風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

全歌集

 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2020年8月号を、ほぼ読み了える。
 入手は、今月16日の記事にアップした。
 また同・7月号の感想は、6月22日の記事にアップした。リンクより、過去号の感想へ遡り得る。



歌壇 8月号

 特集は「河野裕子没後十年 -その歌の源泉」である。河野裕子の作品集を読んだ記憶があり、その後も「たとへば君」など、永田家の共著で、作品を読んで来た。全歌集が出版されたなら、図書館で借りてでも読みたい。
 創作家は、作品しか残らない。大西民子も、斎藤史も、(もちろん茂吉も白秋も、上田三四二、宮柊二、ほか多くの)全歌集を読んだ。
 連載「平成に逝きし歌びとたち 斎藤史」など取り上げられると、懐かしい思いが湧く。

 以下に2首を引き、寸感を付す。
 K・尚子の「えびね蘭」7首より。
三歳の甲高き声に何か言う解らぬババはバイバイされぬ
 3歳の児の新語だったのだろうか。バイバイするのは、せめてもの優しさだろう。
 T・澄子さんの「総咲きの密」7首より。
簡潔に生きゐる夫は大方の家事仕舞ひ了へ寝息はやたつ
 賢い夫である。凡愚の我らは、いつまでもぐずぐずしている。


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 最近に入手した4冊を紹介する。
2017 囲碁年鑑

 今月10日の記事、「2020 囲碁年鑑」を買う、をアップした時、囲碁年鑑の僕のコレクションの内、2017年版、2018年版の欠けている事が判った。

 Amazonで調べてみると、2017年版のほぼ新品が980円で出品されており、さっそくポチッた。2017年6月1日、日本棋院・刊。B5判、396ページ。
 2018年版は、新品も古本も高価で、今回は見送った。2018年版を入手すると、囲碁年鑑のコレクションで、1965年版よりの56冊が揃う事になる。急がないで、機会を待とう。


歌壇 8月号
 予約購読の総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2020年8月号が届いた。
 特集は「河野裕子没後十年 ―その歌の源泉」。僕は生前版の作品集を読んだ。全歌集が出版されたら読みたい。
 連載「平成に逝きし歌びとたち」は、斎藤史である。生前版の全歌集と、その後の2冊の歌集を読んだ。


モネ画集

 今月12日の記事にアップした、「モネ傑作名画集」に続き、Amazonより「モネ画集」Kindle Unlimited版をダウンロードした。世界名画シリーズ、324作品、413ページ。



ルノワール名画集
 同じく「ルノワール名画集」Kindle版(無料)をダウンロードした。世界美術全集は持っているけれども、新しい見方が出来るだろう。




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 ある歌人の全歌集(定価:1万5千円)をメルカリに出品していて、月日を経て5千5百円で売れた。送料と手数料を引かれて、メルペイ残高に入った。
 泡く銭は、すぐ使い、生活費に回さない方針である。それでセパレートタイプ・ステレオセットのスピーカー、アンプ、CDプレーヤーなどを取り替えたりした。
 今回はメルカリで、藤井聡太7段の扇子(プリントもの)を買おうかと思った。しかしそれは、藤井聡太7段がタイトルを得てから、日本将棋連盟のHP(お気に入りに登録済み)より安く買えば良い。
 それで何かグッズをと思うと、MLBのニューヨーク・ヤンキースで活躍中の田中将大投手を思い出した。里田まい・夫人とともに、ファンである。
 田中将大投手のグッズは、Amazonで以前に検索して、出品があったが、割高感で買えなかった。今ならメルカリ・ポイントがある。4,110ポイントで、ユニフォームのレプリカを買った。


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 ユニフォームの上の背中である。サイズはアメリカ人でLL(日本人でXL)である。試着したところ、僕と合う。

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 正面側である。ユニフォームのレプリカは大量販売されており、プレミアムは付かないだろう。
 それで普段着に着るとして、TPOが難しい。僕は体育会系でないので、そういう集まりに出ない。歌会に着て行ったら、びっくりされるだろう。
 結局、室内着にする事にして、今はシャツ1枚で過ごしているので、秋口の少し涼しい季節を待っている。


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 砂子屋書房・刊の「葛原妙子全歌集」(2002年)より、第7歌集「朱霊」を読み了える。
 第6歌集「葡萄木立」は、先の5月5日の記事にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡れる。



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 全歌集の函の表の写真を再び挙げる。

 「朱霊」は、1970年、白玉書房・刊。715首、著者・後書を収める。
 前衛短歌の一人とされながら、僕にインパクトが少ないのはなぜだろう。戦争未亡人の森岡貞香ではなく、元・華族のプライドを秘めた富小路禎子でもなく、医師の妻に過ぎない。実質・厨歌に過ぎない作品もまじる。仮定の上の悲傷もある。
 稀に迫力のある幻視の歌、暗喩が決まった幻想の歌もある。
 啄木、「赤光」、「サラダ記念日」、「昭和万葉集」完読と進んだ僕は、後まで前衛短歌に触れる事が少なかった。生活の短歌しか詠めない由縁だろう。
 なお俵万智のライトヴァースは否定されたとされるが、僕には解せない。バブル期でなくとも、「かるみ」を目指す歌があって良い。


