風の庫

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 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第3巻より、1回めの紹介をする。
 先行する「同 2」を読む(7)は、今月7日の記事にアップした。




ポオ全集第3巻
 「ポオ全集」第3巻の函の表である。1969年第1刷、1978年第5刷。

 第1編は、「ハンス・プファアルの無比の冒険」である。オランダで困窮したハンス・プファアルが気球を造り、工夫を凝らして月世界に至るという話である。長文の手紙が月の住人によって届けられ、真相がわかる。
 気球程のもので、月に至れない事は、現代の科学で明らかである。月到着の願いは古くからあり、色々な物語を生んだとしても、これは上手な部類ではないだろう。

 第2編は、「メエルストルムの渦」である。「大渦に呑まれて」「大渦の底へ」の訳題でも有名な短編である。大渦に巻き込まれた小漁船で、主人公が、大きいものや丸い物が早く沈む事を発見し、樽に身を縛って飛び込む事で、死を免れる。しかし樽に身を縛っては、海水も飲むだろうし、現実的なストーリーに思えない。前作と共に、当時の科学の知識が先行し、今の読者の感興が大きくない。



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 土曜美術社出版販売の新・日本現代詩文庫150「山田清吉詩集」より、2番めの「土時計」(抄)を読み了える。
 先行する第1詩集「べと」は今月5日の記事にアップした。



 「土時計」は、1986年、紫陽社・刊。「べと」より、10年を経ている。
 「土時計」(抄)には、22編を収める。
 「少し馬鹿がいい」では「少し馬鹿がいい/馬鹿だからいうのではないが…少し気違いがいい/気違いだからいうのではないが…」と進む。おとぼけだろう、本人は賢いと思っているだろう。本当に自分の至らなさを視る者は、こう書かない。
 田畑を売れと迫る者、農耕牛を酷使する者、青田刈りを強いる為政者への怒りは、少しのレトリックと共に充分にうたわれている。

 「春が来た」「かかあは正直者です」「死にました」「己
(うら)があさって死んだ」「いいえ違います」では、繰り返し己の死と葬儀を描く。死んでも意識があり、5感が働いて、思いを述べ景色を見る。「死ねばチャラ」と思っているのだろうか。彼が信仰深い事とも関わるのだろう。
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




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 海河童さんの写真集「Photo Collection of Alona Beach」を観了える。
 先行する同「同 Philippines」Kindle版の感想は、先の2月18日の記事にアップした。



海河童 Alona Beach
 今度の「同 Alona Beach」は、2018年6月30日、海河童本舗・刊。写真145枚を収める。ダウンロード当時も、3月9日22時現在も、Kindle版が無料である。

 怪奇な顔の魚、イソギンチャクとクマノミの共生(メッセージのようである)、美しい赤い魚(撮影場所のキャプションはあるが、撮影対象のキャプションはない)、樹上のメガネザル、大魚群、大きな口のジンベエザメ、等の写真を収める。最後の写真は、薄暮の海岸の著者らしいピースサインするシルエットに、「Thank you!」の文字が入っている。

 追記:海河童さんがツイートしてくださいました。




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