風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

内省的

 A・幸代さんの個人詩誌「野ゆき」vol.10を読み了える。
 入手は、今月15日の記事、入手した4冊を紹介する(6)にアップした。リンクより、当ブログを開始した2016年の、同・vol.7まで遡り得る。




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 詩誌「野ゆき」は年刊を守って、10年になる。粘り強い着実な歩みである。その間に詩集の発行を挟んでいる。

 「野ゆき」は毎号、5編の短めの詩を載せるようだ。今号には、「でんわ」「ある時」「ひきだし」「空から」「尻尾」を収める。
 職業上の児童との関わりから生まれた、「でんわ」「ある時」は、児童の心を思い遣り、自省している。
 「ひきだし」は、終活?でひきだし1つの整理も進まない様を、「思い出の海におぼれて沈みそうだ」と嘆く。
 「尻尾」では、人間に尻尾があったなら、心を装っていても尻尾が正直に示すだろうかと、内省的である。
 「空から」では、50数年前の旧友を思い遣っている。僕も二十歳頃までの旧友や恩師を偲ぶ時がある。以下に全編を引く。作者のご諒解を得てある。


  空から

空からくるもの
みんな好き
そう豪語する友がいた
雨が降り出すと
傘も持たずにとびだしてゆく
あたりを歩き回って
濡れた制服で戻ってくる
みんなの呆れ顔など気にもしない
雪も大好き
雷も窓辺で空を見上げる

私も空はよく見上げるが
彼女の真似はしなかった
あれから五十数年
今どうしているのだろう




 福井県詩人懇話会・発行のアンソロジー「年刊 詩集ふくい 2019 第35集」を読み了える。
 入手は、先の10月29日の記事、入手した2冊を紹介する(7)にアップした。



 「同 2018」を読む、は昨年11月6日の記事にアップした。リンクより、過去号へ遡り得る。


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 このアンソロジーには、53名61編の詩と、執筆者名簿、「’18 ふくい詩祭 記録」、あとがきを収める。詩の執筆者は、漸減傾向である。ただし高校生3名が3編を寄せている。
 同・2018の感想で述べたが、観念的な作品が多いようだ。リアリズムで詩を書くには、社会はあまりに悲惨である。
 とぼけるか、家庭内のトリヴィアルな事を描くしか、観念化の道を逃れる方法はないのだろうか。
 A・幸代さんの「手をのべて」が内省的である。
 U・千枝美さんの「新しい波」は自身の目の老化をユーモラスな筆致でえがく。

 51ページに渉る「’18 ふくい詩祭 記録」では、基調講演、シンポジウム共に、人物・発言が高度だった。
 挿入の写真は、1枚を除いて総て、カメラマン役の僕が撮ったものである。




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