グアテマラ伝説集
 文庫本棚より、岩波文庫のアストゥリアス「グアテマラ伝説集」を取り出して、読み始める。
 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス(1899年~1974年)は、グアテマラ生まれ、インディオの血を引く混血児である。1967年、ノーベル文学賞受賞。
 世界的にラテンアメリカ文学が流行した時代があり、日本でも翻訳され、何種類かのラテンアメリカ文学全集が出版された。それらは古書界でも高価で、僕は買えなかった。
 ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を始めとする新潮社・刊の何冊か、集英社版「世界の文学」でコルタサル「石蹴り遊び」など何編か、を読んだ記憶があるだけである。
 アストゥリアスの作品は初めてである。マジック・リアリズムの創始者の1人とされる。
 この岩波文庫は、2009年、第1刷。定価:720円+税。
 9編を収め、僕は初めの「グアテマラ」、「「金の皮膚」の回想」を読み了えた。
 「グアテマラ」は、インディオ文明、スペインの征服時代、現代のグアテマラ、と積み重ねられた都市と文明を語る。
 「「金の皮膚」の回想」は、古代文明の伝説を基とする幻想譚と言って良いだろうか。フランスへ亡命して、マヤ族の創世神話、年代記を、仏訳からスペイン語に翻訳するなど、古代メソアメリカの研究の上に、書かれた。
 このあと、7編の伝説集が続く。