風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

作庭

 Amazonからタブレットにダウンロードした、Kindle版「室生犀星作品集」より、怪談1編とエッセイ2編を読んだ。
 先行して「忘春詩集」を、今月11日の記事にアップした。



 怪談は「あじゃり」と題する。峯の寺の阿闍梨は、孤高に住んでいたが、他寺に100日の修行より帰る時、一人の童子を連れて来た。稚児趣味ではなく、実の親子という。仲睦まじく住んでいたが、童子が病気になり亡くなると、阿闍梨は取り乱していた。ある禅師が後日、寺を訪ねると、阿闍梨はされこうべを抱いたまま、衣類と白骨になっていた。以上がストーリーだが、孤高の僧が人間の情に囚われて滅びる、反宗教色を見るのは、うがち過ぎだろうか。
 犀星が寺の内妻に貰われたという、出自も関わるかも知れない。

 エッセイの1編は、「芥川の原稿」である。犀星が芥川龍之介の部屋を訪ねると、先客の雑誌編集者が原稿の強要をしている。来月号に書く約束で、編集者は帰る。
 編集者の眼力を恐れる事に触れる。またある編集者は、芥川の原稿を書巻にして大事にしたという。犀星の回顧談だろう。

 もう1つのエッセイは、「冬の庭」と題する。作庭趣味のあった犀星が、冬の庭には春夏秋の手入れ、心遣いが表れると述べ、冬庭の眺め方を説いている。骨董にも作庭にも趣味がない僕は、ははあそうですかと拝読するよりない。
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




 Kindle版「室生犀星作品集」より、「忘春詩集」を読み了える。
 前回の「抒情小曲集」は、今月4日の記事にアップした。




 室生犀星(むろうorむろお・さいせい、1889年~1962年)は、既に著作権が切れており、こういったKindle版・作品集を、99円という破格の値段で出版できるのだろう。
 「忘春詩集」の原著は、1922年、京文社・刊(Wikipedeiaに拠る)。

 「忘春詩集」は、自序と「忘春詩集」編、「わが家の花」編、「古き月」編、「かげろふ」編等より成る。
 「忘春詩集」編では、「象」などの骨董趣味、「童心」などの作庭趣味が、既に始まっている。
 「わが家の花」編では、儲けた幼児を亡くした悲しみ、寂しさがうたわれている。僕は子を亡くした悲しみを知らないが、切々とうたわれて、心に迫るものがある。
 「古き月」編の「貧しきもの」では、極貧時代を経た者としての心情、買い物などを描く。

 1919年には中央誌に小説が載り、作家として成功しつつあったが、詩作を続けた。この作品集に「愛の詩集」、先の「抒情小曲集」と、詩集は3冊のみらしく惜しまれる。
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。



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 昨日の記事「届いた1冊、頂いた7冊」に挙げた内、同人詩誌「青魚」No.89を、ほぼ読み了える。
 
同・No.88の感想は、今年6月10日の記事にアップした。リンクより、旧号の記事へ遡ってゆける。

 冒頭、K・和夫さんのエッセイ「龍泉寺界隈ふたたび」は、現・越前市(旧・武生市)の敗戦直後の回想から、産物の世界展開への現在の希望を描いて、懐かしい文章である。

 T・幸男さんの4編の詩(ペン書きを縮小掲載したもの)は、上下2段の下段に作庭した(彼は作庭家であり、画家でもある)庭のカラー写真を置いて、展開する。やや難解だが、題名「彼岸の滸で」、「永劫の無辺(ほとり)で」、「足のうら」、「皿ねぶり」の題名を考慮に入れると、わかりやすいか。前2編は無常観を感じさせ、あと2編は年少時の回想が濃い。
 千葉(兄)さんの「匂い」、千葉(弟)さんの「姉、敏子」、共に姉の死を詩って、詩風の違いを見せる。
 高年大学から出発した詩人たちも、どんどん進歩している。

 M・幸雄さんの「現代詩を語る」(座談会記事より抜粋)では、主張の1つに「近現代詩語辞典」の作成を求めている。
 安部倹司・遺稿詩集「生と死のあいだ」(千葉(兄)が出版に関わった)は大冊だが、5名の方が丁寧な感想を寄せている。


 僕はソネット9編(と短歌連作1編)を寄せた。もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、11月20日の記事より、ソネットを毎日1編ずつアップするので、横書きながらご覧ください。


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