風の庫

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 季刊同人歌誌「COCOON」Issue18を、ほぼ読み了える。
 到着は、今月23日の記事にアップした。

 上記リンクには、同・Issue17の感想へリンクを貼ってある。

COCOON Issue18
 「COCOON」Issue18は、2020年12月15日・刊、89ページ、同人・30名。
 巻頭32首の4名から、S・なお「秤にかける」では青春の回想を含み仕事に、S・恵理「真夜中の鳩」では連作1首の独立性に疑問を残しながら生活に、M・恵子「冬眠へ」では不安を抱えながらも家庭と仕事の勤しみに、居場所を見つけたかに思わせた。
 しかし12首のN・恵「サーカス」の難病と退職と繰り返す入院、K・なお「食欲」の9年間の恋の別れなど、若者の生き辛さは変わらなく厳しいようだ。

 以下に2首を引き、寸感を付す。
 K・絢の「『ぽよよん行進曲』」12首より。
なにもかもしんどいときは大声で歌ふ『ぽよよん行進曲』を
 生活に疲れが出てきたようだ。「別居して」の句があるが、不和からでないと信じたい。
 M・竜也「ヨーホー」13首より。
何もかもうまくいきませんね からの、端から端まで全部いったる
 努力と短歌は、奇跡を呼ぶかも知れない。


 

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 短歌結社「覇王樹社」代表・編集発行人の佐田公子さんが、同人になって間もない僕に、第5歌集「夢さへ蒼し」を贈ってくださった。入院中のベッドの上で読み了える。
 受贈は、今月17日の記事、届いた3冊を紹介する(9)にアップした。
 
 上リンクには、第4歌集「さくら逆巻く」へのリンクが貼ってある。

「夢さへ蒼し」
 2020年12月28日、いりの舎・刊。2011年3月~2016年末までの458首、著者・あとがきを収める。2017年に亡くされた長男さん、2018年に亡くされたご夫君・佐田毅氏(前代表)の思い出は表されても、挽歌を含まない。次歌集に収められるだろう。
 2011年3月11日の東北大震災を詠み(自身も1部被災した)、深夜の執筆に菩薩めく自身を、激務だった娘さんの恋、結婚を詠む。入院中の息子さんとの面会、病臥のご夫君を詠む。医大の動物慰霊祭の珍しい歌、人の深傷に思いを寄せる歌がある。
 題名は「いづこからくる哀しみか やまとうた 二上山の夢さへ蒼し」より採られた。
 昨年の全国大会で、皆さんとお会いしたが、佐田公子さんは小柄ながら豊頬で優しく、芯のある方だった。入会する時より、優しいメールを頂いてもいた。



 以下に7首を引く。
「覇王樹」の再校ゲラを握り締め机に潜り生き抜かんとす
地下五階のボタンを押せばマイナスをプラスに換ふるごとき錯覚
カレーパン食してもよしと許可下りぬ恥ぢらひ食ぶる面会の吾子
いつもより饒舌となる母と子らさくら弁当にさくらが舞へり
さみどりの橡の葉擦れにわたくしを探してといふ声の聞こゆる
会ひたしと思ふ心の募りくる入院の君に二日会はねば
傷深く秘め持つらんか桜木は冬の闇夜にただ黙すのみ




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 所属する結社の歌誌「覇王樹」の、2020年12月号を読み了える。
 到着は、先の11月29日の記事にアップした。


 上のリンクには、僕の「苦笑う僕」6首と、同・11月の感想へ、リンクが貼ってあるので、ご覧ください。
 また結社のホームページ「短歌の会 覇王樹」は既に、12月号仕様である。



「覇王樹」12月号
 12月号は、12月1日・付け・刊。36ページ。
 今月号は、力詠15首1編が久しぶりに復活し、K・恵美さんの「秋の声」が載る。力作群であり、1首を引く。「生
(あ)れしゆえ生きねばならぬ 人は業をでんでんむしは殻を背負いて」。
 永く「覇王樹」に尽力した清水典子さん(71年間・無欠詠、他)の逝去を悼み、顧問のH・俊明さんが「さようなら清水典子さん」、代表の佐田公子さんが「天国でウォーキングを」の追悼文を、1ページずつ寄せた。
 総合歌誌「歌壇」9月号より、佐田公子さんの評論「統制下に置かれた歌人たち」が、「梧葉」冬号よりY・美加代さんの「拒否の色」5首が、転載された。

 以下に2首を引き、寸感を付す。
 Y・美加代さんの「蜃気楼」6首より。
若き日は蹴り上げ抱え歌いたるマイクが時にヒデキを支える
 病む西城秀樹のコンサートを詠んで、歌手と歌人の執念が響き合う。
 I・敏子さんの「彦根城」6首より。
ボロ布のやうな思ひ出タンスより引き出しけふは一人遊びす
 比喩、句跨りを用いて、老いの遊(すさ)びを、豊かに描いた。


