風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

アンソロジー

 福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第57集」(2019年3月20日・刊)より、7回めの紹介をする。
 今月14日の記事、同・(6)に次ぐ。
概要
 総304ページの大冊であり、作品集も試算によると、408名、4,080句に及ぶので、紹介を数回に分けざるを得ない。
 また副題に、「平成30年版」と銘打っていて、2018年1年間の吟である事を、実直に示している。
感想
 今回は南越地区(越前市、南越前町)の、159ページ~190ページ、32ページの630句を読んだ事になる。
 大衆詩としての俳句に、高度な修辞(レトリック)は、必ずしも必要ではない。例えば「夕星の零るるように梅咲けり」などは、比喩が嫌味である。
 短い詩型なので、新しい題材は必須である。ただし世間で話題になってより、俳歌に定着するまで、数年を要するようだ。
引用

 以下に5句を引く。
女子会の席の華やぎ晩夏光(Y・富鼓)
初詣歩幅の小さき母連れて(Y・七重)
紫陽花や知らぬふりした母の恋(H・みえ)
告げられず見つめるだけで卒業す(I・千鶴子)
ルビ付きの名前のあまた蓮の花(Y・浩江)
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。



 

 福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第57集」より、5回目の紹介をする。
 同・(4)は、今月4日の記事にアップした。
概要
 僕はこの年刊アンソロジーを、平成26年版・第53集より読んできており、今年で5冊めである。毎年3月、事務局長方へ葉書を送り、1冊を送って頂いている。事務局長が代わると、きちんと引継ぎをしてもらえる。
 身近な大衆詩を読んで、僕は短歌、詩の創作だけでなく、心に大きな滋養を得ている。
感想
 今回は、奥越地区(勝山市、大野市)を読んだ。122ページ~143ページの22ページ、43名の430句を読んだ事になる。
 句境も進むべく、語彙(ボキャブラリー)・句材の新しさ、口語体(会話調)の試み、切実な心情、寸時の心理、壮大な景・心情、などを吟じている。
引用

 以下に5句を引く。
扇風機に進路変更そうじロボ(I・ひで子)
悠然と大樹の冬よ風は友(I・治代)
啓蟄や寝相の悪い児どつこいしよ(M・政治)
ひと雨が雪嵩くずす昼下がり(I・泰子)
春昼の手提げをさぐる鍵ひとつ(T・喜美子)
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。



年刊句集「福井県 第57集」
 3月は毎年、福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県」の発行される月なので、今年も協会事務局へお願いした所、平成30年版・第57集を送ってくださった。
 3月25日・着。スマートレター・便。2019年3月20日・刊。

 昨年の「同 56集」の読書記事は、昨年5月15日の(8)が了いである。リンクより、過去記事へ遡り得る。
 
 第57集は304ページの分厚い本である。作品集欄は、1ページ2段組、1名1段10句を載せる。
 試算したところ、408名の参加であり、昨年の試算・394名より、やや増えている。
 福井県短歌人連盟の年刊歌集「福井短歌」の100名前後、福井県詩人懇話会の年刊詩集「詩集ふくい」の60名前後に比べて、格段に参加者が多い。

 僕はここ数年、この年刊句集を、ごく近い時期の、同じ地域の、詩のアンソロジーとして、大切に受け取っている。小分けにしながら読み進んで、ここに記事アップしたい。



 

 土曜美術社・日本現代詩文庫27「関根弘詩集」より、しまいの詩集「奇態な一歩」全編を読み了える。
 今月9日の記事、同「『街』より」に次ぐ。リンクより、以前の関根弘の詩集へ遡り得る。
 このアンソロジーの5詩集より、僕が紹介するのは、3詩集のみである。
概要
 原著は、1989年(69歳)、土曜美術社・刊。29編の詩を収める。
 三省堂「現代詩大辞典」(2008年・刊)に依ると、彼は1994年に74歳で亡くなっており、この詩集以後の詩集はないようだ。
 ルポルタージュ、評論、小説、戯曲などでも活躍した。
感想

 彼は晩年、人工透析を受け、詩集の初めの表題作「奇態な一歩」に表した。「仲間が何人もベッドに頭を並べている/自分一人で世界の不幸を/背負った気になるのは早すぎた//一風呂浴びたような顔をして/帰っていくものがいる」と、苦しみをユーモアに転化した。
 次作の「病床のバラ」の末尾には、「生まれてきて損したよ」との感慨を洩らす。僕は生まれて来て良かったとは思わないが、「損した」とは思わない。様々な喜びを得た。
 詩集の末尾には、神社、お寺をめぐっての作品が多くなる。信仰に入ってはいない。
 政治的前衛かつ芸術的前衛である道は、困難なようだ。
 後は詩論2編、解説1編、年譜が残っている。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


