このブログは日刊の予定が、昨日は更新を休んだ。
 1昨日のKDPアカウント登録の記事に、記事でも紹介した海河童さんがコメントを下さった。それによると、印税に関して仕組みが変わり、1円から受け取れるという、ありがたい情報だった。

 砂子屋書房「葛原妙子全歌集」(2002年・刊)より、第3歌集「飛行」を読み了える。
 同・第2歌集「縄文」を読む、は昨年11月27日の記事にアップした。リンクより過去記事へ遡り得る。



 「飛行」は、1954年、白玉書房・刊。1953年を中心とした、336首を収める。装丁・近藤芳美。
 日本歌人クラブ会員、女人短歌会会員となり、五島美代子、森岡貞香、中井英夫らと交流した彼女は、先鋭的な歌風に向かう。生活は苦しくないながら、女性の苦しみがあったのだろう。
 しかし無駄な字余りの歌があり、自選したにしては美点のとくにない歌がある。1年で歌集を出すのは、早過ぎたのだろうか。
 歌集題は「飛行」と名付けられながら、飛び立って上昇して行く、試行期間のように思える。


 以下に7首を引く。正字を新字に直した。
夫の寡黙にがんじがらめとなるいまのいづかたにひらめき冬の花々
どの病室(へや)も花を愛せり人間のいのち希薄となりゆくときに
みづからをみづからの手であざむくにいかにか愉し化粧といふは
ときながくわれに潜めるもののかほしらざりしいまひしと見えくる
いちにんを倖(さきはひ)とせむたいそれし希ひをもてば暗き叢
鹽甕にいつぱいの鹽を充たすとて溢るるはなにのゆゑのなみだぞ
どの窓も傷口となるさん然と雪厚らなる街の照りいで
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写真ACより、「ケーキ」のイラスト1枚。