風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

コンビニ

西村曜 コンビニに生まれかわってしまっても
 今月15日の記事、「歌集3冊と詩集1冊をダウンロード」で報せた内、西村曜・歌集「コンビニに生まれかわってしまっても」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 kindle unlimited版の歌集の読了として、2月27日の記事、法橋ひらく「それはとても速くて永い」に次ぐ。
概要
 各版の発行時期、価格については、ダウンロードのリンクで報せたので、参照してください。
 西村曜(にしむら・あきら)は、1990年・生まれ、2015年に短歌を始め、2016年に「未来短歌会」入会。
 332首、加藤治郎・跋「生きていくこと」、著者・あとがきを収める。
感想

 著者が女性なのか男性なのか、わからなかった。表紙のイラストは、泣いている娘さんである。名前は「曜(あきら)」と男っぽい。自分を「俺」「おれ」「僕」と詠んでいる。後になって「わたし」と書かれ、「あなた」と呼び掛ける。「父と娘」「処理のあまい腋毛」「年増と呼ばれ」と詠んで、どうやら作者は女性のようだ。
 どちらでも良い程には、僕はまだ進んでいない。もし性指向が変わったのなら、それで良いけれども。
 画学生、引きこもり、コンビニ店員を移るなど、生活状況はあまり良くないようだ。それでもひっしに生き、恋をし、歌に救われて、生活しているようだ。
 加藤治郎は、なぜ困難な生を送る若者たちの歌集ばかり、プロデュースするのだろう。志向があるように思える。

引用
 以下に7首を引く。
サブウェイの店長として一生を終える他人がとてもいとしい
せりなずなてめえこのやろ息災は遠くフリーズドライの七草
「もしもし」とあなたが言って俺はその「もしも」の音に慄いていた
「いたみってすごい空港名だよね」それはしずかに発音をする
こしあんパンほどに優しいひとだからかばんの底でつぶれてしまう
おとうとよ「一口大に切る」ときは信じろきみの大きな口を
腐敗したわたしの心のやわらかさなぜかあなたはやさしさと呼ぶ



 

 

CIMG1270
 今月20日の記事「1冊、1紙、1部」のうち、2番目の俳紙を紹介する。
 ネットプリントの俳紙、
「セレネッラ」第十七号・冬の章である。
 
同・第十六号は、今年6月19日の記事にアップした。リンクより、十五号まで遡れる。
概要
 3名の俳人がまず、題を付けて6句ずつを掲げ、その下に新企画「写真俳句」第1回として、小さな写真を挙げ3名がエッセイと締めの1句を付ける、という体裁である。これまでの客演俳優は中止のようである。
感想
 句風の違いは、これまでの生活、俳句の学びの場が違っているのだろう。
 写真俳句の句が面白いのは、読者がエッセイの説明に助けられる面があり、また作者側も思いを縷々述べた後なので、力の抜けた句が成るのかもしれない。
 僕は毎日、ブログ「新サスケと短歌と詩」で発表を続けているので、ネットプリントの必要はあまり感じないけれども、合同で紙に残るものを、と企図すると、ネットプリントは有力である。
引用

 以下に1句ずつ引く。
 金子敦さんの「一期一会」6句より。
コンビニのありし辺りに狸来る
 田舎にコンビニが出店したが流行らずに撤退し、狸が出て来るという山里が、現代の1面としてよく表わされている。
 中山奈々さんの「ここ」6句より。
奥歯軋ませ凩ががここにここに
 奥歯を強く噛んで、危機に耐えている様が、句跨り、字余りにも想われる。
 中島葱男さんの「守護霊」6句より。
白菜の芯に宿りしアフロディテ
 白菜の中に美神を見出して、生活性、国際性、純粋性を得ている。



IMG_20181006_0001
 今朝、ツイートを走り読みしていると、千原こはぎさんのツイートに、ネットプリント「花羽(はなはね)」第15号の発行が載っていた。論ずるより早いので、そのツイートをここに埋め込む。リンクには詳細が載るので、お読みください。


 月丘ナイルさん主宰の短歌グループ「花羽」が、自身を含め9名のメンバーで、第15号の発行に至った。
 セブンイレブン以外のコンビニでは、明日8日16時までなので、関心のある方はどうぞ。
 A5判12面(表紙、目次、奥付けのページを入れて。A4判2つ折り4面×3枚)。1部120円。

 千原こはぎさんとは、先の8月22日の記事、
短歌集「獅子座同盟 6」を読む、以来のつながりである。
 1人が1ページを受け持ち、ページ構成(字のポイント数、縦長・横長、背景など)は自由のようだ。
 失恋の歌が多くて傷ましい。ゴール(?)の結婚に、財政的に踏みきれない青年が多いのだろうと、社会を指したくなる。





↑このページのトップヘ