 以下に7首を引く。正字を新字に替えてある。
等身の鏡にあゆむ 現
(うつつ)よりふとたしかなるわれの足どり
夏澄むに悲痛せむかなあたらしき中国に老残の宦官ありとして
疾風はうたごゑを攫ふきれぎれに さんた ま、りぁ、りぁ、りぁ
南風の夜の月明水中に沈める死者は椅子に居りにき
犬などがことことと階段をのぼりゆくひたすらなるにわれは微笑す
昼しづかケーキの上の粉ざたう見えざるほどに吹かれつつをり
陽を着たる一人の男低丘を迂回する道いま登りゆく



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 2002年、砂子屋書房・刊の「葛原妙子全歌集」より、第6歌集、「葡萄木立」を読み了える。
 第5歌集「原牛」の感想は、先の3月15日の記事にアップした。



 原著は、1963年、白玉書房・刊。557首、著者・後記を収める。
 日中戦争が1937年に始まり、1939年に32歳で太田水穂「潮音」に入った葛原妙子にとり、戦後の富裕な生活の中で、平和に違和感を持っていたのだろう。先の「原牛」にも「異変に飢うる」の言葉がある。
 前衛短歌運動が、様々な手法的財産を遺しつつ、平和な時代に咲いた徒花のように思える。俵万智「サラダ記念日」に依って、戦後短歌より、現代短歌へ舵を切ったと、俵万智・以降に短歌を始めた僕は感じる。
 幻想、妄想の中に、罪の意識が垣間見えたりする。有名な「晩夏光おとろへし夕」の歌も、大胆な字足らずだけれども、厨歌である。中句欠の歌も、また詠まれている。60年安保に関わるらしい歌が、わずかにある。
 リアルな日常詠に好感を持つだけに、前衛短歌の奇異に走ったのは惜しい。


 以下に7首を引く。正字を新字に替えてある。
たれかいま眸を洗へる 夜の更に をとめごの黒き眸流れたり
口中に一粒の葡萄を潰したりすなはちわが目ふと暗きかも
激突の叫喚は靄の中なるをあるものは人の耳に聴こえず
われはいま氷の墓原に出没す奇怪ならじか杳けし 人よ
硝子戸に嵐閃き髪洗ふわが専念はふかしぎならむ
統率はさびしからじかこども率
(ゐ)ておみなの教師路上を過ぎにき
鋭角の影置くかほにあらはるる苦渋ありありと冬の医師なりき
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。





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 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2020年4月号を、作品中心に読み了える。
 入手は今月19日の記事、届いた3冊を紹介する(8)にアップした。リンクより、3月号の感想へ遡れる。



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 巻頭作品20首では、外塚喬「絵地図をひらく」が老いの心境を展いて渋い。吉川宏志「うしろむく人」の掉尾「道すべて封鎖されたる武漢にも梅咲きをらむ映されざりき」が、新型コロナウイルスを描いて新しいが、梅の花にずれて行かない方が良いと思う。
 「平成に逝きし歌びとたち(4)大西民子」は、大写しの写真1枚と、沢口芙美の6ページに渉る紹介、30首選を挙げ、感銘深かった。僕は生前版の全歌集を読み、そのあとの2、3冊の歌集も読んだ。僕の短歌の詠み初めの頃のことである。没後の新しい全歌集を読む気はない。
 特集「どうする?歌の表記」では、僕は新かな、口語の歌に進んでおり、ひらがな表記、特殊なルビへの関心も薄い。
 篠弘の評論「戦争と歌人たち」も70回で最終回を迎えた。労作である。将来へ向けた反戦論が必要だろう。
 特別作品30首の島崎榮一「秩父困民党」は今更のテーマと思う。僕が待っているのは、このような主題ではない。
 作品7首に、竹村公作「イスカンダルへ」など、秀作がある。



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 砂子屋書房「葛原妙子全歌集」(2002年・刊)より、第5歌集「原牛」を読み了える。
 第4歌集「薔薇窓」の感想は、今年1月29日の記事にアップした。



 原著は、1959年、白玉書房・刊。室生犀星・序、500首、著者・あとがきを収める。
 医師を父として生まれ、医師に嫁ぎ、「ハイソサエティ、貴族的雰囲気」(岡井隆の栞の言葉)に暮らした。
 葛原妙子は、今の大学の国文科を出て、文学少女の成り上がった者だろうか。菱川善夫や塚本邦雄の、褒め上手に乗せられて。前衛を意識した詠みぶりは確かである。「たたへたる涙落ちざればらんらんとしてみひらくに似つ」の中句欠のような、冒険を重ねて。
 しかし彼女の成熟は、これ以降の歌集にあるようだ。


 以下に7首を引く。正字を新字に直した。
インク壺にインク充ちつつ 凍結のみづうみひびきてゐるも
寒き背後の床を走りたる灰色の目の猫の速度を
死神はてのひらに赤き球置きて人間と人間のあひを走れり
雉の鋭ごゑおこりくさむら戦ぎたりこころ異変に飢うるさびしき
心臓の標本一つある窓にぶだうの蔓の影ある時間
水辺の暗きに立ちをり身に負へる水の怨恨 草の怨恨
濃き蜜にわれをやしなふさんらんとわれは女蜂の翅を光らせ
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写真ACより、「ケーキ」のイラスト1枚。




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