県内と東京都の1人の詩人を同人とする詩誌、「果実」82号を読み了える。
 到着は、今月9日の記事、同人詩誌2種が届く、で報せた。リンクより、過去記事へ遡れる。



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 9名19編の詩、5名5編の随筆を収める。作品によってランダムに掲載する試みを行ったが、詩人ごとにまとめて何編か掲載する編集に戻った。
 W・本爾さんの「年賀状」は、子~亥の12の干支を追って書かれた。数え歌的な詩を僕は好まないが、真実を衝いた節がある。
 N・昌弘さんの「世代」は、老母を描いて、「…世間の物音は敏感に/…社会の本当は見えるらしい」とその賢さを讃えるが、末行の「ああ おそろしや おそろしや」は余分ではないか。
 K・八重さんの「口紅」は、母の香港土産にもらった、残り物のオレンジの口紅が似合うようになったと、年月の深さを思わせる。
 T・篤朗さんの3編は、生きるとは、いかに生きるか、を問うて真剣である。
 K・不二夫さんの「ドコカガチガウ」は、山中の散策に若かった時との違いを感じ、自分と社会の変遷の故かと、「ちがう ドコカガチガウ」と悲傷する。