風の庫

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ウンガレッティ

 筑摩書房の「ウンガレッティ全詩集」(河島英昭・訳)より、第4詩集「約束の地」を読み了える。
 第3詩集「悲しみ」は、今月16日の記事にアップした。



 詩集「約束の地」の題には、(1935年―53年)と付されている。
 全詩集版で23ページの、これまでとは薄い詩集である。
 中心となる「ディードーの心のうちを描いたコロス」は、19章より成る。ディードーはウエルギリウスの古代ギリシャ悲劇「アエネーイス」のカルタゴの女王で、トロイアの英雄・アエネーイスに見放されて、自死を選んだ。コロスは古代ギリシャ劇の、後方で歌う合唱隊である。
 この詩集の原書には自注と解説が付いており、この本では自注が訳出されている。
 第2次大戦下イタリアの、理性的な真実が幕を閉じてゆく様を、難解な(自由な)修辞(レトリック)で描いて、政権にも大衆にも、わからない作品だっただろう。戦後も兵士たちを悪の死とは、決めつけられず、嘆くかのようである。

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写真ACより、「秋の人物コレクション」のイラスト1枚。


 筑摩書房「ウンガレッティ全詩集」(河島英昭・訳、1988年・刊)より、第3詩集「悲しみ」を読み了える。
 第2詩集「時の感覚」は、今月4日の記事にアップした。



 第1詩集「喜び」(喜びの詩編ばかりではなかったようだが)とは、対照的な「悲しみ」の題名である。(1937年ー46年)と付されている。
 幼年時代との別れ、兄の死を歌ったあと、9歳で病没した長男(1939年。1936年~1942年、サンパウロ大学の教授だった)を悼む17編の連作が続く。
 ファシスト政権下でも、苦しみながら(ウンガレッティは苦しむ詩人だった)詩作を続け、「おまえは砕け散った」の3連作、キリスト教への信と不信を含む「占領下ローマ」(1943ー44年)の詩編へ至る。
 1945年のファシスト政権崩壊後、1942年に政権によってローマ大学教授に任命されていたウンガレッティは責任を問われ、1947年に作家協会を追放されたが、大学教授は危うくも留任が決まった。
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写真ACより、「秋の人物コレクション」のイラスト1枚。


 河島英昭・訳「ウンガレッティ全詩集」(1988年、筑摩書房・刊)より、第2詩集「時の感覚」を読み了える。
 第1詩集「喜び」は、先の9月23日の記事にアップした。



 「時の感覚」は、1933年・刊。年譜を見ると、1922年にファシストのローマ進軍があり、1923年の新版「埋もれた港」(選詩集らしい。「時の感覚」初期詩編を含む)に、ムッソリーニの序文を得ている。
 「時の感覚」には、生きづらさに関わる、性や信仰をテーマとした作品が多いようだ。失われた青春を嘆き、帰還した戦後の思い、妻を得た喜びの詩編が、感興を引く。1行詩も、2編だか含まれる。
 127ページ~246ページに渉る、120ページの大冊であり、多くの短詩を含み、詩編の数は多い。
 ウンガレッティが尊敬したという、ヴァレリー、ミケランジェロを、僕は好まない。
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写真ACより、「秋の人物コレクション」のイラスト1枚。


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