 思潮社「関根弘詩集」(1968年・刊)の詩集「死んだ鼠」より、第4章、第5章を読み了える。
 今月21日の記事、
同・第3章までを読む、に次ぐ。リンクより、これまでの「関根弘詩集」の記事へ遡り得る。
 なお章の数字は、原本ではⅠ、Ⅱ、Ⅲ等、ローマ字表記になっている。環境依存文字なので、1部のサイトでクエスチョンマーク(?)になるので、ここではアラビア数字の表記とする。
 これで詩集「死んだ鼠」を読み了えた事になる。
概要
 概要は、これまでの記事の概要に、少しだが書いたので参照されたい。
 最後のアンソロジー詩集は、生前ながら1990年(没したのは1994年)、土曜美術社の日本現代詩文庫「関根弘詩集」であり、Amazonのマーケットプレイスで現在、1万円を越えるプレミアムが付いている。
感想
 彼の全集も全詩集さえ、出版されていないらしい事が惜しい。今の時代に、学ぶ事は多い。
 第4章 銀の針金
 「赤痢退治」では、役所の盥回しと、マスコミ・根回しに弱い点を突いている。
 「信頼」の末では、「ぼくらにたいするかれらの信頼が/バスを走らせていたのだ」と、やや教条的内容である。シネ・ポエム、シュール・リアリズムの手法を取り入れているようだ。
 「交通妨害事件」は、列車妨害事件を寓意しているようだが、警察を批判するに、正面からしない理由がわからない。
 第5章 ピアニストの夢
 この本で、10ページに渉る散文詩、「ピアニストの夢」のみを収める。
 言葉の話せるネズミが、無名の作曲家を励まして合唱曲を完成させ、その曲は評判になり広まる、しかしその後ネズミの死が確認される、というストーリーである。
 昔話の恩返し話のような、伝統を活かした作品だと思う。長い作品だが、散文になってはいない。
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写真ACより、「乗り物」のイラスト1枚。





詩集ふくい2018
 「年刊 詩集ふくい 2018 第34集」を読み了える。
 入手は、今月2日の記事
「県詩人懇話会より、2冊と1紙が届く」の初めで報せた。
 
「同 2017」の感想は、2017年11月6日の記事にアップした。
概要
 2018年10月30日、福井県詩人懇話会・刊。55名58編の詩、執筆者名簿、63ページに渉る「’17ふくい詩祭 記録」、他を収める。「高校生の部」として、2名2編の詩を収載する。
感想
 時代のせいなのか、観念語を多用する作品があり、詩の観念化に繋がらないか心配である。
 M・あずささんのソネット3編、N・良平さんのソネット「風のソネット」、T・恵子さん「遊歩断章」とM・まさおさん「頭が寒い」が1連3行の連を連ねるなど、定型への寄り付きはあるようだ。僕もソネット「おじや」を寄せた。
 N・益子さん「おーい、まー坊」、H・はつえさん「ピアノ売ります」が、長いスパンの回想を詩っているのも、年齢と時代の故か。
 詩人懇話会では「詩の教室」など、年少者への詩作の誘いかけを行っており、大きく育つとともに、会員の老齢化を補う事を期待している。


短歌タイムカプセル
 最近に歌集1冊と、歌誌2冊を、入手したので紹介する。
 有料の本を買ったのは、先の5月25日の記事、「2冊を入手」以来である。

 先ず、アンソロジー歌集「短歌タイムカプセル」。
 気になる本が、kindle unlimited版で出ていたので、6月11日、タブレットにダウンロードした。
 紙本版:2018年1月23日・刊、1,620円。
 kindle版:2018年3月8日・刊、1,000円。

cocoon 08
 結社「コスモス」内の若手グループ(1965年以降・生)による、季刊同人歌誌「COCOON」Issue08が、6月15日に届いた。
 2018年6月15日・刊。87ページ。同人は、僕の数えたところ、28名。

歌壇 7月号
 綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)7月号を、Amazonに予約注文したところ、6月14日に発送案内があり、15日の昼に届いた。
 7月1日付け・刊。169ページ。800円(税・送料・込み)。
 短歌と論が満載である。

 いずれも読み了えたなら、ここで紹介したい。





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