風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

予見

 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第3巻より、2回めの紹介をする。
 先行する同(1)は、先の9月18日の記事にアップした。




 今回は、「壜の中の記録」、「メロンタ・タウタ」、2短編小説を読んだ。
 「壜の中の記録」は、いわゆるボトルメール(ガラス瓶に手紙を入れて漂流させ、偶然の読者を当てにするもの)の形式を採る。バタヴィア(インドネシアのジャカルタ)からマレー諸島へ400トンの船で出港したが、嵐に遭って2人だけが生き残る。さらに大きい軍艦と衝突し、沈む反動で軍艦に乗り上げる。軍艦は南氷洋に向かうらしく、氷山が次々と現れる。軍艦が沈む所で手紙はしまいだが、死者からのボトルメールとする所に、迫真性がある。
 「メロンタ・タウタ」は、「気球「雲雀号」にて 2848年4月1日」の副題がある。気球とあるけれども、飛行船の物語らしい。しまいに壊滅して、海中へ落ち込む。この短編小説も、ボトルメールの形を採るが、漫筆の議論が多く、迫真性が足りない。
 2848年の出来事としているが、ジェット機やロケットが飛ぶ時代が近かったとは、ポオも予見できなかったようだ。

ボトルメール
写真ACより、「ボトルメール」のイラスト1枚。



 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第2巻より、6回めの紹介をする。
 同(5)は、今月11日の記事にアップした。



 今回は、199ページ~243ページの、45ページ分である。
 「四匹で一匹の獣」は、3830年の2人連れが、古代シリアの都市アンティオクに身を置いた物語である。王がキリンの皮をまとっていたり、結末では王が2人連れの「君」になっていたり、場景と共に筋立ても混乱していると思われる。
 「シェヘラザアデの千二夜目の物語」は、千一夜物語に続きがあったという設定で、千二夜目の物語に王が怒って、王妃は殺される。しかしその話は、ポオの時代を超えて、コンピューターやネットの世界を予見したようだ。「使いきった男」のiPs細胞を予測するかのアイデアと共に、ポオは未来予見の能力があったようだ。
 「花形」は、立派な鼻を備えた男が、それを最上とする社会で花形となる。しかし侯爵と決闘で、相手の鼻を射ち落とすと、花形を追われる。鼻を持たない男が、更に1番の社会だったのである。カードゲーム等での順位が、基だろう。

パソコン
写真ACより、「パソコン」のイラスト1枚。


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