風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

全詩集

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 思潮社「吉本隆明全詩集」(2003年2刷)より、初期詩編の2回目の紹介をする。
 
同・1回目は、先の10月22日の記事にアップした。
 なお上の写真は前回と違って、2重箱の外箱である。右上角に傷みがある。
概要
 
初期詩編Ⅲ(1944年の作品)19編と、Ⅳ(1945年の敗戦前の作品)2編を取り上げる。以降は戦後の詩となる。
感想
 初期詩編Ⅲは、「草莽」と題される。
 「原子番号0番」では、「私のやうな青くさい年齢になると/何をやつても救はれないやうな/どん底の意識を感じるのです」と、戦時下の本音を述べているようだ。
 「原子番号三番」では、「風は透明次元からの借りもので/…/唯光度と四辺の新鮮度が/大きな問題となつて現はれるやうです」と、戦後の彼の詩法を明かしているようだ。
 宮沢賢治の影響がある詩は、山形県の米沢高等工業高校に在籍していた、東北性があるかも知れない。
 「雲と風と鳶」では、「もう明日からはしづかな沈黙をまもつて/小さな自意識をかみしめませう」と、慎ましい孤独感を述べる。
 「草ふかき祈り」のような、戦争詩もある。
 初期詩編Ⅳは、「哀しき人々」と題される。
 「雲と花との告別」では、「おれたちは結局すべてのものの幸のために生命を捨てるのだ」と、戦時思想の極を述べている。

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 戦前からのモダニズム詩に関心があり、「安西冬衛全詩集」、「北園克衛全詩集」を求め得たが、「春山行夫全詩集」が古本界に見当たらなかった。かなり長い間探して、吟遊社「春山行夫詩集」(1990年・刊)がそれに当たると見定めて、購入した。帯にビニールカバー、表紙にパラフィン紙カバーが、古書店主の手によって掛けられている。
 春山行夫(はるやま・ゆきお、1902年~1994年)の米寿記念出版で、既刊詩集、未刊詩集、詩集未収録作品を収めているが、生前とはいえ「全詩集」と銘打たなかったのは、訳があるかも知れない。
 今回に僕が読んだのは、第1詩集「月の出る町」である。1924年、地上社出版部・刊。27編を収めるが、1935年に発行された詩集「花花」に再録された際、かなりの部分に改訂が加えられた。
 巻頭の「故郷」は4行の詩で、後半は「けふ故郷(ふるさと)は寺のやうに懐かしい/こころは侘びしく鍬のやうに重い」と比喩を用いながらの懐郷で始まる。
 「水上のtable」では、絹、香料、食卓、等の語が出て来て、今の僕たちなら入手可能かもしれないが、1924年(大正13年)にあっては、どんなにか上流社会にのみ有ったものだろう。
 また「白き寝顔」が「雨はれたり土耳古玉の空あらはれたり」と始まるように、古文調の作品も幾らか混じる。
 春山行夫は、この詩集を上梓した翌年(23歳)、名古屋市より上京している。


 青土社「吉野弘全詩集」(2015年2刷)より、第11詩集「夢焼け」を紹介する。
 先行の
「北象」「自然渋滞」は、今月16日の記事に紹介した。
 「夢焼け」は、1992年、花神社・刊。4章に分け、27編を収める。
 巻頭の「元日の夕日に」では、「元日の夕日を、どう呼んだらいいか/私はわからずにいます」と書くけれど、元日の朝日を「初日」と呼ぶから悪いので、正式には「初日の出」であり、元日の夕日は「初日の没(い)り」と呼べば良いと、僕は考える。
 この時代に俳句をたしなんだらしく、その経験が「俄(にわか)俳句教室」、「秋景」、「冬の鳩に」等に現れている。
 標題作の「夢焼け」では、文選工のミスを咎めず、夢に焼かれている人間、という1面を表わした。
 「漢字喜遊曲」の流れの作品もある。
 生前の詩集としては、これが最後である。このあと、詩画集、写真詩集の出版はあったけれども。
 またこの本の巻末近く、未発表詩篇選があり、初出の最後は1995年頃である。「歌詞一覧」と共に、ここでは取り上げたくない。
 没年の2014年まで、彼は詩を書かなかったのだろうか。体を悪くしたのか、このような形で詩よりフェイドアウトして行ったのかと思うと、歌人たちの場合と比べて、詩人として侘しい。
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。



 青土社「吉野弘全詩集」(2015年2刷)より、第8詩集「陽を浴びて」を紹介する。
 第7詩集
「叙景」は、先の3月26日の記事にアップした。
 原著は、1983年、青土社・刊。7章に30編を収める。
 第1章の「一夜」には、次のような連がある。「…//――つまらん/顔を上げて、著者が呻いた。…//著者は己の無能を罵倒しそうになりかけて/それができなかった/守護霊が押しとどめていたのだ」。
 第2章の2編は、電車のホームでの2景である。かつての「夕焼け」を思わせる。
 第3章4編は、前詩集「叙景」で充分でなかった、叙景の詩の展開だろう。
 第5章にもある、「漢字喜遊曲」のシリーズを、僕は好まない。字面遊びを好まないから。
 第6章は、電車での思いや、娘たちに仮託して、幸せへの望みを描く。「秋の」以下の6編は、叙景詩の完成であろう。
 「秋の」は、次のように始まる。「秋の方向は/どちら?//答のように/枯葉が散る//…」。
 第7章は「スケッチ」1編のみで、鼻を空に差しこんだような黒い犬が、詩人の姿を思わせる。

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Pixabayより、チューリップの1枚。


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 最近に手許に届いた、2冊の本を紹介する。
 福井県俳句作家協会の事務局にお願いしていた、平成28年版・年刊句集「福井県 第55集」(2017年3月・刊)が3月31日に届いた。僕は第53集より、本代のみで送って頂いている。
 序文、4百数十名の各10句、俳句大会入賞句、各地区活動現況、等を収める。学びながら読み、少しずつここで報告したい。

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 「日本の古本屋」の某店より、岩波文庫「ヴィヨン全詩集」(1991年12刷)が4月2日に届いた。思ったより、本文が古びている。
 費用が意外と高くなった。本代700円+送料150円+振込料130円=980円と、千円近い。それに旧かな遣いだった。しばらくお蔵入りになるかも知れない。


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