角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、6番目の句集、和知喜八「同齢」を読み了える。
 先の9月9日の記事、鈴木六林男・句集「桜島」を読む、に次ぐ。

 原著は、1976年、響焔発行所・刊。406句、著者・あとがきを収める。
 和知喜八(わち・きはち、1913年~2004年)は、1940年、加藤楸邨「寒雷」に参加。戦後、日本鋼管の社員としての職場俳句、1958年に職場俳句誌「響焔」の創刊、等と活躍した。イデオロギーに拠らず、自由に吟じた運動とされる。

 他人の表情を窺う作品が多い。製鉄所現場を捉えようとしたからだろうか。
 また体言止めの句も多い。治まりは良いが、多用すると安易になる。
 新かな遣いを通した点は新しい。

 以下に5句を引く。

千地蔵くりくりとこの暑い日に
青胡桃明王が負う火炎上
かんじきで歩き続けて口結ぶ
暗黒に五月まひるの鮫干場
重荷負うごとき花びら薔薇匂う
0-70
写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。