角川書店「増補 現代俳句大系」第13巻(1980年・刊)より、2番目の句集、千代田葛彦「旅人木」を読み了える。
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古賀まり子「洗禮」は、今月15日の記事にアップした。
概要
 原著は、1964年、琅玕洞・刊。水原秋桜子・序、555句、著者後記を収める。
 千代田葛彦(ちよだ・くずひこ、1917年~2003年)は、台湾・生、1934年より作句。
 1946年・引揚げ、中央大学法学部に晩学、教職に就いた。
 1950年、秋桜子「馬酔木」に参加。
感想
 「旅人木(りょじんぼく)」は、第1句集である。全体を4部に分け、敗戦後の1946年の句より始まり、最後第4部に引揚げまでの句を62句のみ載せている。戦前の句より戦後へ続いた、1部の句集より好感を持てる。
 また戦後派らしい清新さがある。
 比喩の句も多く、「幹たちにささやかれ来て月夜なり」、「昃りて土筆のことば聞き洩らせし」などの暗喩で、「~のような」の直喩に安易に直せない、斬新な句がある。
 60年安保闘争に就いて「全学連など世の騒々しきに」と詞書して「葭切の眼下が暗し暗しと鳴けり」1句のみがある。俳人は、その闘争にあまり関心が、無かったのだろうか。
引用

 以下に5句を引く。
仮住みの寒波いたらぬところなし
幹うつて落葉は迅し故郷なし
木移りに鵯が導く屍の担架
冬の卵亨くまぶしさに声をあぐ
凩を父流水を母の声
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写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。