風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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サクセス・ストーリー

 ボブ・グリーンのコラム集「アメリカン・タイム」を読み了える。
 彼の本を既に読んだかと、ブログを検索するが、ヒットしない。

アメリカン・タイム
 集英社文庫、1993年・刊。45編のコラムを収める。
 ボブ・グリーンは、シカゴ・タイムズのコラムニストになり、シカゴ・トリビューン紙、エクスクァイア誌のコラムニストとして成功した。邦訳も10数冊があるという。
 文庫本のカバーは洒落ている(カバーイラスト、カバーデザイン、共に日本人に依る)が、読んだ感想は、芳しいものではない。名が売れている事を利用して、著名人をけなしたり、小エピソードを取り上げて有名にし、名を上げて行く。自転車操業か、ハムスターの回し車のように、走り続けるしかない。
 アメリカ人には、アメリカン・サクセス・ストーリーの体現者に映ったのかも知れない。
 2002年9月、古いスキャンダルが発覚し、シカゴ・トリビューン紙のコラムニストの座を降りた。彼はその後も執筆を続けている。


 


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 石田衣良(いしだ・いら)の短編小説集「スローグッドバイ」を読み了える。
 彼の小説を読んだのは、今年6月30日の記事にアップした、
「東京DOLL」以来である。
概要
 集英社文庫、2005年6月・3刷。
 彼の初めての短編集で、初めての恋愛作品集と、「あとがき」にある。
 「東京DOLL」が2007年刊だから、長編恋愛小説と捉えると(その間にも作品はあるだろうけれど)、2年の間の筆力の成長は凄まじい。
感想
 脛の傷、心の闇、隠したい過去を抱きながら生き抜く男女を描く10編。性を交す作品が多いけれども、そうでない作品もある。
 サクセス・ストーリーへの執着が見られ、シナリオ・ライターとして成功してゆく「曜子」とそれを見守る「史郎」の「夢のキャッチャー」、イラストレーターとして「山口高作」を発掘するPR誌の「サツキ」の「線のよろこび」などがある。
 憶測を交す男女が、結末でどんでん返し的に和解するストーリーを含めて、最後の表題作「スローグッドバイ」を除けば、ハッピーエンドの物語である。
 「スローグッドバイ」では、2年間の同棲をしていたフミヒロとワカコが別れる事になり、さよならデートをした後、ワカコの見抜いた通り、フミヒロの「心のなかにたくさんの物語があふれていたからだ」と作家的才能の発現を描く。これまでの9編をフミヒロの作品であるかのように、この作品集を2重にフィクション化している。


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