風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

不安

 岡山大学短歌会の歌誌「岡大短歌」8号を読み了える。
 入手は、今月10日の記事、入手した4冊を紹介する(9)にアップした。



 また同・7号は、昨年12月23日の記事にアップした。


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 「岡大短歌」8号は、2020年8月15日・刊。45ページ.頒価:400円。
 Twitterのダイレクトメッセージで遣り取りして、指定口座に送料と共に振り込むと、早速送られて来た。上質紙であり、コストパフォーマンスも高いと思う。

 8首連作が10名、20首連作3名、30首連作1名である(重複する作者がいる)。雪舟えま、笹井宏之らの1首評4名(各1ページ)、H・琳の評論「時代の流れと読みの変化」3ページがある。
 月2回の歌会で、熱く、和やかに語り合っていると後記にある。
 若い恋の歌と共に、社会的不安、個人的不安を、ぶちまけたような作品がある。既に仕事をリタイアした者として、若者の健闘を願うばかりである。

 以下に5首を引く。
絵に描いたような約束 わたしたちは小石が成したモザイクアート(N・遠足)
うどん屋のたぬきの置き物さすったらしあわせになっているんだ私(H・琳)
思い出になるね、なんてね!丸ごとのももを流しでならんでかじれば(O・こみち)
必要のない絆とは手を切ってあらゆることに怯えたくない(B・なつ)
気づいたら後ろの人がいないみたいにあらゆる保証がされなくなった(M・航)



 

 福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第57集」より、3回目の紹介をする。
 同・(2)は、今月16日の記事にアップした。リンク記事より、関連過去記事へ遡れる。
概要
 「作品集」の「会員順」は、大きく8地区に分けられる。地区内の市町ごとに、おもに所属する会の内より、氏名のあいうえお順に作品が並ぶ。
 つまり長短はあっても、ほぼ同じ会の会員の作品が並び、作風がまとまっている感がある。
感想
 今回は、66ページ~106ページ(福井地区のしまい)まで、41ページ、81名の810句を読んだ事になる。前回で、半分ずつと書いたが、計算違いがあったようだ。
 短い詩型で、新しさを打ち出すのは難しい。生活実感の中で、これは、という句材を見つけて書き留めるのだろう。
 ぎすぎすした、不安な時代に、豊かな情感は救いである。以下の引用には、情感があって新しい句を選んだ。
引用

 以下に5句を引く。
頼りなき孫の歩みに蝶一羽(K・洋治)
七草や犬の餌に足す一しやもじ(U・恭子)
ふる里が口に広がるまくわうり(T・富美子)
石垣の揃はぬところ野菊かな(U・君枝)
草笛を吹くあの頃に戻れねど(M・桃翠)
0-31
写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


 青磁社「永田和宏作品集 Ⅰ」(2017年5月・刊)より、第10歌集「後の日々」を読み了える。
 
第9歌集「百万遍界隈」は、先の9月25日の記事にアップした。
概要
 原著は、2007年、角川書店・刊。357首と、あとがきを収める。
 2001年~2003年の作品である。
 短歌の発表、多くの講演等をしつつ、日本細胞生物学会会長(2002年~2005年)など、学問の組織の長、役員としても多忙だったようだ。
感想
 乳癌の手術を受け、実父を亡くして、心の不安定な妻・河野裕子(彼女の歌に「あの時の壊れたわたしを抱きしめてあなたは泣いた泣くより無くて」他がある)を見守る歌と共に、近づく老い(54歳~56歳)の感慨めいて、優れた後輩、孫を詠んだ歌がある。母恋の1首も、引用に収めた。
引用

 以下に7首を引く。
平然と振る舞うほかはあらざるをその平然をひとは悲しむ
君よりも不安はわれに大きければ椋鳥のように目をつむるのみ
あきらかに我を越えゆくいくたりを目に確かめて挨拶を終う
名前のみとなりたる母の名を書けりわが知らねどもいつまでも母(受診票)
おさなごを抱きてぬるき湯に沈む胸と胸とが蛙のようだ
振り分けに玉葱を竿に乾していく妻がとにかくうれしそうなり
石の犬が石の玉嚙む境内の入口まで来て帰ろうと言う
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写真ACの「童話キャラクター」より、「一寸法師」のイラスト1枚。





 

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