風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

三浦しをん

 9月8日午前10時より和田公民館にて、和田たんぽぽ読書会9月例会が持たれた。
 8月はお休みなので、7月15日の同(7)以来だった。




 今回の課題図書は、三浦しをん「愛なき世界」だった。僕は既に、7月24日の記事に、感想をアップした。


愛なき世界
 まずA・Tさんより連絡があり、県合同読書会の中止等の報告があった。またT・Rさんはやむなく欠席、O・Tさんは1時間遅れるという事で、5名での開始となった。司会は初めての僕だった。

 A・Kさんの感想。良い人ばかりで、食堂の藤丸君がわかりやすい。「動物も植物も人間も光を食べて生きている」のフレーズが印象的だった。
 A・Tさんの感想。藤丸君が献身的である。題名に引っ掛かる。
 I・Yさん。知らない世界を垣間見る。小保方さんの事件を思い出した。
 M・Mさん。作者はまだ若く、人生の見方が深い。感情移入できる。筆力が凄い。
 僕の感想は、先のブログ記事の通りである。皆が松田教授の態度を評価するけれども、僕は人情噺に落ちていると思う。
 0・Tさん登場。忙しすぎて、3分の1くらいしか読んでいない。読みやすいけれども、という感想だった。T・Rさんの文章を僕が預かった。

 秋の文学散歩の件を話し合った。次回の課題本、中脇初枝「神に守られた島」を分け合って、11時半過ぎに散会した。



 三浦しをんの小説「愛なき世界」を読み了える。和田たんぽぽ読書会の9月例会(8月はお休み)の課題図書である。
 三浦しをんの小説は、同じくたんぽぽ読書会の課題図書「ののはな通信」を読み、先の4月11日の記事にアップした。



愛なき世界
 「愛なき世界」は、2018年初版、中央公論新社・刊。447ページ。
 大学院生で植物学の基礎を研究する本村(女性)に、洋食屋の店員・藤丸が好意を寄せる話を主ストーリーとする。
 本村と周囲の研究ぶりも、藤丸の職人根性も面白い。しかし藤丸の2回の告白を、本村は「植物の愛のない世界」が最優先と、断ってしまう。
 愛がgive&give&takeの事なら、自然には愛がある。しかし本村は、1部の現代女性と同じく、セックスレスの生活を送りたいのだろう。そこにも人間性はある。
 松田教授の若い頃の同輩・奥野の死への自責感を述べるくだりは、やや人情噺に傾く。
 三浦しをんが、科学研究に切り込んだ小説として、高く評価したい。


 6月16日(第3火曜日)午前10時より、和田たんぽぽ読書会の6月例会が、和田公民館の広い1室で開かれた。コロナ禍により、3ヵ月ぶりの読書会だった。会員6人が集まり(1人欠席)、全員マスク着用、窓を開け放っての会となった。
 同(5)は、3月26日の記事にアップした。




 課題図書は三浦しをんの小説、「ののはな通信」であり、僕は既に感想を、4月11日の記事にアップした。



ののはな通信

 読書会の再開を喜び合い、ぎりぎりの時間に着いた僕は年会費2千円を会計担当へ納めた。
 担当の方が司会をし、事務局からの報告では、市の合同読書会、県の合同読書会、たんぽぽ読書会の文学散歩、ともに延期であり今のところ日程を決められない、という事だった。

 感想に入り、同性愛の関係と、外交官の日常を、克明に描いたという意見があった。2人は通信を交換する事で、自分の日記のように、平安を得たのだろうかという感想があった。
 僕は現代の書簡体小説である事、若い時のS関係を至純の愛とする事には評価が異なるだろう事、外交官夫人のはなが難民キャンプ奉仕に向かう所は勇ましく誠実なストーリーだと述べた。
 返事が予想できる内容だ、もっと読もうと思わない、という意見が出た。
 戦時中の女学校生だった方は、自分もそのようなSがあり、手紙を貰ったり言葉を掛けて貰った事は良い思い出だと語った。
 同性婚を認める国があったり、同性愛も表に出る時代となった、しかし自分の子がそうだったら困るなどと話し合った。
 正午近くまで話し込み、7月の課題図書・島本理生「ファーストラヴ」を分け合い、そのあと散会となった。

 三浦しをんの小説「ののはな通信」を読み了える。
 先の3月26日の記事、和田たんぽぽ読書会(5)で、4月例会の課題図書として手渡された本である。4月14日に予定されていた例会は、コロナ禍により中止となり、読書会の再開の目途も立たない。

 

 三浦しをんの小説は今年1月20日の記事に、新潮文庫「風が強く吹いている」を、批判的に取り上げた。またKindle本・短編「天上の飲み物」を読んだ。
 


「ののはな通信」 (2)
 「ののはな通信」は、2018年5月、新潮社・刊、448ページ。
 「のの」こと野々原茜と、「はな」こと牧田はなが、女子高校の生徒だった時に出会って、S関係に入り沢山の手紙を交すが別れて、お互い大学に入り文通、訪問の再開、大人になってメールを重ねる、書簡体小説である。
 「のの」は東大文学部を卒業するけれども(年上の「悦子さん」と同棲し、見送って)、学究を諦め、フリーライターとなる。「はな」は外交官夫人となり、国々を回る。「はな」はゾンダ(架空の国)の大使夫人の時、ゾンダに内戦が再発し、隣国の難民キャンプで活動する、と言い残して行方不明になる。
 高校生時代のS関係が、次第に美化され、唯一の純粋な愛として残る様を描いている。読者の評価は、異なってくるだろう。


