファン本としては良いが、藤井聡太の学び方を今から僕がしようとしても無理である。杉本昌隆の言葉で「私は現役棋士だから、自分を1番に考える」、「棋士は棋理を究めるため研鑽する同志である(曖昧な引用)」の2点が残る。モンテッソーリ教育も、将棋教室の指導も良かったのだろうけれど、今から真似はできない。
 集中力について、僕は集中し過ぎてのめり込むと、神経的に参る時がある。それで読書やタブレットに向かう時は、パソコンに音楽を鳴らす。読書中は聞こえないが、本よりふと目を上げた時、聞こえる音楽に和む。同時に何冊かを並行読書する場合もある。
 気持ちの切り替えが出来れば良いのだろうけれど、読書と創作には、いつでも深く話し合える仲間が身近にいない。
 また囲碁では、日本棋院アマ6段まで行ったけれど、アマの碁打ちには品格の上等でない人がおり(ネット碁でも同じ)、深く失望して、対局から離れた。将棋指しはどうだろう。今は嫉妬からかも、と思えるのだが、囲碁に復帰するに必要な精力は、ネットと創作に回したい。
 人間関係で「負けておけ」と考えるようでは、勝負師に成れないのだろう。


羽生善治 考える力
 別冊宝島「羽生善治 考える力」を読み了える。
 藤井聡太・本の「証言 藤井聡太」他を読む、ずっと前から羽生善治の人生論に関心があった。しかし彼は7冠、永世7冠、国民栄誉賞等、遠い人だった。もちろん僕は将棋の指し手はわからない。
取得
 メルカリを「羽生善治」で検索すると、この本が引っ掛かった。宝島社・刊、発行年月日は記載ないが、2009年までの記録が載っている。
 300円の本を、メルカリ・ポイントがないので、カードで買った。7月15日に注文し、18日に届き、そのままに読み進み、翌日には読み了えた。

感想
 ただ記者や他棋士からの記事が多く、羽生9段の語るインタビューも軽く短い。ジャーナリスティックな編集なので、鵜呑みにできない言葉がある。例えば「3割の負けは引きずらない」。敗局から学ばなければ、前進する筈がない。
 ほぼB5判、111ページでありながら、カラー写真は表紙のみで、他のたくさんの写真はモノクロなのが惜しい。
 対局の心の姿勢、座右銘など、励まされる言葉はあった。
 今は無冠だが、勝局を重ね、大山名人の最多勝局数を越えるなど、モチベーションを保って戦っている。コンピューター将棋世代へ移っているようだが、彼の生き方に注目したい。


 

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 今月6日の記事、入手した5冊(2)で紹介した内、4冊めの記事アップである。
 季刊誌「考える人」(新潮社)2010年夏号より、「特集 村上春樹 ロング インタビュー」のみを読み了える。
 「考える人」は、2002年7月・創刊、2017年春号(第60号)で休刊した、ハイセンスな雑誌である。雑誌として大判で、ほぼB5判である。この号には、養老孟司の対談、内田樹の対談、花森安治伝なども載っていて、関心を寄せる人もいたが、僕はCPを考えると読めない。

 インタビューは、聞き手・松家仁克で、2夜を挟んで3日間に亘っておこなわれた。インタビュー集「夢を見るため毎朝僕は目覚めるのです」に収められていない。時期的に遅れたか、内容の重複に由るのだろう。
 あいかわらずの村上春樹・節である。社長の成功談にも聞こえる。当時は(今は知らない)絶大な読者数、特に海外ファンを誇っていたから、自信も肯える。
 これまでと繰り返しの話も多いのだが、アメリカの翻訳者や編集者と親しくなった件りに、心惹かれた。
 長編小説の最新作、「騎士団長殺し」には感心しなかった僕だが、次の小説の刊行を待っている。



 

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 今月3日の記事、届いた2冊(7)で紹介した内、別冊宝島編集部編「証言 藤井聡太」を読み了える。古本だが、帯付きのきれいな本である。
 先の5月30日の記事、松本博文「藤井聡太 天才はいかに生まれたか」読むに次ぐ。2冊めの藤井聡太・本である。
概要
 宝島社、2018年6月28日・刊。223ページ。
 羽生9段の発言、多くの鼎談・対談、ドキュメントを含む。
 Amazonのカスタマーレビューに「記事の寄せ集め」という酷評があったが、僕には新しい記事が多かった。ファンには、繰り返しの記事も嬉しいものだ。
 題名通り、プロ棋士の発言が多く、信憑性が高い。
感想

 「天才はいかに生まれたか」に比して、将棋の指し手、棋譜、詰め将棋の図がある。将棋は、駒の動かし方くらいしか判らない僕には、それらは判らない。
 彼の天才ぶりと、フィーバーぶりはわかる。勝負飯さえ取材される時代だ。
 詰め将棋を解く事でまず注目され、詰め将棋創作も優れているけれども、対局に専念するため、詰め将棋創作は封印しているとある。
 またここ4戦で、2勝2敗と、冴えないのも心配だ。取材や対局放映に、疲れてきたのだろうか。
 将棋界の興隆のためにも、避けられないのだろうが、16歳には酷かも知れない。


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 先の5月27日の記事、入手した5冊と1誌で紹介した内、村上春樹のエッセイ集「村上ラヂオ3 サラダ好きのライオン」を読み了える。
 昨年3月16日の記事、「同2 おおきなかぶとむずかしいアボカド」に次ぐ。
概要
 初出は、女性週刊誌「アンアン」の連載である。1年間に発表された52編を集めて、3冊めとなる。
 「同2」と同じく、マガジンハウス社から単行本化された。
 新潮文庫、2016年5月1日・刊。挿し絵(銅版画)大橋歩。
感想

 若い女性が、村上春樹のエッセイを、どのような思いで読んだのだろう。作者も「まえがき」で、「両者のあいだには共通する話題なんてほとんど存在しない(はずだ)」と書いている。
 オジサンが面白く書いているエッセイと読むのか、内容が意外と重いので、大作家が人生を語っていると読むのか。
 語り口の軽さに反して、内容は重い。「愛は消えても」では、遭難救助の順を幾度も譲って自身は亡くなったアメリカ人男性の話題を取り上げて、親切心について考察する。
 「裁判所に行こう」では、裁判員制度で裁判員が量刑(死刑を含め)まで決める事に疑義を呈している。

 流行作家の売れそうな本を、大出版社が占めている事に疑問を持つ。出版社のメジャー度は、売れゆきに関わるだろう。でも、おこぼれや新人の作品・翻訳を中堅出版社が拾い、1本勝負を賭けるのは、出版界として健康的でない。

 1時は騒がれた電子書籍も、旧勢力の抵抗に由るのか、優れた作品を揃えられなく、ノウハウ本かインディーズ作家の本が多くて、隆盛とは呼べない現状は残念である。読書界の再興になると思っていたけれども。


 

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