風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

ヤケ

 句集を読むのは、今年6月6日に読了を記事アップした、角川ソフィア文庫「西東三鬼全句集」以来である。


七番日記(上)
 一茶の「七番日記」(上)は、岩波文庫、2003年・初版。長く蔵して来た本で、僕は2008年まで喫煙していた事もあり、本文がかなりヤケている。ただし読むに不都合はない。
 今回は、初めより88ページまで、文化7年正月~6月までを取り上げる。
 体裁は句日記だが、旅行の記録、世事(火事、盗賊、殺人)などの記事を交える。
 毎月100句程を記録しており、別案も混じる。
 一茶の句は、庶民の情景をやや戯画化した所に、特徴がある。継母、継弟との折り合いが悪く、父の没後、ようやく遺産分けをしてもらい、家に寄り付かなくなる。
 朝日古典全書で「一茶句集」を読んだ記憶がある。


 以下に5句を引く。
(おい)が身の直(値)ぶみをさるゝけさの春
朝陰や親ある人のわかなつみ
朔日や一文凧も江戸の空
(かへる)(かり)我をかひなき物とやは
それなりに成仏とげよ蝸牛


 三浦哲郎の短編小説集「冬の雁(がん)」を読み了える。
 三浦哲郎の作品では、昨年12月8日の記事にアップした、エッセイ集「おふくろの夜回り」以来である。



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 居間の文庫本棚より、読む本を探しているといると、三浦哲郎の「百日紅の咲かない夏」も目に留まったが、テーマが重く長編小説なので、後の機会に譲った。
 「冬の雁」を見てみると、短編小説集なので読むことにした。全17編。
 文春文庫、1989年1刷。古ぼけて、150円のブックオフの値札が貼ってある。本文までヤケていて、僕が喫煙時代(58歳まで)に買った本だろうか。

 初めの「花いちもんめ」は、養女と父親の、相愛的感情が描かれる。
 出身の青森県の方言が行き交う、逞しく生きる人々の物語がある。
 そして現在の、作家と家族の幸せな家庭も描かれる。
 故郷で、脳血栓で倒れ、病院に寝たきりの母親を、何度も見舞うストーリーもある。母親の死の物語は、どこかで読んだ記憶があるが、長い療養中の話は、この本が初めてではないだろうか。
 1族の暗い宿命のストーリーの1つとして「紺の角帯」は、40余年前、兄が失踪する前、恋人に残した一本の角帯を、その女性から贈られるストーリーである。

 エロス、ユーモア、シリアスと、読者をほろりと楽しませてくれる、名短編ばかりである。





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