風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

かばん

小野田光 蝶は地下鉄を抜けて
 小野田光・歌集「蝶は地下鉄をぬけて」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズ(kindle unlimited版)の読書として、先の4月15日の記事にアップした、九螺ささら「ゆめのほとり鳥」以来である。
 この歌集を含む、4冊のダウンロードは、先の3月15日の記事で報せた。
概要
 紙本版:2018年12月10日・刊。1,836円。
 kindle版:2018年12月27日・刊。800円。
 小野田光(おのだ・ひかる)は、1974年・生まれ、「かばん」会員。
 この歌集には、325首、東直子・解説「誰のものでもない、わくわく感」、著者・あとがきを収める。
感想

 若い人の短歌に慣れているつもりだが、前衛的過ぎる作品はわかりにくい。例えば「繁栄の淵の旋律くずれてもオーケストラをひやす月光」など。
 恋の歌に素直で優れた作品がある。
 野球好き、アイス・ホッケー好きで、選手に成り代わって詠んだ歌がある。
 激務の果て、精神科に通い、休職してしまう。素直な短歌を詠んでいたなら、そこまで進まずに救われていただろうか。
引用
 以下に7首を引く。
あけがたの君のかすかな寝息うけ虹の萌芽に疼くてのひら
ひき際が綺麗でしたね花束はどこかで燃えて香りを放つ
彼は背が高くて眼鏡をかけていてイルカの置き物ばかり集めた
なかなかにたのしい記憶でしたのでふともも裏に貼っておきます
感情の作り置きってできないと言いあいながら持つレジ袋
将来を話しあわずに配球を読みあいながら野球観戦
喉奥は生ぬるい沼 この夏の解をもたない人と歩めば




法橋ひらく それはとても速くて永い
 法橋ひらく・歌集「それはとても速くて永い」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 ダウンロード入手は、今月6日の記事
「入手した2冊(4)」で報せた。
概要
 出版社、各版の発行年次、価格などは、リンク記事にアップしたので、ご覧ください。
 法橋ひらく(ほうはし・ひらく)は、1982年、大阪府・生まれ。歌誌「かばん」同人。
 短歌編のあと、東直子・跋「上手に生きる……?」、著者・あとがきを収める。
感想
 大阪府より東京都に上京して勤め、人間関係の希薄な寂しさに耐える歌が多い。
 引用しなかったけれども、サボテンの他の2つの名前は、仙人掌と覇王樹だろうか。
 珍しく、つつましいユーモアの歌もある。女性の好意に気づきながら、応えられない、実行に移れない所がある。
 図書館に勤めるとあるが、会社員でなくても、僕には大都会暮らしはとても出来なかっただろう。
 跋で東直子さんが引く歌と、僕がノートにメモした歌と、全く重ならなくて、理由がわからない。
 あとがきの末近く、「きっともう大丈夫。切なくなっても大丈夫。」とあり、短歌の力を自覚した、常に短歌を意識する、歌人のようだ。
 歌集の題名は、時代相を表わすものと受け取った。
引用

 以下に7首を引く。
曇天の海辺に立っている心地やさしいことのエゴを言われて
「補助犬の里親求む」を通り過ぎ改札を過ぎ過ぎてった今日
冴えていたギャグをいくつか借りてますなかなかウケが良くて ありがと
気付いてた慕情以上の何かだとそれを受け取りたかったことも
かろうじて働く人をやっている火曜の夜のハーゲンダッツ
風がすこし涼しくなっていつの間に登場人物(キヤスト)こんなに入れ替わったの
飛ばされるための帽子も油性ペンもないけど僕は今日ここにいた







 

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