風の庫

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俳誌

 福井県俳句作家協会・編の「年刊句集 福井県 第59集」(2020年の句のアンソロジー)より、2回めの紹介をする。
 先行する1回めは、今月4日の記事にアップした。


 今回は福井地区(福井市、吉田郡)の初め(33ページ)~半ば(58ページ)の26ページ、52名520句を読んだ事になる。
 一般会員であり、役員等の句より、清新である。句会、俳誌での競争、被指導等によって、新と真を追求するのだろう。新といっても世事的題材の新のみでなく、新しい心情、新しい用語法(レトリック?)を、流行りを追うのではなく、見出さねばならない。
 境地の上達は、文学に携わる者の念願であるから、福井の俳句も上昇して行くであろう。旦那芸、女将芸に安楽する場ではない。

 以下に5句を引く。
秋草の野にあるこころ活けんとす(N・瀧三)
新年やひと息入れて生きていく(N・知子)
うららかにほやろほやつて昼さがり(K・洋治)
 
(ほやろ・ほやっては、そうだろう・そうだって、の意の福井方言)
木の実落つ沈んで浮いて流れゆく(T・利彦)
月光に心の縺れさらけ出す(D・清二)
4 (5)
 写真ACより、「ビジネス」のイラスト1枚。




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 角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、13番目の句集、高木晴子「晴居(はるきよ)」を読み了える。
 先行する下村ひろし・句集「西陲集」は、今月6日の記事にアップした。



 原著は、1977年、玉藻社・刊。高浜虚子・序、316句、著者・あとがきを収める。
 第1部は、「晴子句集」(1951年・刊)の200句、第2部はそれ以後116句を集めている。
 高木晴子(たかぎ・はるこ、1915年~2000年)は、高浜虚子の8人の子の内、5女である。
 彼女の俳句は、虚子の膝下に伸び伸びと育ち、夫(日本銀行員)の転勤による北国生活以外、ほとんど屈折を持たない。1984年、俳誌「晴居」を創刊・主宰した。
 後の句集に「続晴居」がある。

 以下に5句を引く。
この街に二た月すぎぬあられふる
搗初の水車の杵のみな動く
親しさの別れの句会薄紅葉
ふと音の大きくなりて暖炉燃ゆ
卓の上うちはの他になにもなし
0-01
写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。





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 角川書店「増補 現代俳句大系」第13巻(1980年・刊)より、7番目の句集、磯貝碧蹄館「握手」を読み了える。
 今月8日の記事、
三橋敏雄・句集「まぼろしの鱶」に次ぐ。
概要
 原著は、1966年、遊墨社・刊。中村草田男「序にかえて」、467句、著者「あとがき」を収める。
 本著で、俳人協会賞を受賞した。
 磯貝碧蹄館(いそがい・へきていかん、1924年~2013年)は、川柳、自由律、口語俳句を通って、1954年に中村草田男「万緑」入会。1974年、俳誌「握手」創刊・主宰。
感想
 彼の句は、彼の生い立ち(父母の離婚、父の放浪死)や、戦後の紙芝居屋、郵便局集配員としての就職、昇進などと共に語られるという。
 戦後復興と共に、生活が安定して行ったのだろう。
 師・中村草田男の影響とはいえ、字余りの句が多い。表現を矯める(歪めるのではなく)事も、定型詩において必要と思う。
引用
 以下に5句を引く。
合歓咲くやつかみどこなき父の愛
四方の菊ひかりぬ母も髪結へよ
花咲く馬鈴薯勇気は常に妻より享(う)
芽ぐむ山々膝で旅する座棺の母
戦没学徒ら透明に群なし春塵駆く
0-35
写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。






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