 

 三浦しをんの小説「風が強く吹いている」を読み了える。新潮文庫、2018年33刷。
 購入は、昨年12月18日の記事、ブックカフェで1冊と、送られた1冊、にアップした。



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 よくあるスポ根ものである。定員ぎりぎり10名の弱小チームが、鍛えられて、選考会をくぐり抜け、初めて箱根駅伝に出走し、次年度シード権を得るまでの物語である。
 駅伝の場面は感動的で、涙ぼろぼろで読んだ。しかし読み了えた瞬間、虚しさを覚えた。

 結局、ファシズムじゃないか?と思う。鉄腕アトムの最後の場面(僕は読んでいない)、アトムが(何かを抱え?)、地球を救うために太陽に突入するストーリーをファシズムだと断じた吉本隆明なら、箱根駅伝でアンカー清瀬が二度と走れなくなる故障を起こしても走る小説を、同じだと断ずるだろう。精神注入棒で鍛えられた日本軍が、ガムをくちゃくちゃしながら戦う米兵に敗れた事が、よほどショックだったらしい。

 三浦しをんがなぜスポ根ものや、辞書編纂を描くのだろう。紙の辞書、電子辞書、ネット検索の興亡を描いてほしい。僕は時代小説をずっと読まない。現実と突き合わせない状況なら、いくらでも美談は描けるだろう。余談に走った。石田衣良や堀江貴文の小説が、まだ現代を描いているようだ。
 小説「風が強く吹いている」は、あまり僕の背中を押してくれなかった。



 妻が最近、某ショッピングセンターに喫茶店付きの本屋が開業して流行っているから、行ってみると良いと僕に勧めた。田舎の都市に珍しい、お洒落な店が開いたようだ。
 しばらく日数が経ったが、時間を作って、車で出掛けた。

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 TSUTAYAの経営する、大規模なブックカフェだった。上の写真は、本屋店舗内である。
 やや照明を落としてある。

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 更に照明を落とした、カフェ部分である。写真の左奥にも、広めの喫茶部がある。
 カップル、待ち合わせらしい人、単身らしい人が、熱心に本に向かっていた。

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 本はベストセラーや時節ものが多く、目立たない本は少ない。文庫本を揃えたコーナーもない。何種類かのベストセラーを除いて。
 僕は新潮文庫で、三浦しをん「風が強く吹いている」を買った。今さらスポ根ものでもないが、背中を押してほしい企画を、僕は幾つか持っている。
 支払いは楽天Edyでだった。なかなか通じなくて、店員さんに面倒を掛けた。

 カフェ部へ行って、アイスコーヒーを買った。冬でもメタボおじさんは、少し動くと暑いのだ。
 テーブルで、文庫本の初めを走り読みして、アイスコーヒーを飲みおえ、店を出た。店を出た所に、テラスというか、広いテーブル椅子の読書スペースがある。まだ1冊、気になる本がある。


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 郵便で、季刊同人歌誌「COCOON」Issue14が届いた。結社「コスモス」内の若手歌人の歌誌である。
 4冊ごとの送金で、振り込みによくわからない点があったが、無事に入金したようだ。
 若手歌人の歌は、叔父さん気分で読めて楽しい。





三浦しをん 天上の飲み物
 三浦しをんの短編小説、「天上の飲み物」kindle unlimited版を読み了える。
 タブレットへのダウンロードは、今月25日の記事
「2冊を入手」の初めで報せた。
概要
 三浦しをんは、1976年・生。
 「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を、「船を編む」で本屋大賞を受賞。
 三浦しをんの本は、僕はこれが初めてである。
 「船を編む」が話題になった時、今さら辞書編集者のストーリーなどを・・・電子辞書の開発と向上と進展の裏側を覗きたい、と思ったのは僕だけではない筈である。企業秘密だから公開されないだろうけれども。
 「天上の飲み物」は赤ワインの事で、初出は季刊の「サントリークォータリー」である。納得する。宣伝誌に、意に添うストーリーを発表しても良い。
感想
 400年以上生きるドラキュラが、人間の生活に慣れ、今は大学生・後藤次郎・21歳として、酒屋の2階に下宿し、25歳のOL・宮村有美に恋している。
 しかし主人公は、恋人の血を飲む事も、血を与えてドラキュラ界に引き入れる欲求も、我慢して耐える。短いエピソードとはいえ、何の寓意か。
 ドラキュラは、作家を指すか、自由業を指すか、起業家を指すか。サラリーマンではない世界を指すようである。その世界に引き入れたい欲求がありながら、サラリーマンの世界から、引き剥がせない。
 下世話なようだが、単なるドラキュラと娘さんの恋物語と思えなかった。


 



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