角川書店「増補 現代俳句大系」第12巻(1982年・刊)より、13番目の句集、「定本 木下夕爾句集」を読み了える。
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飯田蛇笏「椿花集」は、今月12日の記事にアップした。
概要
 原著は、1966年、牧羊社・刊。井伏鱒二・序、4章・564句、安住敦・跋、著者略歴を収める。
 木下夕爾(きのした・ゆうじ、1914年~1965年)は、戦前に詩人としての地位を確立しながら、戦中に俳句を始め、1946年に久保田万太郎・主宰の俳誌「春燈」創刊に参加、終生離れなかった。
感想
 「定本 木下夕爾句集」は、没後に周囲の協力を得て、成った句集である。
 跋で、「師として選ばれた久保田万太郎は、この異質と思われる作家の俳句を認めるにやぶさかでなかった。」と記される。共に「俳句は余技である」の立場が、共通していたのだろうか。
 俳句としては、詩的叙情性の強過ぎると思われる句もあるが、戦後の生活俳句に新風を拓いたものだろう。
引用

 以下に5句を引く。
この丘のつくしをさなききつね雨
在るは樹と日と雲とのみ滴れり
繭に入る秋蚕未来をうたがはず
ふるさとや正月を啼く川原鶸
日曜につづく祭日しやぼんだま
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写真ACの「童話キャラクター」より、「白雪姫」のイラスト1枚。