風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

作品集

 Kindle版「室生犀星作品集」より、短編小説「ゆめの話」を読み了える。
 今月6日の記事、「名園の落水」に次ぐ。



 「ゆめの話」は、武士の多門が怪しげな振る舞いの女を門口で切りつけるが、姿が見えなくなる。家うちの台所で、使用人のお萩が傷を受けて気絶している。介抱すると、お萩は夢で切られたという。やがてお萩は暇を取る。
 夢遊病のようだが、どこまでそうなのか、わからないと作者は書く。
 底本の親本、創林社「室生犀星童話全集 第3」、1978年・刊。
 初出、「令女界」1924年12月号。
 頼まれて書いた原稿だろうが、筆力はある。旧かなを新かなに直してあるだろう。
塀
写真ACより、「塀」の写真1枚。



 Kindle本「室生犀星作品集」より、エッセイ「名園の落水」を読み了える。
 先の8月27日の記事、「みずうみ」を読む、以来である。


 「名園の落水」は、初め前田家の家老だった本多氏の庭を巡る。当主は住んでいず、取次の案内を受ける。庭は荒れている。
 総檜の屋敷や、100畳の部屋も見せてもらう。
 それから兼六公園へ向かう。落水の脇のお亭でひと休みし、芥川龍之介を思う。曲水に感嘆している。落水を「公園で一番いいところ」と思って佇む。
 庭を造り、世話することが道楽だった犀星らしい、エッセイである。庭造りに関心のない僕には、深い感慨はわからない。
 底本の親本、新潮社「室生犀星全集 第3巻」1966年・刊。
日本庭園
写真ACより、「日本庭園」の写真1枚。



 KIndle版「室生犀星作品集」より、「みずうみ」を読み了える。
 先の同・童話とエッセイを読む、は6月9日の記事にアップした。



室生犀星作品集
 作品集の表紙を再掲する。

 「みずうみ」は、初めに「童話でも小説でも散文でもない」と断っている。
 写生ではない俳文という所だろうか。
 4章と分量は意外と多かった。
 湖辺の一軒家に住む眠元朗とその妻、娘と、3人が登場人物である。眠元朗とその妻は生活に飽き、険しい目を交したりする。
 結末で父親は、乙女さびた娘を、対岸の桃花村へ小舟で送り出してしまう。
 家族の由来も、生業も、心象小説のような1編では、どうでも良いのである。
 底本の親本は、「室生犀星未刊行作品集 第Ⅰ巻 大正」三弥井書店、1986年・刊。初出は「詩と音楽」1923年5月号。旧かなを新かなに直してあるだろう。


 Kindle版「室生犀星作品集」より、童話とエッセイを読む。
 怪談とエッセイ2編をを読んだ前回は、先の5月17日の記事にアップした。



 童話は「不思議な魚」と題する。漁師の息子が、ガラス箱の中の小さな人魚を二つ買い、海に戻らせる。ある鰯漁で、漁師と息子は、人魚のおかげで大漁を得る。
 地蔵や動物の恩返しものだが、人魚、漁師の点が新しい。初出「キング」1926年11月号、底本の親本「室生犀星童話全集 第3」1978年・刊。

 エッセイは、「交友録」と題する、短い作品である。朔太郎や白秋、他との交友を述べる。
 いずれ出版社に頼まれて、困ったあげくに書いたものだろう。しかし後の「我が愛する詩人の伝記」に繋がるとすれば、貴重である。底本の親本「室生犀星全集 第7巻」新潮社、1964年・刊。
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。



 先の4月15日の記事、入手した3冊を紹介する(8)で報せた内、Kindle版「室生犀星作品集」より、「抒情小曲集」を読み了える。


室生犀星作品集
 この作品集の作品の順番は、分類別でなく、題名のあいうえお順なので、独特である。室生犀星の詩集は、古い岩波文庫(1965年・12刷、自選)しか持っていないので、新しく多くの詩に出会える。

 「抒情小曲集」は、「愛の詩集」に次ぐ第2詩集(同年に刊行された)である。
 94編の短詩を集めている。白秋、朔太郎、自分、他の序文が長い。
 「特つた」(持った?)、「青さ波」(青き波?)、「葱はおとろゆ」(衰ふ?)等の、誤りと見られる箇所がある。
 「みやこへ」(7行)には、「けさから飯も食べずに/青い顔してわがうたふ」のフレーズがあり、生死を賭けた、飯よりも詩が好きな例の、詩である。
 3部の内の第2部に移ると、5音句・7音句が多くなり、「時無草」のような冷たい抒情が見られる。
 第3部の「街にて」では、「…服は泥をもて汚され/…/れいらくの汚なき姿をうつす/…/血みどろに惨としてわれ歩む」と困窮の様を描いた。
 小説家へ移行して成功するまで、当時の多くの若者詩人の一人だったのだろう。


 最近に入手した3冊を紹介する。

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 県内にお住いの詩人、西畠良平さんが、詩集「溶け出した言葉」を贈って下さった。
 2020年5月・付け、紫陽社・刊。
 66歳にしての、第1詩集である。



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 本阿弥書店より、総合歌誌「歌壇」2020年5月号が届いた。
 6月号以降も本誌を取ることに決め、近いうちに半年分の誌代を振り込む予定である。
 連載「平成に逝きし歌びとたち」は今号、二宮冬鳥である。彼を尊崇する鈴木竹志さん(「コスモス」でのかつての先輩)は、大喜びだろうか。
 同・4月号の感想は、先の3月23日の記事にアップした。




室生犀星作品集
 AmazonのKindleより、「室生犀星作品集」をタブレットに、ダウンロード購入した。
 室生犀星は気になる作家・詩人だけれども、作品集を持っていなかった。99円(税込み)より、Amazonポイント、6ポイントを引いての購入だった。1詩集1作品、小説1編1作品の数え方である。僕がかつて読んだ長編小説「杏っ子」が入っていない。
 Kindleで買った作品集では、「橘曙覧 全歌集」、「若山牧水大全」、「D・H・ロレンス詩集」などを読んだが、「与謝野晶子大全」はほとんど手付かずである。


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 WindowsのUpdate等の為、時間が少ないので、僕の蔵書の未読全歌集を挙げる。
 上段左より、「鈴木一念全歌集」、「吉植庄亮全歌集」、「太田水穂全歌集」、「佐藤佐太郎全歌集(生前版)」である。
 下段左より、「葛原妙子全歌集」「山崎放代全歌集」、「都築省吾全歌集」、「葛原繁全歌集」である。
 ここに載せていないが、存命の「福島泰樹全歌集(3冊本)」がある。
 既読の全歌集では、「斎藤茂吉全短歌(4冊本)」、「北原白秋全歌集(3冊)」、「若山牧水全歌集(Kindle版)」、「中城ふみ子全歌集」、「岸上大作全集」、「岡部文夫全歌集」、「春日井建全歌集」、「永井陽子全歌集」、「永田和宏作品集 Ⅰ(生前版)」、「岡井隆全歌集(生前版)」、それに「石川啄木全集」の歌集編、「宮柊二集」の歌集編、などがある。
 時めく歌人の「作品集」も何冊か買った。また「馬場あき子全集」の歌集編、「佐佐木幸綱の世界」の歌集編なども読んだが、皆売り払ってしまった。本当の全歌集が出て、機会が合えば買って読み直したい。


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