角川書店「増補 現代俳句大系」(全15巻)の第11巻(1982年・刊)より、2番めの句集、角川源義「ロダンの首」を紹介する。
 10月30日の
記事(←リンクしてあり)、沢木欣一「塩田」に継ぐ。
 角川源義(かどかわ・げんよし、1917年~1975年、享年58.)は、俳句に傾倒すると共に、角川書店・創立者である。
 句集の他の業績に、俳誌「俳句」、歌誌「短歌」の発行、各賞の設定、俳人協会の設立・俳句文学館の建設、他に貢献した。
 原著は、1956年、近藤書店・刊。480句に、石田波郷の跋文、著者のあとがきを付す。
 出版人らしく、章の立て方は複雑で、「ひとりの部屋」(1955年~1956年)、「末黒野」(1952年~1954年)、「わかれ路」(1945年~1951年)、「ななかまど」(1933年~1939年)の、4章立てとなっている。
 初期の句を後部に置き、1945年(敗戦)を区切りにした点は、評価できる。
 以下に5句を引く。
麦秋の駅を下りゆく土佐の貌
岩雲雀懺悔の坂を落ち行けり
まひまひや父なき我に何を描く
草ぼけの高原(たかはら)深くひつぎ行く(堀辰雄氏死す)
銀座びと生き愉しめり春の雷
ザクロ2
フリー素材サイト「Pixabay」より、柘榴の1枚。