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 今月19日の記事、「届いた2冊とUSBメモリ」で報せた内、綜合歌誌「歌壇」2018年1月号を、作品中心に読み了える。
 新春巻頭作品は、それぞれ詠い上げているが、時代を憂える作品はないようだ。
 坂井修一(以下、敬称略)の新春巻頭言「ディストピア」は、IT学者でもある彼が、ITがユートピアではなく、幾つかの巨大企業と政府に独占され、社会的・政治的にディストピアへ至る手段として用いられる事を憂える。仕事と家事をAIに任せ、娯楽に耽る個人生活にも(ありえないだろうが)、否定的である。
 新春鼎談「短歌の読みをめぐって」では、万葉集や斎藤茂吉はさておいて、今話題になっている若い女性歌人の歌を取り上げてほしかった。僕の読むところ、そのような歌は1首しか取り上げられなかった。
 特集「不易流行の短歌―短歌の普遍と流行とは」は、禅問答みたいな不毛な取り上げ方をしないで(「考えないほうがいい」と題する筆者もいる)、文学の「真と新」と考えた方が良い。「変らぬ真がある」と考える人もいるだろうし(不易)、文学は「新」を常に欲求し欲求されている。2つが重なり合う部分もあるだろう。
 作品特集「平成30年を迎えて」10名の8首と短文は、老若が時代の危機を意識している。歌集を読んだばかりの江戸雪の「湧き水からの連想」を含む。