 
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 所属する結社の歌誌「覇王樹」2020年12月号が、11月26日に届いた。
 先の11月号の感想は、今月3日の記事にアップした。


 リンクより、過去号の感想へ遡れるので、ご覧ください。


「覇王樹」12月号
 12月号は、A5判、36ページ。2020年12月1日・刊。定価:千円。
 通常立ての他、力詠15首1編が久しぶりに復活した。また追悼・清水典子氏として、代表の佐田公子さん、顧問のH俊明さんが、1ページずつ追悼文を寄せている。

 なお僕の「苦笑う僕」6首・他は、アメブロ「新サスケと短歌と詩」の、11月28日・以降の記事に分載するので、横書きながらご覧ください。





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 僕の所属する結社歌誌「覇王樹」の、2020年10月号を、ほぼ読み了える。
 入手は、今月6日の記事、入手した3冊を紹介する(12)にアップした。


 なおこのリンクには、9月号の感想、10月号の僕の歌、結社のホームページ、3つへのリンクが貼ってあるので、是非ご覧ください。

覇王樹10月号

 この10月号では、通常立ての記事の他、年1度の「覇王樹賞」(20首・応募)の発表、既発表より年1首・選の「花薔薇賞」の発表がある。僕は一発勝負が苦手なので、「覇王樹賞」に応募していない。

 H・俊明顧問の「覇王樹人の歌碑(40)岸良雄の歌碑」2ページ、W・茂子顧問の「落とし文考(69)」、S・素子編集委員の「後水尾院時代の和歌70」(各1ページ)も、滞りなく連載が続いている。

 以下に2首を引き、寸感を付す。
 K・南海子さんの「五葉のクローバー」6首より。
思い出の中にいかなるわが存在むかーしの友より届く文あり
 戸惑いと懐かしさが湧いたのだろうか。
 N・ヱツ子さんの「狐の嫁入り」6首より。
再発も有りと数値を示す医師余後五年過ぐと喜こぶ吾に
 歌は整っているが、気掛かりな日々だろう。


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 所属する結社歌誌「覇王樹」の2020年9月号を、ほぼ読み了える。
 到着は、先の8月28日の記事にアップした。


 なおその記事に、僕の「グーグルに引く」6首・他、同・8月号の紹介、2件のリンクを貼った。
 またホームページ「短歌の会 覇王樹」も9月号仕様である。



覇王樹・9月号
 コロナ禍を詠んだ歌が多い。巻頭8首もほとんどを占める。
 散文ではH・俊明さんの「覇王樹人の歌碑(45)今井芳子の歌碑」が、モノクロ写真を含めて、2ページに渉る。W・茂子さんのエッセイ「落とし文考(68)」、S・素子さんの研究「後水尾院時代の和歌70」も健在である。
 T・次郎さんの「NHK短歌」9月号よりの転載、長崎原爆記念館に永久保存となったA・秀子さんの被爆体験記(2ページ)、受贈歌誌抄2冊、受贈歌集紹介6冊(2ページ)など、内外に手厚い。
 エッセイ欄、題詠欄等、リラックスできるページもある。

 以下に2首を引いて、寸評を付す。
 N・繁子さんの「かをりほのかな」6首より。
梔子のかをりほのかな朝明けを命つむぎて息深くすふ
 「命つむぎて」は比喩だろうけれど、早朝の爽やかさをよく伝えている。
 H・タケ子さんの「花の種」6首より。
庭土の温みを待ちて花の種つねより少し遅れて播けり
 植物に適切な環境を与える、園芸愛好家の歌である。



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 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2020年8月号を、ほぼ読み了える。
 入手は、今月16日の記事にアップした。
 また同・7月号の感想は、6月22日の記事にアップした。リンクより、過去号の感想へ遡り得る。



歌壇 8月号

 特集は「河野裕子没後十年 -その歌の源泉」である。河野裕子の作品集を読んだ記憶があり、その後も「たとへば君」など、永田家の共著で、作品を読んで来た。全歌集が出版されたなら、図書館で借りてでも読みたい。
 創作家は、作品しか残らない。大西民子も、斎藤史も、(もちろん茂吉も白秋も、上田三四二、宮柊二、ほか多くの)全歌集を読んだ。
 連載「平成に逝きし歌びとたち 斎藤史」など取り上げられると、懐かしい思いが湧く。

 以下に2首を引き、寸感を付す。
 K・尚子の「えびね蘭」7首より。
三歳の甲高き声に何か言う解らぬババはバイバイされぬ
 3歳の児の新語だったのだろうか。バイバイするのは、せめてもの優しさだろう。
 T・澄子さんの「総咲きの密」7首より。
簡潔に生きゐる夫は大方の家事仕舞ひ了へ寝息はやたつ
 賢い夫である。凡愚の我らは、いつまでもぐずぐずしている。


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