風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

中編小説

 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第2巻より、7回め、仕舞いの紹介をする。
 同(6)は、先の8月17日の記事にアップした。



ポオ全集 2
 「ポオ全集」第2巻の函の表を再掲する。

 第2巻の仕舞いは中編小説「ジュリアス・ロドマンの日記」で、244ページ~323ページ、80ページに渉る。
 副題にもあるように、「ロッキィ山脈最初の踏破記」である。第1章の長い序説のあと、第2章~第6章へと、日記形式で語られる。
 毛皮を求めて川を遡上し、草原の美しい景色、インディアンとの闘いを描き、赭熊の襲撃から逃れる所で、日記は了えられている。ロドマンが生活し、日記の残っている所から、この冒険は成功したのだろう。

 谷崎精二は解説で、「珍しい平明で清暢な物語である」と述べる。しかし少ない資料から、ポオが想像力を奮って描写して行く、苦悩が伝わって来る。

 これで第2巻を仕舞い、全6巻の第3巻に入る。


 インディーズ作家・村杉奈緒子の中編小説「よみ人知らず」Kindle Unlimited版を、タブレットで読み了える。
 同作品のダウンロードは、先の9月29日の記事、入手した5冊(4)にアップした。これでその5冊総てを読み了えた事になる。



 僕は彼女の「片恋未満」Kindle Unlimite版(第1作らしい)を読んでおり、感想は今年3月6日の記事にアップした。



村杉奈緒子 よみ人知らず

 「片恋未満」より後年の物語である。本州の最西端らしい山中で一人、萩焼を登り窯で焼く陶芸家・七海(映画カメラマンより転身)と、都内の雑誌社記者・若栄雪名の惹かれ合う物語である。
 七海のライバル陶芸家(弟弟子)として、「片恋未満」のフラメンコ・ギタリストより転身した喬木が現れ、雪名に好意を寄せるが身を退く。
 惹かれ合う男女の心理はわかる気がする。ただ興味を引っ張った、雪名の叔母・未雪の死因は明らかにされていない。村上春樹「1Q84」にも、明らかにされないエピソードはあったけれども、読者を放り出してはいけないと僕は思う。
 壮年男に若い恋人ができるまでのストーリーで、先がわからず、人生の濃い物語ではないようだ。
 これまでの2作品では、民衆芸術への憧れを描いて独自である。


 

 河出書房「ドストエーフスキイ全集」第2巻(1956年・刊)より、中編小説「初恋」を読み了える。
 先の5月21日の記事、
同・「白夜」に次ぐ。
概要
 創作されたのは、ペトラシェフスキー事件で監禁中の1849年で、1857年の「祖国雑誌」に匿名で掲載された。
結婚の挙式費用に窮したためとされる。
感想
 旧題は「小さい英雄」で、主人公は11歳の少年である。上流社会に紛れ込み(親、兄弟への言及はない)、暴れ馬を乗りこなして金髪美人の貴婦人と親しくなり、ひそかに慕うM夫人の窮地を救う。
 しかし題名は「小さい英雄」のままが良かった。
 M夫人への思慕も、初恋というより、15歳で母を(17歳で父を)亡くしたドストエフスキーの、幼年時代の豊かな生活と母への親しみを、失くしたことへの追慕であろう。
 ドストエフスキーの小説には、どうしてこう激情型の人物が現われるのだろう。
 父親が課したという、厳しい躾(のちには規律)への、反動だろうか。
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写真ACより、「ファンタジー」のイラスト1枚。


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